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東京で生まれ育ったサラリーマン家庭の文系オタクが20年近く前に農家になりたいと一念発起…

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東京で生まれ育ったサラリーマン家庭の文系オタクが20年近く前に農家になりたいと一念発起。運命の出会いで農家の本家の長男の嫁になって田舎の慣習と火花を散らして生きてます。

最近の記事

面積と生産量の実態

 うちの農園は、代々農家をやっているだけあって、田んぼと畑を両方とも持っている。  後継者で田んぼをやっている人は、代々農家、という人が多い。江戸時代から明治にかけての農地の所有の変遷を考えるとそうなるのだ。  昔は畑より田んぼがメインだったけれど、今は技術の向上で、少ない農地でも収量の多い品種の米を作れば収量が上がって、それがかえって米の安値になってしまっているのが、田んぼ農家としては辛いところだ。  畑はというと、田んぼにならないところや、田んぼとは別で作物を作って

    • 三重苦がステータスに変わった

       夫と出会って、2人で話した時に一番最初に言われたのが、「自分は農家で本家で長男だから」という言葉だった。  私は何を言ってるのかコイツと思いながら、そうなんだ、で?と会話が流れていったことを思い出す。  私は現在、その「農家の長男でしかも本家の嫁」という立場にある。  そして同居して、農業を一緒にやっている。  一昔前、私の親世代くらいなら聞いてことがあるフレーズで、そういう環境で暮らしている嫁は多かった。  苦労を知ってる上の世代が多かったから、結婚相手にしちゃ

      • 農家に休みはあるのか

         春作の準備が始まり、育苗ハウスに温床線を張ったり、圃場のハウスにビニールをかける準備をしている。  この辺りは50年ほど前から雨除けの簡易ハウスでメロンなどを作るようになった場所なので、ハウスを更新しても雨除けハウスのタイプの方が多く、耐候性ハウスは10年ほど前から少しずつ導入されている。  雨除けハウスとは文字通り雨がかからないようにビニールで屋根を覆うものなので、雪が降ったら屋根が潰れてしまう。  なので、この辺りは冬に雪が降るので秋作が終わったら屋根のビニールを

        • 新規就農で30年続いてる先輩と9年で諦めた後輩

           新規就農者について考えていて、ふと一昨年離農した人を思い出した。  義父のもとで里親研修をして、一人で始めた人だ。  その人は、一人でハウス2反分の面積を春作はスイカメロン、秋作は大玉トマトを作っていた。  トマトは手が回らなくなるから1反の作付けにしてどうにか一人で回していた。  2年目くらいまで春作のメロンの整枝作業が間に合わなくて、私が助っ人に行ったりしていたが、どうにかこなせるようになって、助っ人に行くことはしばらくなかったけれど、時々ぬかるんだところにトラ

        面積と生産量の実態

          新規就農者のサポート

           今年から新規就農するご夫婦と、もともと別の場所で新規就農していたけれど面積を拡大する農地が確保できず県外から移住してきて福井で就農を決めた人のサポートをするようになった。  それとは別で以前うちでアルバイトしていた人がいよいよ今年から新規就農で農業を始めるので、そちらもサポートしようとしている。  うちはもともと里親農家として登録されていて、県の施設で研修したあと一年間里親のもとで研修する制度もあるのだが、その研修が終わったあと心許ないということで、うちで一緒に育苗の作

          新規就農者のサポート

          暑い夏から暑い秋のトマト栽培

           大玉トマトの裂果が酷い。  桃太郎ファイトを抑制で作っているが、例年なら11月最終日まで収穫が続いて、北陸の時雨模様の曇天続きで日照不足で最後の段のトマトが青いまま収穫ができずに片付け作業に入るのだが、今年は暑い夏がやっとおさまったと思ったらまたぶり返して暑い日が続き、朝晩はそれなりに涼しいの寒暖差がある状態。  灌水は欠かさず、青い小さい実が大きくなるまでに割れてしまい、それが大きくなるにつれ深い割れとなり、赤くなる頃には割れたところにカビがついて傷みやすくなってしま

          暑い夏から暑い秋のトマト栽培

          お米の等級の報道が増えた

           北陸では稲刈りが8月終わりくらいから10月初めくらいにかけておこなわれる。  なので、その時期になると、誰もが新米の話をするようになる。  農家や飲食店の人だけでなく、一般の消費者の人もだ。  近くに田んぼがあったり、親戚に米農家がいたり、身近でお米の話題に触れる機会が多いし、美味しいお米を食べているからなんだろうなと思う。  そういう環境で新米の話をするのは自然なことだし、なんとなく等級があることも知っている人は知っているだろう。  お米の味がわかるから、わざわ

