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新卒5年目デザイナーが思う、異動と兼務のメリット

こんにちは、にわとりです。ナビタイムジャパンで乗換案内サービスのデザインを担当しています。

新卒入社してからの5年間で、7つの事業を異動・兼務してきました。その経験から、多くの事業でデザインすることのメリットをお伝えしたいと思います。

この記事の公開日が、2022年度の最終日ということで、今までを振り返るような記事にしてみました。キャリアを考える参考になれば幸いです。

多くの事業でデザインすると

私は、この5年間でバスの乗換案内アプリ『バスNAVITIME』を運用する事業や、公共交通機関にサービスを提供する事業、携帯キャリア事業者とサービス開発をする事業などを経験してきました。それらの事業で行ったデザイン業務を、いくつか挙げてみます。

  • 鉄道・バス・シェアサイクルなどの、乗換案内アプリ・Web

  • 駅やバス停の、発車時刻案内サイネージ

  • サービスの紹介フライヤーや広告

  • 乗換案内アプリの着せ替え機能のグラフィック

  • デジタル地図のデザイン変更

  • 新規サービスのコンセプト検討

  • サービスの利用促進施策の検討・実施 など

媒体や内容もバラバラです。多くの事業でデザインすると、結果的に様々なデザインをすることになります。それによるメリットを、3つご紹介します。

様々なデザインをすることのメリット

1. デザインの勉強になる

異動して、新しいもののデザインに取り組む際には、最初に媒体や内容について勉強をすることになります。2022年度、乗換案内Webサービスのリニューアルに取り組むことになった私も、まずWebサイトの構成やお作法の勉強から始めました。
今までもWebのデザインはしてきたのですが、Webの一部の機能や、既存のデザインシステムを活用すれば済むものでした。同じ媒体でも、担当範囲によって必要な知識は違い、勉強の必要性を感じました。日頃なかなか勉強できていない、と思う方も、新しいデザインに取り組むことが、勉強のきっかけになるのではないでしょうか。

また、デザインと開発の進め方も事業ごとに違い、その点も勉強になります。私が異動した事業では、ZeplinをSlack連携させて、デザイナーと開発者のコミュニケーションを円滑にしていました(この活動については、以下の記事をご覧ください)。

ZeplinをSlackが連携できることは知っていたのですが、連携することでどんな良いことがあるのか実感できておらず、それまでは使っていなかったのです。
いざ使ってみるととても便利で、少し作業すれば導入できたのに、もったいなかったなと思いました。異動することで、このような各事業でのデザインの進め方を、身をもって学べることもメリットです。

2. いろいろなユーザーとビジネスに触れられる

デザインする上で、ユーザーを理解しようとすることは、とても大切なことですよね。「人間中心設計」や「UX」の概念でも、言われていることだと思います。

ユーザーはサービスによって違うので、様々なサービスをデザインすると、いろいろなユーザーを知る・考えることになります。
『バスNAVITIME』はバス利用者がターゲットユーザーだったので、渋谷駅のバスターミナルでバス利用者を観察して、サービスの改善点を見付けたり、新機能のアイデアを出したりしました。

ターゲットユーザーを観察して、サービスの機能を改善した例

公共交通機関向けのサービスのデザインでは、公共交通事業者の方から乗客についての話を伺いながらデザインしました。これらを通じて、自分が想像するよりもはるかにいろいろなユーザーがいることを実感しました。これはユーザーを理解しようとする上で、とても大切な前提知識になると思います。

ユーザーに新しいサービスを提供する・サービスを提供し続けるには、ビジネスモデルも重要です。異動することで、いろいろなビジネスモデルや、新しいビジネスの立ち上げを見ることができました。
経済産業省は、デザインのスキルと、ビジネス・テクノロジーのスキルが結合した「高度デザイン人材」の必要性を謳っています。ビジネスのスキルも持ったデザイナーを目指すのであれば、いろいろなビジネスに触れられることも、異動・兼務のメリットではないでしょうか。

「高度デザイン人材」は、経済のグローバル化や情報通信技術の急速な進歩のもとで必要不可欠な、あるべき未来を構想し事業課題を創造的に解決する人材として、2018年公表の経済産業省・特許庁『「デザイン経営」宣言』等でその必要性が謳われてきました。

「高度デザイン人材育成」に関するガイドラインと調査報告書を公開(経済産業省委託事業)

3. 挑戦へのハードルが下がる

特に新人とって、異動や兼務には不安が付きものだと思います(私も、もちろんそうでした)。ただ新しいデザインに取り組む度に、不安は減り、挑戦へのハードルは低くなっていきました。

それは経験を重ねたことで「今回取り組むデザインは、過去に別の事業でやったあのデザインと近いな」とか、「別サービスの施策だけど、このサービスでも活かそうだな」とか、応用できる知識や技術が増えたからだと思います。身に付けた知識や技術は、異動によって無駄になってしまうことはなく、大抵は次の事業でも活かせるものです。

また、一緒に仕事をしたことのあるデザイナーや開発者なども増え、「あの人がいるなら安心だな」とか、「この人なら、案件の進め方はおそらくこうだろうな」とか、想定できることが増えたことも、安心材料になりました。

おわりに

デザイナーの異動・兼務によるメリットを挙げてきましたが、デメリットを感じることもあります。
異動するので、サービスの継続的なグロースができない、兼務のために、すべてのサービスのデザインに集中できない、などです。引き継ぎでカバーしたり、業務時間の配分に工夫が必要だったりするのは確かです。また、事業を変えなくても、特定の事業領域やサービスで挑戦し続けることで、得られることも十分にあると思います。

それでも、デザイナーが異動・兼務することのメリットも大きいと思っています。デザイナーの成長の形の1つとして、参考になれば幸いです。ここまで読んでいただき、ありがとうございました!