夏野ネコ

何者でもないひとが短歌をつくっています。Twitter(まだXって言いたくないぞ)が主…

夏野ネコ

何者でもないひとが短歌をつくっています。Twitter(まだXって言いたくないぞ)が主な活動場所ですが、ここではつくった短歌をまとめたり、それについて文章を書いたりします。

マガジン

  • 写真と短歌

    ひょんなことからやってきたGR Digital Ⅱ というカメラで日常の写真を撮りながら短歌詠んだりします

  • 日記と短歌

    その日その日に起こったことや感じたことを短歌一首とともに記します。

  • 誰かの言葉たちへ

    詩歌や小説についての感想はここにまとめます。

  • 月々のうた

    毎月つくった自選短歌をピックアップしてまとめています。

  • 連作短歌

    連作、というほど大げさなものではありませんが、連なりの中で表現したものたち。だいたい思い立って一気につくります。

最近の記事

ひかりさす最後の水を飲みほして街という名の海へ人魚は

写真と短歌(1) 公園で買ったミネラルウォーター でもこの水はやわらかすぎて 素敵に光をためながら わたしが手放したやさしさを それでもいいよとやさしく やさしく責めてくるんだ だから嫌いだ、こんな水 かっこつけた水め (GR Digital2 )

    • 古いデジカメで写真を撮ってみようと思ったよ [日記と短歌]24,5,26

      錆ついたほんの小さな窓だけど話をしたい世界すべてと/夏野ネコ いま手元にリコーのGR Digitai Ⅱ というカメラがあって、職場の不用物掃除の際に出現し「いやもう使わんでしょ」の総意のもと私に漂着した中古のそれは随分と前のデジカメです。調べたら発売が2007年。ファインダーがわりの背面液晶がまぁまぁ傷ついているジャンク品なのだけど、バッテリーも、その他の機能も特に(いまのところ)問題ないみたいです。 スマホで手軽に写真が撮れて、撮ったらもう瞬間にシェアできる便利な時

      • 文学フリマ東京38へいってきた [日記と短歌]24,5,21

        持ち主がまざりあうほど乱雑でしあわせなぼくたちの本棚/夏野ネコ 文学フリマ東京38に行ってきました。 ほんと、行けるかどうか微妙だったんですよ、旅先から直接向かったから大荷物でたぶん通路をいく皆さんに迷惑をかけたし(ごめんなさい… でも行って良かったです。 わたしがはじめてこのイベントに参加したのは2019年と比較的最近の出来事ですが、その最近から較べても急速な規模増大にかなりびっくりした今回です。 いやいやいや、めちゃめちゃすごくないです? 入場料1000円である程

        • やっぱいちごつみは楽しいなって話! [日記と短歌]24,5,15

          ひそやかにたった二人のパレードは行先不明だから歩くの/夏野ネコ いちごつみ、たのしいですよね。 ここのところ数人の方とご一緒して、ちょうどいま続いている方もいます。交互に言葉を継ぎながら、あるいは投稿のためのストックになったり、ノリが良ければネプリとかで発表したり。 短歌の造形力を高めるためには多作がよしと言われてますが、確かに私もそう思います。でもひとりでは限界があるんですよね、数を作るってことに。 まして結社にも属さない私のようなひきこもりが多作を、それも外からの

        ひかりさす最後の水を飲みほして街という名の海へ人魚は

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        • 写真と短歌
          2本
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        • 誰かの言葉たちへ
          2本
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          25本
        • 連作短歌
          17本
        • チベット短歌記〜河口慧海の歌を読む
          7本

        記事

          50首連作「コロコロ」の感想

          SNSで交流のある野良之コウモリさんの連作ネプリ「コロコロ」の感想を書きます。ゴールデンウィークのお供にと出したネプリなのですが少し時間が経ってしまいました(すみません)。noteでも公開されていますので未読の方はぜひ。 ご本人のnoteにもあるように笹井宏之賞へ応募した50首連作だそうです。 いったいにこの「50」という物量は驚異です。私にとって連作は、5首10首程度で「らしき」ものを編むのがせいぜいですので、50首を編んで賞に応募される時点でもう大河ドラマのような圧力で

