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筑紫平野と筑後平野


35年越しの疑問が突然解けた。

それは次女と話していたときのこと。彼女はふと湧き出す疑問が時々あるのだ。
「お母さんが間違って憶えていた地名ってある?」

勘違いとは違うけれど…でふと思い出したことがあった。

あれは、中学生のころ、私の通っていた公立中は長女の通う学校と同じで私が入学する数年前はやたら荒れていて警察沙汰もしょっちゅうな学校だった。

で・・・。

長女の学校の場合は部活至上主義みたいになって何とか汚名返上しようとしているのだが、30年以上前ということもあり私が通っていた中学校は部活ではなく学校全体をまるで軍隊みたいにして立て直そうとした。管理教育というらしい。自衛隊でもない完全に第二次世界大戦戦前から戦中の軍隊である。体罰もごく普通にあった。昭和だ。

そんな学校は、この手の学校の先生は生徒が勝手にまとまって盛り上がる行事が好きだ。そこで先生が目を付けたのが合唱だった。そして時代ということもあり選曲がやけに渋かった。

例えば、大地讃頌。今思えば、きっとあの頃私含めて歌詞の意味を解って歌っている生徒はほとんどいなかっただろう。ただ歌うことだけに必死だった。きちんと誰が見てもわかるように必死に口を開けて歌わないと担任だけじゃなく周りの子からもボコボコにされる。 

この曲と似ているやっぱり渋い選曲で、組曲筑後川という合唱曲がある。

この曲の歌詞の中に

【筑後平野の百万の~】

というフレーズがある。

筑後平野?筑紫平野ではなくて?
ちゃんとした組曲なのに、平野の名前ちゃうやん!! 

なんと、社会の定期試験もひっかけで良く出題されていた。
試験中に白地図と ______平野という空白を目の前にしてあの曲のフレーズを必死に思い出し「良かった、合唱でやってて…」と喜びながら筑後平野と書いて、そして数日後社会の先生のニヤリ顔と共にバツの答案がかえってきて奈落の底に落とされる生徒が続出。毎年繰り返される季節の風景だった。

そういや不思議だった。何故間違った平野の名前が歌詞にあるのか。でもインターネットなんてない時代、調べるのは本しかない。そこまで探求心もない。卒業してこの歌を歌うこともなくなり、すっかり忘れていた。

で、この度次女の質問でそういや・・・と思って、ググってみたら一発でわかってしまった。 

筑紫平野というのは筑後平野と佐賀平野を合わせた総称である。

歌詞は間違っていたんじゃなかったよ・・・。

でも、白地図が示しているのは筑紫平野なんだよ・・・。



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