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『行程表クラウド by NAVITIME』でコミューター区分に対応

こんにちは、ちゃんぢゃです。
ナビタイムジャパンで開発・運用を担当しています。

今回は、当社から提供しているサービス『行程表クラウド by NAVITIME』に新しい車両の区分「コミューター」を追加したので、それについてお話ししようと思います。


『行程表クラウド by NAVITIME』とは?

『行程表クラウド by NAVITIME』は、旅行会社や貸切バス事業者向けのSaaS型Webサービスです。貸切バスを含む車と、公共交通、徒歩、自転車を組み合わせたルート検索や料金計算機能等を行うことができ、それによって個人/団体旅行、MICE等における行程表作成をサポートするサービスです。
ナビタイムジャパン独自の技術とデータを駆使して、旅行会社や貸切バス事業者の業務効率化と安全運行を支援しています。

行程表クラウド by NAVITIME

今回行った対応について

対応内容

2024年3月1日(金)に、各運輸局より公示された貸切バス車両区分の改正にて、小型車の定義見直し及びコミューター区分が新設され、貸切バスにおける車種区分の定義が変更になりました。
それに伴い『行程表クラウド by NAVITIME』では、国土交通省が設定している従来の車種区分である大型車・中型車・小型車の3区分に新たにコミューターを追加し、また小型車の範囲を変更いたしました。

この機能に関するプレスリリースも発表しています。

期待されるメリット

今回の対応よって、コミューターの車高・車幅・重量規制等を考慮したルート検索と、検索したルートの距離や所要時間をもとに適正な運賃計算が可能になりました。
これまで小型車設定などで迂回していた運行ルートはコミューター向けに最適化され、コミューターの下限値を反映した適切な運賃で計算、見積書を作成できるようになります。コミューターは小型車よりも下限の運賃が安いため従来よりも事業者に金銭面でのメリットもあります。

コミューターを追加したことによる変化

今後、個人の好みや興味関心に合わせて自分たちだけで旅行を楽しみたいといった、インバウンドのニーズや旅行形態の多様化によって、少人数での旅行が増えていくことが予想されます。
コミューターは小型マイクロバスよりも一回り小さいバンタイプで小回りが利く車両であることから、道幅が狭い場所にある施設にアクセスできたり、混雑しているエリアの観光地付近まで行けたりすることで、効率よく観光地を巡り、多様なニーズに応えるメリットがあります。

また、運行事業者的にもメリットがあります。
今回の改正にいち早く対応することで、小グループの旅行に最適なコミューターの需要に対応でき、コミューターを利用した計画を立てる旅行会社や運行ルートを作成する貸切バス事業者に『行程表クラウド by NAVITIME』をお役立ていただければと考えています。

開発時のエピソード

本来であれば、新しい区分が追加されるたびに、新しく車幅、車高、重量などの要素を考慮してルート計算のロジックを変更、確認する必要があります。
当社のコア技術はこのような変更に柔軟に対応できる設計となっていたため、新しくコミューターの値を定義するだけで、迅速に今回の対応を行うことができました。
将来的にも新しい区分が追加される可能性がありますが、今回のように迅速に対応し、サービスに反映してまいります。

開発する上で悩んだ点としては、新しく公布された小型観光バスの区分わけが、各運輸局から出された区分と高速料金の区分が噛み合っていないことです。

各運輸局の区分では、新区分の小型観光バスは車両の長さ6メートル以上8メートル以下で、かつ旅客席数33人以下と定義されています。
しかし、高速料金の区分では、中型車両は乗車定員11人以上29人以下で車両総重量8t未満のもの、大型車両は乗車定員30人以上又は車両総重量8t以上の路線バス及び車両総重量8t以上で、乗車定員29人以下かつ車長9m未満のものとなっていて、定員と重量、車長によって運賃が変わるようになっています。
よって、コミューターという区分から高速料金の区分が判断できないので、サービス内では、多くの場合が属する中型車両として計算を行い、メッセージを表示するように対応を行なっています。
ただ、手作業で精算する場合にもこの区分の違いはかなり複雑な部分だろうなと思います。今後の対応としてはこれを断定できるような仕組みを作って、サービスを通してDXしていきたいと思っています。

区分の違いと問題


小型観光バス(新区分)を利用した際の画面表示

おわりに

今回は新しく追加されたコミューター区分の対応について、背景、対応内容等を共有させていただきました。今後もより安心安全な旅行をサポートするために、こまめにアップデートを行い、サービスを良くしていけるよう努めてまいります。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。