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【日本人女性の声は世界一高い】という記事を読んで感じたこと

日本人女性の声は、世界一高いと言われているそうだ。

一般社団法人「声・脳・教育研究所」代表理事の山﨑広子さんのこちらのインタビューを読み、とても興味深く感じた。

記事によると1985年に出されたイギリスの論文で「日本人女性の声は世界一高い」と発表されており、

2000年以降はさらに高くなったのだと言う。

女性の声が高くなると、男性もつられて声が高くなるんです。自分が自分でいられる声でしゃべれることが、一番大事だと思います。

日本人女性の声は、なぜ世界一高いのか

記事内ではほかにも日本に根付く【かわいい文化】や【女性に求められがちな従順さ】と、

高い声との関係性について考察がなされている。首がもげるほど頷いてしまった。

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私自身、長らく俳優・タレントをしており、ドラマ・バラエティ・舞台・ラジオと多岐にわたり声を使う仕事をしているため、声を必然的に研究してきた。


ひとは心底リラックスしている時と、そうでない時で声の響き方が全く違う。

たとえば威圧的な態度の相手や、機嫌を取らざるを得ない相手に遭遇してしまったとき。

声に敏感な私は、そのつど、声帯の奥側がキュッっと締め付けられる感覚がやってきて不快になる。

空気の通り道が狭くなることで声も不自然に高くなり、あぁ、家に帰りてえぇ〜と思う。

帰宅し、息子と夢中で遊んだり、自分らしい時間を過ごすと元に戻っているが、

声帯って本当にウソがつけない不器用なやつだ。

だから冒頭の記事にあった「日本人女性の声は世界一高い」というトピックは、自分ごととして胸に刺さった。

もし、無意識であっても。

日本人女性の高い声が世の中の風潮と結びついているのだとしたら、

それが抑圧されてきた結果なのだとしたら、

彼女たちが、心地よく喉を震わせ、自分らしく声を響かせることができる世界が訪れて欲しいと心から思う。

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ちなみに私の声は珍しい。

地声が甘ったるくて高くて、学生時代には『おまえ媚びてんだろ』などなど男のクラスメイトから頻繁にからかわれた。

芸能界にデビューしたての頃にも、恩師から『そのままだと宇宙人の役しかこなくなるぞ』と言われて危機感を覚え(愛情の深さ自体は感じていたものの)、

以降、あらゆるボイストレーニングを受けてきた。


独学も重ね、今は息の出し方を工夫したことで多少フラットに落ち着いて来たと思う。

最近では親となり、保護者っぽい声の出し方も習得した。

相変わらずテイストとしてはフルーツたっぷりのパフェみたいに甘い声をしているけれど、

これも個性、と割り切れるようになった。

だけど自分の声を受け入れるのに30年ちょっと掛かった。

コンプレックスとの付き合い方って本当にセンシティブだ。

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特殊な声がもたらした恩恵もある。

二十代半ばの頃、沖縄料理店でアルバイトをしていた。

そこへ偶然、食事をしに来たラジオ局の方に「めんそーれ!」と接客をしたところ、

声を気に入ってもらい、現在に至るまで東京FMの番組に10年間出演している。

人生って、予期せぬご縁が降ってくるものだ。

ラジオ局へ定期的に出入りしているので、

ラジオパーソナリティの方々の声を直接聴くことも多いが、

彼ら・彼女たちの声から溢れでる魅力に毎回、感銘を受ける。
ラジオが好きな方なら特に分かってもらえると思うのだけれど、

画面がなく、姿が見えないからこそ、声そのものの持つパワーがもの凄い。

聴く側が目を瞑っていたとしても、

まるで声で心を抱きしめてくれるような、魂に訴えかけてくるような印象だ。

私自身、いろいろな声の出し方を習得した現在では、

この“声から溢れ出るパワー”をさらに増幅できないものかと試行錯誤を重ねている。


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