和泉とし

福島県会津地方在住。気候危機、地球環境、自然の大切さ、自然との繋がり、命の循環、心の豊…

和泉とし

福島県会津地方在住。気候危機、地球環境、自然の大切さ、自然との繋がり、命の循環、心の豊かさ、人と地球が共に生きるための環境文学をテーマにした詩を書いてます。

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最近の記事

【環境文学】大震災のあと

みんなの心が 疲れてる そんなときに来た飛行機よ みんなが空を見上げてる 飛行機が何かを描いてく 雲を吐き出して 吐き出して 大きく丸く回る飛行機よ そうして飛行機が 描いたのは 描いたのは シンプルな笑顔を描きました みんなが空を見上げてる 空に描いた笑顔に みんな笑顔になっている こんなに希望になっている 空に描いた笑顔が みんなの希望になっている

    • 【環境文学】火をつける

      秋の小春日和 何となく来たこの峠道 老いたと思う自分を 風の中で受けとめると この峠道で思い出すのは 若い日のあの夏 悩みにふけた青春 何度も途方に暮れていた 悩みを振り切りたい 若さゆえに懸命に自転車をこいで 峠道を登り 目の前に広がる山並みを眺め 自分の価値観を変えていた 燃えた青春の思い出は 誰もが懐かしく 若いあの日のように ただひたすら懸命になって 自分を変えれたら そんな思いが 心に火をつけてくれる 私は峠道を歩いた いまできる限りの精一杯のことを 小

      • 【環境文学】自由なもの

        私は池のほとりで 眺めてる 本当の自由はどれだろう 池の中には 魚がスイスイ泳いでる 思うままに泳いでる 池の底には 水草がゆらゆら揺れてる 水の揺らぎのままに揺れている 池の水面には 藻が浮かんでいて 風吹くままに流れてる 私はほとりで眺めてる どれも自由に見える ほとりに座り込んで 池を見ていたら 水面に 行く雲の姿が あるままに映る やがて 池の中から消えていった雲 去る姿は潔く そんな自由の王者は遠い幻

        • 【環境文学】歩荷さん

          ※ 歩荷(ぼっか)とは、山小屋に食料や生活用品などの大きな荷物を背負って徒歩で運ぶ人のこと。 湿原に伸びる木道 重そうな荷物を背負い 向こうから来る歩荷さん ここはとても良い場所で 湿原には たくさんの池があって たくさんの空を 映していて たくさんの行く雲が たくさんの池を 流れていく 地面の空と 上に広がる空の間で すれ違った笑顔の歩荷さん こちらも笑顔であいさつをする たくさんの池に映る空と 行く雲 木道を行く歩荷さんの足音 重い荷物にぶら下がる熊鈴 風が吹

        【環境文学】大震災のあと

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        • 詩の始まり
          1本

        記事

          【環境文学】森の鐘

          森の散策路の入り口の 樹木の小枝に 大きな鐘がぶら下がる 散策路に入る前 その鐘を鳴らしてね 鐘の響きで 心をきれいにして 森に入れば 命の本当の姿がわかるよと 誰かが親切にかけた鐘 そんなことは 私の作り話 その鐘は熊除けのものだもの 散策路に入る前に 鳴らしましょう 熊に遭わないよう 鐘を鳴らして ずっと森の奥へ リュックの熊鈴も鳴らして 木漏れ日を見上げて 森を歩く 奥へ、奥へと ふと耳を澄ませば 遠く散策路の入り口のほうで 鐘の音が、ああ鳴っている

          【環境文学】森の鐘

          【環境文学】ブナと私と希望

          ブナの原生林の奥地 ブナの巨木にもたれかかって 木漏れ日を見てる、ずっと 思い出すのは 子供のころ無邪気に遊んだ 自然の中 子供のころの私は 幸せ、不幸せは知らなくて ただそのときどきが 楽しかった それが生きてる実感だった ブナの原生林の奥地 ここまで来れば 街にある 私の幸せ、不幸せは もう追っては来れない ブナの巨木との 背中合わせ 街に置いてきたものは忘れて いまの喜び 生きてる実感を感じてみる 心がきれいになりました

          【環境文学】ブナと私と希望

          【環境文学】9月上旬

          夏の風に 秋の風が温く吹くような 9月上旬 もみじの葉が揺れるけど 散るのは まだだよと言う 夏の肌が残ってるうちに 夏に出かけられなかった あの場所に 行ってみよう 9月上旬 夏と秋 寂しい 楽しい そのふたつの気持ちが 揺れている ブランコのような季節

          【環境文学】9月上旬

          【環境文学】長い線

          私はこの森にいて 小さな沢に素足で立って 流れの先を思ってる 滝になり せせらぎになり 流れる 流れる 森の向こうの空の下で 森を抜けていく その先のことは わからないけど 幾重の流れが重なり 大きな川になり いくつもの都市を流れて 長い長い時間をかけて たどり着くのだ 遥かな海 森から海まで 繋がっている長い線 素足で沢の流れを受けとめると 心が洗われる どこまで心が 清らかになったら感じよう その海まで続く 長い線が そして命の繋がり

