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高田馬場のジビエ料理店で昆虫を食べてきた話

こんにちは。
表題の通りなんですがちょっと前に昆虫食にチャレンジしてきた話をしようと思います。

許可などは取っていないので一応名前は伏せますが、お店は調べればすぐに見つかるかと思います。面白い体験ができたのでオススメです!

人によってはショッキングな画像があるかもしれないのですが、大丈夫そうでしたら読み進めて下さい。


いざ昆虫食

昆虫は家畜と比べて効率的に飼育することができるため、未来のタンパク源として期待や注目が高まっているらしいですね。まあ、現状だとお肉を買う方が圧倒的にコスパが良いので、個人での昆虫食は趣味や好奇心ではないでしょうか。

そんなわけで好奇心が強そうな感じの生き物好きな友人(以下Sちゃん)を巻き添えに、虫を食べに行って参りました!本当はもっと前からお店の存在を知っていて興味はあったのですが、なかなか一緒に行ってくれる人が見つからなかったので本当に感謝です。一人だとちょっと怖気付く可能性があるので…。

予定を合わせて当日、地元で待ち合わせてから電車でお店に向かいます。車内でメニューを検索し、どんどん重苦しくなっていく空気。友達とご飯に行く空気とはとても思えなくて、もうこの時点で非日常感が漂います。

タガメやらウーパールーパーやら、トッケイっぽい感じのでかいヤモリやらが皿に乗った画像を見てドン引きした様子なSちゃん(タガメかっこいいので好きらしい)。「これ私食べられなかったら食べてね…」などと言われるのでこちらの決意が固まります。やっぱり友達の言葉って力になりますね!

私もSちゃんもイナゴの佃煮くらいしか食べたことないようなごくごく一般的な昆虫食ビギナーなので、実際目の当たりにした時にどれくらい平気なものなのか想像し難くて緊張します。興味はある、けどもし食べられなかったら申し訳ない。

Sちゃんが「なんでお金を払って罰ゲームを受けに…」とか言い出だして笑いました。言い得て妙ってやつですね。

そうこうしている内にお店に到着。店構えがちょっと異世界っぽい雰囲気だわお店の前に昆虫食の自販機はあるわでワクワクです。

お通しで不意打ちのダメージを喰らう

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スズメの姿揚げだそうです。

小学生の頃から大学生の時まで10年くらい文鳥を飼っていたため、これが個人的にめちゃめちゃキツかったです。虫よりは一般的な食材であることは分かるんですが、虫の五万倍くらいキツかったです。

もうこんがりと死んでるものはしょうがないので箸を伸ばします。揚げられたスズメの姿を見て、飼っていた文鳥が落鳥した時にもこんな姿勢になっていたなとか思い出します。

口にスズメを近付けると、文鳥を吸っている時を思い出します。鳥を飼っている人あるあるだと思うんですが、慣れてる鳥って吸わせてくれるんですよね。もう余計なことばかり思い出しますね。

口に含んで噛むと頭蓋骨が砕ける感触がダイレクトに伝わってきて、なんかものすごい禁忌を犯しているような気分でした。家族同然のペットだった生き物とほとんど同じ形状なので。これ、多分犬飼ってる人が飼ってるのと同じ犬種の犬の丸焼きを出されるみたいものなんじゃないでしょうか。調理された人肉を食べる方がマシかもしれない。

しかも、骨などがあるためかなり咀嚼しないと飲み込めないのです。胴体とかクチバシとか脚とかが口の中でなんとなく分かりつつ、もぐもぐし続けなければいけない時間が続きます。

全然元気なSちゃんは「これ美味しいね〜鳥って全部鳥の味するんだね」などとコメント。

そうなのです。美味しかったのです。勘弁して欲しい。塩気が効いていて香ばしくて、鳥の旨味たっぷりでした。勘弁して欲しい。段々脳が小鳥のことを食べ物と認識し始めるのが本当にマジで無理でした。

なんでこんな的確に精神を抉られる体験してるのか訳が分からないんですが、もう虫を食べる?どうでもいいよそんなん…くらいの気分です。

食べてみた虫のレビュー

昆虫食だけでも様々なメニューがあったのですが、今回は6種の昆虫食べ比べセットというものを注文してみました。1度に6種類も履修できてしまってお得ですね。季節によって虫の構成は違うらしいです。

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危惧していたタガメが出てきて怯むSちゃん。

今回食べたものは、タガメの左から時計回りにイナゴの佃煮、蜂の子、蚕、バンブーワーム、コオロギでした。食べた順にレビューしていきます。

・蜂の子

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スズメの素揚げによって無になった心でとりあえず箸を伸ばすと、Sちゃんも追随してくれます。横で人が食べていると食べやすいのもあるのかもしれません。

意外と普通にイケるもんですね。案ずるより産むが易し。いや、もしスズメダメージが無かったらどれくらい抵抗があったものか今となっては分からないですが。

自分は初めて食べたのですが、蜂の子って多分イナゴの次に一般的な昆虫食なのではないでしょうか。ぶにゅっとしてた食感で、舌触りがクリーミーだったと思います。あまり味は無かったと思うのですが、なんというか…タンパク質の味?