          50首連作「コロコロ」の感想

          ネプリ、インザダークの感想

          ことし、2024年のゴールデンウィークのお供に、と出力した「並列」の作品「インザダーク」の感想を書きます。「並列」は夜月雨さんと斎藤君さんの文芸ユニットで、たいへん気になる存在なんですよ。 その中でも特に気になってしまった3つの作品、「春宵」「Phantosmia」「くる」について書こうと思います。 さて。 わたしは現代詩の読み方をよく知りません。なのでその前提で語ります。不勉強で申し訳ないのですが…。まずは冒頭の「春宵」です。 春宵 短歌連作なのか、そのリズムを持っ

          ネプリ、インザダークの感想

          月々のうた:2024年4月

          きみ型にあいた心の穴だから埋めればそれはキミなんだろう ほんとうの願いをひとつだけ持てば綿毛のようにあなたは飛べる 普段着を死装束として君がまたねと言って離す僕の手 エピソード1を聞かせて続編のようにあなたの遠いはつ恋 対岸が見えない川で君の名を呼べば世界はやさしく滅ぶ 1か月過ぎるのが速すぎますよ。ついこの間まで桜が桜がと言っていたのに気づけば5月。どうしてこんなに速いのか。 連休までの仕事前倒しのあおりで4月は引き続き繁忙モードだったこともあり、うたの日への

          月々のうた:2024年4月

          練習しないと上手にならない、なるとは限らないけれど [日記と短歌]24,4,7

          ドラえもん泣いてよその雫こそが最強ひみつ道具なんだよ/夏野ネコ 絵師、というほどでもないけれど絵を描くリアル友人がいます。「というほどでもないけれど」なんて微妙な言い方をしてしまったのは、この方があまり練習をしないからなんです。 「好きこそものの上手なれ」が成立する前提として「好きなことには努力を惜しまない」ていうかむしろ「好きゆえに努力を努力とすら思わない」があるわけで、本人の自覚の有無にかかわらず練習は大事なわけです。 でも身体能力が問われるスポーツなどと違い、美術

          練習しないと上手にならない、なるとは限らないけれど [日記と短歌]24,4,7

          月々のうた:2024年3月

          別れてはいけない人なんていない珪土マットにひと知れず水 踏まれたら野道になって夏草の露であなたを少し濡らそう 低反発枕は戻るゆっくりと揮発していく夢を惜しんで くちびるを裂かず言葉は舌先へ残り噛み砕くにはいとしい 後ろ手をほどいて受ける雨よまだあがるな銀の線で突き刺せ はい、3月も終わってしまった!新年度! 思えばこの3月は、私の人生でも特筆すべきさまざまな出来事の連続でした。ありすぎました、ほんとうに。辛いことと嬉しいことの、その極限的なパワーで両極へと、本当に

          月々のうた:2024年3月

          戻らない人へ、でも笑いかけることはできる [日記と短歌]24,3,18

          天国のドアへあなたはボサノバを神の子守唄として鳴らす/夏野ネコ 夢を見ました。逝ってしまった友達の夢です。 一時期私たちはバンドみたいなことをやっていました。バンド、というほど立派なものではない地味なアコースティックのユニットで、活動場所もダイニングバーの一角であるとか、お座敷感が強かった。 コロナ禍もあって活動はそう長く続かなかったのだけどメンバーとはその後もたまに遊んだり、メッセージをやりとりしたり、まぁ普通にトモダチでした。そのなかのひとりが急逝してしまったのは

          戻らない人へ、でも笑いかけることはできる [日記と短歌]24,3,18

          連作短歌:最高に最低な朝がくる

          公園をきれいにゴミはもち帰りましょうこぼした痛みを拾う チューハイは91パーセントぶん素面を飲ませるから嫌いだよ 半額の寿司が飛び散る床のうえ朝の陽は元死体らに降る 鋼鉄の屋根に守られ雨つぶに祝福されず死にゆくミミズ かなしみは握った中にツナマヨを入れたら咀嚼できる程度さ メンタルが落ち窪んで、嫌なことや避けがたい悲しい出来事が次々と起こり、そうして迎える週末にはせめて早起きして空気の良い場所でのんびりして整えよう、と思っていた矢先の金曜が歴史に残るほどのひどい夜

