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#9 「トルソーの歴史の事」


トルソーとは? 

マネキン人形と言えば何となく頭に思い浮かぶ方もいると思います。

アパレルショップなどで服を着せてディスプレイするのに使われる道具でウィンドーショッピングに出掛ければ良く目にするものなのではないでしょうか?

「トルソー」はイタリア語から来たtorso(胴体)が元になっていると言われており大まかな分け方で言えば頭や腕、脚の無い物を「トルソー」、逆にそれらが揃ったものを「マネキン」とカテゴリー分けして呼ぶそうです。

ちなみにマネキンはMannequin(モデル)というフランス語からきたものだそうで、二つとも世界を代表するファッション大国から生まれたというのがなんとも、なるほどな・・・と思わさせられますよね。


このトルソー。
ミシンやハサミ、定規や針と同じ位、作り手から見れば必要不可欠な物で立体裁断を組む時やピンワーク、試作品時のシルエットやゆとり、全体的なバランスを見るのに必須なツールでそれが無いと仕上がり自体に不具合や不格好な物さえ出来てしまう位重要なアイテムだと思っています。



おそらくプラスチックの型に布貼りした物であろうディスプレイ用のトルソー

理想とする体の形を追求するとトルソーが格段扱いやすく
もちろん、生身の身体を借りて服作りの工程中の確認作業等は出来るのですが
トルソーはお腹も空かないし、眠くならないし、疲れない。
何よりも体型はずっと理想の形のままで変化しないので
あれ?
前よりもキツくなった?なんていう心配は要らない。
24時間365日何時でも好きなタイミングで呼び出せるのでその便利さは桁違いに良いのかもしれません。
(もちろん、場合によっては生身の体じゃなきゃ駄目だ、と言うシチュエーションはあると思います。)


最初のマネキンが世に現れたのは19世紀のフランスと言われていて裁断師でもあり、乗馬用の衣類を手掛けていたラビーニュと言う男性によって発明されたとの事。

ちなみに世界初の服飾専門の学校を創設したのも彼とされており、その他には寸法を測るメジャーも彼の手によって生み出され現在も多くの方々に重宝されているツールの一つになっています。 


当時のヨーロッパ14〜16世紀、日本では室町時代から戦国時代あたる時期を「ルネサンス期」と呼ぶのですがこれはイタリアから始まり次第に西ヨーロッパへと広がった文化・芸術運動のことを指すのだそう。

「ルネサンス」とはフランス語で再生を意味する言葉でギリシャ語のパランジェネジー(死者の再生)をフランス語の解釈で言い換えた言葉だという。

当時生まれた古典古代文化の復興の動きを後の歴史家が当てはめたらしいですね。

そのルネサンス期の時代、古代時代の彫刻が崩れた状態で見つかったそうです。胴体部分が残ったその彫刻は当時の芸術家達には未完成な物という以上に脳内を刺激し、アーティストはこぞってトルソ部分だけの作品を多く生み出してきました。

ルネサンス期以前までは壊れたり欠けたりしたら直すのが当たり前だったため、それらは不完全な物とされてきた訳ですが今をときめく芸術家のトルソ崇拝によって欠けていることや足りない物、それによって生まれた余白に美意識を感じ世界に名だたる作品やそれらを創る芸術家が輩出されたのです。

ただ、当時それらを芸術として認めたかと言えばまだその時代ではそんな事はなかったらしくイチ作品作りの練習としての意味合いが強かったみたいですね。。。

その、不完全で欠けた彫刻は見るものの頭の中で補完され、
「どんな顔であったか?どんな腕?どのような下半身なのか?」を想像させたのでしょう。
ともすれば見る人、見方によってそれぞれに完成された像というモノが浮かんで
いたはずでまさに十人十色、全くバラバラな面影になったのは想像が付きそうです。。。

そう言えば、学生の頃美大を目指していた時に石膏デッサンを何度も修練したっけ。
当時は石膏を見てもその裏側の事など気にも止めずに石膏は石膏であって
ただのスケッチする対象でしか無かった。
今ならばまた違った見え方がするのかな?・・・改めてじっくり見たい気も。



20年以上共にした相棒のトルソー。布がボロボロに(悲)。。。

その、トルソー。
現在はプラスチックや発泡スチロールで型を仕上げ、
主に外側を布張りで覆うか塗装するかの2つの種類があるそうです。

仮縫いやピンワークで使う場合には前者になるのでしょうか。
学生時代に買ったボディを今でも愛用し、その為か外貼りの布がボロボロに。。。
学生の時の自分にとっては安い買い物では無かったし、思い入れもあるので
なかなか買い替えるというのはなぁ。。。出来れば今後も使っていきたい。
どこかに直せるところがないか、探しているところです。

無ければ自分で直そうか。。。

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