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触れたら消えてしまいそうなぐらい小さく、儚く、弱い君へ

ひとつも窓のない部屋で  影たちだけに囲まれて   君はじっと立っている

あの人たちはまたやって来る    君を取り込もうと執拗に

心の扉を固く閉ざせ   周りのことは気にするな
振り回されることはない  ただもう一度、一から始めればいい

ガラス張りの世界から、君は静かに見つめている
行き交う人々を、外の世界を
誰も君に触れることは出来ない    
ここなら大丈夫     そう思ったのに

心の奥底で、冷たい風が吹きすさぶ
何者にも傷つけられない場所のはずが、気がつけば、もう遅い

走れ、力の限りに、倒れるまで   
たとえ止まり方を知らなくとも    人は皆通り過ぎ
君は手を振る     さようならと

子供のような君に、誰もみな微笑むばかり
どれほど君を混乱させたかも考えず   

そして君は 、不意に泣き出す


だから、いいか、専門家達もあてにはするな
考え込むな、聞き流せばいい
逃げるのだ、隠れるのだ、心の片隅に、一人きりで

君はあたかも、名前も居場所もない、幻の人間



PS   分からない本の引用

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