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この先の渋滞傾向を予測する「渋滞増減傾向の案内」をリリースしました!

はじめに


こんにちは、コヴァです。
ナビタイムジャパンで、規制や渋滞情報などの道路交通情報の研究開発を担当しています。

今回は『渋滞情報マップby NAVITIME』、『NAVITIMEドライブサポーター』『カーナビタイム』の3つのサービスにてリリースした「渋滞増減傾向の案内」についてご紹介します。

渋滞増減傾向の案内とは

「渋滞増減傾向案内」とは、現在進行中の経路にある渋滞が、今後増加するかそれとも減少するかを判断して案内する機能です。
ナビタイムジャパン独自に、現在の渋滞情報と1時間前の渋滞情報を比較し、全国の渋滞区間の増減傾向を分類しています。

この機能に関するプレスリリースも発表しています。

使い方

この新機能は『渋滞情報マップby NAVITIME』の「道路情報板」として利用できます。道路情報板は地図上に表示され、現在地から10キロ以内の渋滞・規制情報を一覧で確認できます。
「渋滞区間」「渋滞長」「所要時間予測」「規制区間」「規制原因」「規制内容」などの情報とともに、渋滞増減傾向も表示されています。

さらに『ドライブサポーター』や『カーナビタイム』においても、直近の渋滞情報に加えて、渋滞の増減傾向についての音声案内が行われます。
例えば「およそ5キロ先、横浜町田IC付近を先頭に、約2キロ渋滞しています。この渋滞は増加傾向です。」のような音声案内が行われます。

開発経緯

ナビタイムジャパンでは、リアルタイムの渋滞情報や過去の走行実績など、様々な情報を活用し、各道路の通過時間を予測したうえで、目的地までの最適な経路を提案しています。

経路探索時の条件によって総合的な判断から経路を導くため、時には渋滞を避けずに案内することもあります。
しかし、ユーザーによっては、多少時間がかかったとしても渋滞を避けた経路でドライブをしたい場合や、この先の渋滞が走行中も続いていくものなのか、すぐなくなるものなのかを不安に感じる場合もあります。

このような課題を解決するために、経路上の渋滞が増加しているのかそれとも減少しているのかを案内することで、ユーザーは計画の変更を容易に判断できるようになり、また不安解消の手助けになるのではないかと考えたのが開発に至った主な理由です。

実現方法

分類について

傾向の分類は「増加」「減少」「維持」の3種類で行いました。
※ サービスとしては「増加」と「減少」のみが案内されます。

現在時刻と1時間前、2つのタイムスタンプの渋滞情報を使用し、同一渋滞区間に対して区間の長さを比較させ分類を行っています。

分類方法について

同一渋滞区間の判定について

まず「渋滞区間」を作成するため、渋滞地点を対象に、連続して隣接する地点を渋滞区間として扱いました。
現在時刻と1時間前の渋滞情報それぞれで、この渋滞区間の作成を、全国の道路に対して実施しました。

渋滞区間について

渋滞区間の比較するためには、異なる時間帯の渋滞区間を、同じ区間として判断する必要があります。渋滞は通常、発生地点から後方に伸びていくものであるため、基本的に「渋滞の先頭地点が前方に伸びていく」ということはありません。
今回私たちは、現在時刻の渋滞区間の先頭が、1時間前の渋滞区間内にある場合を、同一の渋滞と判定しました。
同一の渋滞区間の判定が完了したら、あとは区間の長さを比較し分類を行います。

同一の渋滞区間について
増減傾向分類例

比較するタイムスタンプの選定について

渋滞増減傾向の分類は、数分間隔で更新が行われています。
開発初期は、現在時刻と比較する渋滞情報のタイムスタンプを、同じように数分間隔に設定し分類を行いました。
しかし、分類の精度を確認するために実際の渋滞長の変化を確認したところ、短い間隔で渋滞長を比較してしまうと、一時的な渋滞長の変化に影響を受けて、ノイズが出やすいことがわかりました。

実際の渋滞長の変化

そこで、ノイズが出にくい時間を選定するために、いくつかの時間範囲で移動平均を求め、グラフ化し最適なタイムスタンプを検討しました。

次の図のように、時間間隔を広げていくと、だんだんとノイズは出にくくなります。
「10分」「30分」の段階では、まだ一時的な変化の影響を受けることが稀にありますが、「60分」になるとノイズが出ることはなくなりました。
上記のような検討を、様々な時間範囲で行い、最終的に1時間前を比較する渋滞情報のタイムスタンプとして選定しました。

渋滞長の変化と移動平均

このような工程を経て、渋滞増減傾向の情報を作成し、案内機能として提供されています。

今後の展望

今後の展望としては、さらに渋滞増減傾向の精度を高めていきたいと考えています。そのためには、より多くのデータを活用したり、予測精度を上げるためのアルゴリズムの改善などを行ったりする予定です。
また渋滞の増減傾向だけでなく、より詳細な渋滞情報を提案していきますので、ご期待ください。

渋滞予測の確認に役立つ機能のご紹介

① 渋滞予測カレンダー

1つめは『ドライブサポーター』・『カーナビタイム』・『渋滞情報マップ』で提供している渋滞予測カレンダー機能です。

道路ごと・時間帯ごとに混雑状況の予測が確認できますので、

  • 利用する道路は決まっている

  • できるだけ空いている時間帯に移動したい

という方に特におすすめです。

② AI渋滞予報

2つめは『渋滞情報マップ』で提供しているAI渋滞予報機能です。

現在の渋滞状況を反映させてAIが予測した24時間先までの渋滞が確認できますので、

  • 前日~移動直前にこれから渋滞しそうな道路を確認して避けたい

  • 地図ベースで渋滞予測が見たい

という方に特におすすめです。

これらの機能も移動の際にぜひご活用ください!