          連作短歌:最高に最低な朝がくる

          丸ノ内(線の南半分)サディスティック [日記と短歌]24,3,5

          飛魚の条理 一瞬だけの空 ゾンビが薔薇を愛でる四ツ谷へ/夏野ネコ 椎名林檎さんの「丸ノ内サディスティック (※以下丸サ)」がここ数日、脳に貼り付いたようにリフレインしています。 彼女のファーストである「無罪モラトリアム」発売25周年の記事を読んで、ふむ、と久しぶりに聴いたらガッツン殺られてしまったわけです。 25年…、そんなに前なのか、ていうか20世紀なのか…、と思うとにわかには信じがたいサウンドです。超絶的にかっこいい。破壊力ハンパない。 丸サはご存じの通り様々にロ

          丸ノ内(線の南半分)サディスティック [日記と短歌]24,3,5

          月々のうた:2024年2月

          人類の二足歩行のメリットはわずかに空へ近づけること 大切なひと大切なわたしたちだった白夜のようなアパート 左利きの君は右腕から洗うGAFAの知らない個人情報 止血した愛は願いを閉じ込めて受粉のままに膿んでいくのね 舌先がきみを知ってる味噌汁の味も奥歯の治療のあとも 気づいたら2024年の2月が終わってしまいました。もう3月ですよ? なんだろう、いつもより早く回ってるんじゃないか?地球…。そんなに頑張らなくてもいいからもっとゆっくり回ってくれよ。本当に。 さてこの

          月々のうた:2024年2月

          メンタルを復活させたカレースープの話 [日記と短歌]24,2,26

          カレー粉の蓋がちょっぴり開いていて微かに夢は色めいてゆく/夏野ネコ 週5の営業日が2週続けて4日になる特殊な2月の事情もあって、随分忙しい日々でした。危機は一旦去りましたが息継ぎ程度、次の関門である年度末がずんどこと接近しています。 こなすべきタスクが先々まで記されたOutlookカレンダーがもはや横スクロールゲームに見える。これがマリオだったらどんなにいいか。 そんなワーホリ状態(ワーキングホリデーじゃない方)でゾンビみたいに暮らしていたのですが、夜遅く帰ってきたある

          メンタルを復活させたカレースープの話 [日記と短歌]24,2,26

          名もなき薩摩芋のお弁当 [日記と短歌]24,2,21

          薩摩芋も馬鈴薯なくただ春のスープとなった地上のすべて/夏野ネコ 私の普段の主食。 朝はオートミール、昼のお弁当はストックの炊き込みご飯、とおおむね決まっているのですが、最近ここにとつじょ脚光を浴びたのがサツマイモです。 きっかけは些細なことでした。貰い物のサツマイモを蒸したまではいいものの、ハタと立ち止まってしまったのです。これはちょっと食べ切れるかと。 なので急遽お昼のお弁当の主食担当であるストックの炊き込みご飯を、いっときサツマイモに変えてみたのでした。 食べ方は

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          失恋、ボブ・ディラン、村上春樹 [日記と短歌]24,2,13

          翼なき背中で雨を受けとめた君はあの夜天使だったよ/夏野ネコ 今日はとりとめなく、短歌における比喩と私の失恋と雨の日の少年についての話です。意味わかんないですね。でもよろしければお付き合い下さい。 最近、歌の構造や比喩の後ろにある思いなどに意識を向けて歌集を読み始めたせいか、この比喩や象徴化の部分で色々と学びと発見がある気がしてます。とてもわかりにくい比喩もあれば、どストレートなもの、抽象度の高いもの、ファンタジックなもの、いやむしろマジックリアリズムでは?みたいな表現も

          失恋、ボブ・ディラン、村上春樹 [日記と短歌]24,2,13