          お米の等級の報道が増えた

          言葉の選び方

          先日、友人とあるやりとりをしていた時のこと。 学校の先生の表現の仕方が気になるという話だ。 自分はその先生と話していて、多少クセがあるなとは思うものの、そういう表現の仕方なのだろう、確かにうちの子にはそういう側面はある、と思ったのでそこまで気にはしなかったことが、友人は、なんでそんな言い方をするの、かなり悪い印象に聞こえるし、そういう風に子どもを見ているのかとショックを受けたような話をした。 子どものことだから、余計にショックなのかもそれないし、相手が先生だからもう少し

          言葉の選び方

          やってみなきゃわからないし、やらせてくれなきゃわからない

          数年前、近くの農業の研修施設で女性の働き方について、今の自分の仕事をなぜやることになって、どのようなことをしているか、ということを先輩女性農業者の方たちと話す機会があった。 今のように新規就農ということがまだまだ珍しかった20年近く前は、その研修施設に来るのはほぼ男性で祖父母が農業をやっていたのでその農地を使ってやりたい、という事例が多く、Uターンで新規就農、親元就農という話が多くて、地元につてもなく資金もない独身の女性で農業をしたいというのはいなかったので、どうやって農業

          やってみなきゃわからないし、やらせてくれなきゃわからない

          家庭の味

          農作業で夫と一緒にいる時は、仕事、子どものこと、気になること、時事問題、なんでもかんでもいろんな話をする。 特別気が合うのか?すんごい仲良しというわけかどうか?他に話し相手があまりいないから、というのが大きな理由で、特に、今日の夕飯どうする?というのはほとんど毎日してるんじゃなかろうか。 先日、翌年のメロンやトマトに使う敷き藁を回収する作業をしていた時のことだ。 藁というのは、稲刈りをして、その時に残るものなので、自然とお米の話になった。 日本人は米を食わなくなったん

          暑すぎる今年のトマトの管理

          とにかく毎日暑い。 動いても、寝ていても暑いし、何をしてもしなくてもとにかく暑い。 そんな暑い中でも少しでも涼しい時間にビニールハウスで作業をしている。 もちろん、涼しいと言ったって日の出の時でもハウス内で25度。 日が上るにつれ温度は容赦なく上昇するので、水分補給し休み、限界だと思う時までの昼前までと、暑いけど少しずつ温度が下がって涼しいかなと思う午後3時くらいから日暮れまでが作業時間になる。 38度くらいまでギリギリ耐え、何時間もずっとは居られないので、こまめに

          暑すぎる今年のトマトの管理

          農業って楽しいですか?なんで農業なんですか?

          つい昨日のこと、はじめましての人に前のめり気味に聞かれたのが、農業って楽しいですか、なんで農業?楽しいですか??だった。 農業って、楽しいかと聞かれたら、この酷暑の中でそれを聞かれたら、ハウスの中の暑さを思い浮かべながら、そうですねぇ、楽しいけど暑くて大変ではありますね。 生業なのでそれで稼いでいかなければならないので、そこも大変ですね、資材、肥料高騰もあるし、それが作物の値段に転嫁できるかといったらなかなか難しいですよね。 でも私はもともと文学部で、民俗学とか資料で読

          農業って楽しいですか?なんで農業なんですか?

          いつまでいい子でいるの?

          昨日、夫にまたしてもキレてしまった。 田舎の集落で、コロナ禍明けのひさしぶりの行事があり、その時夫が「あっちは若い衆がたくさんいるから」と言うので、だったらこっちの方手伝ってくれないかと頼めばいいだろ、と返したのだ。 そこからまたしてもいつも思ってる事が口に出てくる出てくる。 なんで同じ集落の隣とこっちでこうもあなたの世代が出て行ったり残ったりしてるかわからんのか。 あっちはあなた世代の若い衆が上とぶつかって、自分の住みやすいようにやってきたからだろ。 あんたはいつ

          いつまでいい子でいるの?

          相手に合わせて

           毎年言っているような気がするけど、天気が異常で畑の管理が難しい。  農業は天気に左右されるのを技術でカバーしてなんぼ、と言われることもあるけれど、限度ってものがある。  ここ数日の異様な暑さ。  私は生まれ育ちが東京で、20年くらい前に東京を出て地方の農村をまわって農作業のお手伝い(今だと手伝いにもなってない、ただのお荷物だとわかる)をしてから福井で夫と出会って結婚してずっと福井にいる。  なので幼い頃の夏の記憶は暑いけどクーラーがまだ必要ではなかった東京の真夏の寝苦

          相手に合わせて

          スイカは石油でできている

          コロナ禍が明け、人も物も活発に動くようになった。と、思ったらロシアのウクライナ侵攻で世界情勢は不安定で、物はある所にはあるけれど、無い所に動くかといったら単純にそういうわけにもいかなくなった。 農園でコロナ前後、何か変わったことがあったかといえば、作付け品目から見たら何も変わってはいない。ずっと作ってきたメロン、スイカ、お米、トマト、大根、ニンジン、それぞれ変わらず作り続けている。だけれど、その裏では作る私たちには葛藤があり、コロナ禍の中で生活している皆さんと同じように不安

          スイカは石油でできている