          【環境文学】長い線

          【環境文学】千里眼

          私はとても目がいいの 天の川銀河の星々や 遠いアンドロメダ銀河の渦巻きも 眺めて楽しめるほどに このとてもいい目で どこかにあるという幸せを 私は探してみよう この広い世界中を 隅から隅の 遠く、遠くの世界まで探したら どんな素敵な 幸せが見えるのでしょう よーく探して よーく見つめていたら 見えたのは 見えたのは 何でもない私の後ろ姿 私は何をしてるのでしょう 地面の草花も見てないで

          【環境文学】千里眼

          【環境文学】夏祭りの夜

          子供のころに踊った 温泉街の盆踊り あれから どれぐらい経っただろう 大人になって来てみた 温泉街の盆踊り 踊ってみたら懐かしい たくさんの提灯が 蛍のように 夏祭りの夜をほのかに演出する 踊りの輪に見つけた 浴衣姿で踊る女性 子供のころ この温泉街で遊んだ娘だ いまはすっかり大人になったけど どこか面影がある 懐かしいな、子供のころ あの娘は いまどうしてるのだろう 踊りの輪は流れる 夜も深まる 星が夏の夜空に輝くころ やぐら太鼓が 早く激しくリズムを叩く 踊り

          【環境文学】夏祭りの夜

          【環境文学】行雲流水

          流れる水よ 行き先がどこなんて きっと どうでもいいのだろう 早い流れのときは 風になって 滝を落ちるときは 龍になって 湖にあるときは 天を映す鏡になって ただそのときどきを 楽しんで どこに向かうなんてのは 考えないのさ そして海になり いづれ空を流れる雲になる 流れる雲よ 行き先なんて きっと どうでもいいんだろう 陸を渡るときは 羊になって 海を渡るときには 鯨になって その瞬間を楽しんで風渡る どこに行くのか そんなことは考えない そしてやがて雨に

          【環境文学】行雲流水

          【環境文学】太古の海

          ポケットに 貝の化石を入れて 来てみたい場所があった そこは鬱蒼とした森 この森は 1000万年前 太古の海だった 真夏の太陽が 森を強く照らしつける 太古の時代 ここはダイカイギュウやクジラが 悠然と泳ぐ海 ポケットの貝の化石を 握りしめると 不思議な感覚になる 空が海のように青く深まり 流れる雲が ダイカイギュウやクジラに 見えた 真夏の太陽が 天の水面に 優しく揺れるような気がした ヒグラシの声は クジラの遠い鳴き声 命を育んだ ここは太古の海 ずっと貝

          【環境文学】太古の海

          【環境文学】遥か高く

          高い山に登りたい 雲が届く そのところまで ずっと高いところから 下を眺めれば 私は空になれるもの どんなに心は清らかで 悩みなんてない 魔法の世界 そんな空 高い山に登りたい 宇宙ロケットに乗ってみたい そして宇宙へ 飛び出して この地球を見てみたい そして宇宙から 地球を眺めてみれば 私は本当を知るでしょう 青い地球は 美しい 人間同士が争ったり 奪い合うことが 馬鹿らしくなるほどに 美しい 地球を見てみたい 本当の 本当のことが知りたいから

          【環境文学】遥か高く

          【環境文学】自然服従

          青いブナの葉が 散ったなら それは悲しい気持ちになる オレンジ色の ブナの葉が散ったなら それはきれいな景色です なぜ人は そう思うのでしょう いまある夏の 青いブナの葉よ いまはどうか散らないで どうか秋が深まるときに 風に連れられて 舞っておくれ そして冬を越え 春になったら 若葉が芽吹く 自然の営みは 自然のままがいいと思う 不思議 人はなぜ 自然な営みが美しいと 感じるのでしょう 自然な営みであってほしいと 願うのでしょう

          【環境文学】自然服従

          【環境文学】廃線跡地

          廃線跡地は いまは桜並木になっている その中に ひっそりと 展示されてる古いSL SLは見ている 満開の桜並木を 桜を楽しむ 人々の幸せな笑みを SLは楽しんでいる 子供たちがSLのまわりで 鬼ごっこして 遊ぶ姿を SLは振り返っている かつて走っていたときの景色と 乗客たちの姿 活気ある路線の姿を SLは思い出している 最後の運行の日 みんなが駅で見送ったこと 別れを惜しんだ その姿を 淡い夢の中 遠くから 寂しくも聞こえてきた 踏み切りの音 廃線跡地は

          【環境文学】廃線跡地

          【環境文学】100年の対話

          この浜辺から眺める この景色は 100年前の あなたが見てたものと きっと同じ 海も島も そして空も 鳶がくるくるまわるのも 波の飛沫が 風に溶けた潮の匂いも きっと同じ 100年前の あなたに会いたくて 私はこの浜辺で ずっとあなたの詩を読んでる 言葉の中に優しさを思う あなたの詩を この景色を ありのままに受けとめれば ただ生かされている 弱い自分 そんな感覚さえ ふと思う静かなさざ波 少しあなたに会えた そんな気がした 貝殻を拾ってポケットに入れる 波の飛沫

          【環境文学】100年の対話