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学校探訪記~図書館はズバリ学校の民度がみえるフィルタリングだった

中学受験界隈ではリブランド校という言葉がある。
そのトップモデルとなるのが渋渋と言われる渋谷学園のような女子校から共学化し国際教育に力を入れたり校舎を建て替え一気に人気が出た学校で、だから「リ・ブランド」なのだそうだ。横浜にある横浜英和も共学化と青山学院大学の付属校になり一気に難化しているし他にもたくさんの学校がこの数年リブランド化している。

この手の学校は改革後初めての年、その先数年くらいが正念場になるけれど特に最初の年はどれくらいの志願者があるのかの判断が難しいようで今年の2月には、ふたを開けてみれば倍率も合格率も違ってしまい大炎上した学校もある。

時間がとまったような頭の固い古臭い学校よりはこの手の改革が魅力的に見えるご家庭もあるようでなんだかんだいってもやっぱり人気らしい。 

私自身は古臭いタイプの学校を青春満喫して卒業したこともあるからか(いまだ制服すら変わっていない)、そういうコロコロと学校方針変える学校はあまり好きじゃなくて今まで次女の中学受験では見学も行っていなかった。
だが、長女の高校受験で高校から受け入れている数少ない私立学校を探す中で浮上したこの手のリブランド校にものは試しと行ってみることにした。食わず嫌いという言葉も、あるしな。 

・・・ここはイケア?

住宅地のど真ん中にあるその学校は決して敷地は広くない。が、昨年建て替えたばかりという学校自慢の校舎はとにかく明るい。
教室や廊下の壁、黒板もホワイトボードだから一面の白だからか。
ただただ、だだっ広い空間が広がっている。
なんというか・・・・明るすぎる。学校っぽくない。
壁が少ない、教室と廊下の壁も仕切りもない。掲示物もない。最低限の大学関連のポスターがひっそり目立たない場所に貼られている。

これは、この感じは見覚えがあるのだがなんだっけ?と首をひねっていたら同伴の長女が 

イケアみたいだねぇ。

とつぶやいた。まさにそうだった。イケア港北のあの2階のショールームと同じ空間がそこにはあった。イケアが学校をプロデュースしたらこうなるのか。いや本家イケアがプロデュースしたらもう少し現実感や生活感があるだろう、それくらい「イケアが好きな人がイケアを意識してまんま真似て作った部屋」。

ねぇ、どうちょっとオシャレでしょ?という声が聞こえそうだ。

でも、古臭い私はちょっと思ってしまうのだ。 
イケアのショールームのオシャレな空間は確かに憧れる。でもあのショールームのリビングルームをまるごとそのまま自分の家で再現したらどうなるだろう。自分の家のレイアウトも我が家の庶民的な生活習慣も何も考慮せずに。

この学校の、生活感のなさはなんだろう。
教室で、廊下で、ここにいて勉強したり笑い合ってお喋りしているはずの生徒の姿が想像できない。まるで出来たばかりで未使用状態の学校を見ているようだった。
生徒さんたちは、ここで生活していて楽しいのだろうか? 

昨年は次女の中学受験で私立の学校もいくつも訪問したが、その中には校舎が新しく綺麗な学校もあるが、どれだけ綺麗に手入れされている学校でも、この学校のような「奇妙なほどの生活感の薄さ」はなかった。
 
そこには学習に関する資料が貼られていたり、生徒たちが作ったレポートが貼られていたり、部活紹介のポスターがあったり、何かしらの学校らしさがあった。

けれど、そういうのが一切ない・・・・。 


そして極めつけは、図書室だった。

そこはまるでラウンジ。部屋の壁に一面マガジンラックのような書棚に本が表紙を面にし間隔をあけて綺麗に並べられていた。(まだ、むさしの森珈琲のマガジンラックのほうが密集してたくさん雑誌が並んでる) 

どう、おしゃれでしょ?
またどこからか声が聞こえてきた。

ここはラウンジだった?いや、入口に図書室ってあったぞ。

確かに似たようなテーブルや椅子が並んだ空間のある学校は、他にもある。でもそこはラウンジであって図書室ではない。
こういう空間とは別に図書室がある。

でも、この学校にはなかった。これが図書室らしい。
そういえば、自習するような机や椅子も見当たらない。

そしてあんなに死角の少ない学校が図書室だけ部屋のレイアウト上ちょっと死角になる場所があった・・・そこにはおそらく前校舎時代の図書室では書棚に並べられていたのだろう本たちが段ボールに入ったまま床に転がっていた。

ここは・・・この学校は・・・きっと見た目が重視なんだろうな。 
(なのに段ボールが転がっている矛盾)

親子2人、賑わう個別相談コーナーには質問する気力すらわかずにそのまま通過し、徒労感だけ感じながら帰宅の途についたのだった。

なにごとも、経験である。
だが、この手の学校に行くことは、もう、ないかな。






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