・バンブーワーム

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お次は一番カワイイ見た目のコイツに行ってみました。ちょこんとした脚の感じがなんともキュートですね。バンブーワームという竹を食べる虫を揚げてあるそうです。

見た目も口に入れた印象もスナック菓子っぽいです。香ばしくて割と美味しいかも?

今日初めて食べた虫の中では一番食べ物らしいルックスをしていたかと思います。スナックっぽいので。よく見ると違うんですが。

幼虫らしいプリプリ感とは違って、食べてみると中身がスカスカでした。虚無の揚げ物のような。何かの皮を食べてるような。かっぱえびせんの衣みたいな食べ物という印象です。かっぱえびせんの衣がなんなのか自分でも言っていてよく分からないですが。

・蚕

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お蚕様です。

これは蛹なんでしょうかね…?おそらく。

改めてよく見るとちょっと得体がしれない感じがキモいので、食べるコツはよく見てしまわないことかなと思いました。お蚕様は幼虫も成虫もかわいいのですが、中間はそうでもないのかもなと思います。こんな状態初めて見ました。

なんというか…タンパク質の味ですかね。本体に特別強い風味などがあるわけでは無さそうです。タンパク質っぽさはあります。極限まで風味を飛ばして繊維を短くした湿った鶏肉があったら近いかもしれないです。

・イナゴの佃煮

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ごくごく普通のイナゴの佃煮です。

子供の頃に初めて食べた時、お皿にこんもり盛られたイナゴを見て「あ、人間ってこういうの食べていいんだ」と思ったのを覚えています。

こちらはあまじょっぱい佃煮の味でした。ご飯と佃煮はズッ友なので、ご飯が来るのを待ってから食べた方が良いかもです。これだけを食べているとやや味が濃かったです。

佃煮でしか食べたことがないと、結局イナゴ自体の味ってどのようなものなのかよく分から無いですよね。普通に美味しいとは思うのですが、美味しいのはタレなのではという疑念が拭いきれません。

ところでイナゴって他の虫と比べて妙に清潔感みたいなものがありませんか?こういうのが女子にモテるタイプなのでは。多分。田んぼなどで飛んでいるイナゴを見ると、食べてみようと思う人がいるのも理解できる気がしますよね。

・コオロギ

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THE 虫!!って感じの見た目のものだけが残されてまいりました。

お尻のぴよん(尾毛?産卵管?)がチャーミングですね。

お味は、実は今回食べた虫の中で一番美味しかったです!旨味が感じられて。絶対になんらかの旨味成分が入っていると思います。あまりクセのない旨味で、エビやカニとはそんなに似ていないです。エビやカニからエビ!カニ!という感じの風味を抜くと近いのかもしれません。味が似ている食べ物はありそうで無いような…。上手く思い付かないです。

コオロギはトカゲの餌として一般的なのですが、トカゲが何やらハッピーそうな顔で食べていた理由が分かったような気がしました。きっと美味しかったのでしょう。知らんけど。

Sちゃんは最初「こいつは絶ッ対無理!」などと言っていたのですが、「これ、今日食べた虫の中で一番美味いよ!!」と言ったところ気になったようであっさり食べてくれました。騙したわけではないです。

イナゴの親戚イナゴの親戚イナゴの親戚…と思うのが攻略のコツかと。イナゴも薄い味付けだともしかして近い味なのでしょうか?

・タガメ

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ボスっぽい風格を漂わせてますね。立派なタガメです。デカい。つぶらな瞳がキュート。

Sちゃんは好きらしいのですが、実は自分はちょっと苦手な虫です。捕食の仕方がエグいので…。食べる側で良かったです。

1匹しかないので2人で分けられるかなと心配していたのですが(Sちゃんはもしタガメ来たら食べてねとか言ってたけど)、そのまま食べるわけではなく捌いてから食べるものだったので良かったです。

可食部は大体カニ味噌みたいな感じです。

名称未設定のアートワーク

ひっくり返したあたりで「あれ?ひっくり返した昆虫って脚のあたりとかちょっとキモくね?」という考えが頭をよぎるのですが黙殺します。カニと!!一緒!!!

タガメはこの日食べた物の中で一番驚きの味でした。ミントや青リンゴのような、爽やかなハーブかフルーツのような風味が口の中に広がって、え????!??!??となりました。こんなの絶対予想がつかない。

このタガメは何か植物を食べた後で、その味なのだろうか?などと頭に浮かぶのですが、タガメは肉食なのでそんなはずは無いのですよね。

食べられる部分は少なくて、香りが強烈だったのでどちらかというと調味料のような印象でした。爽やかで良い匂いです。

衝撃を受けているこちらの様子を見て、気になったらしいSちゃんも箸を伸ばします。結局全部一緒に食べてくれました。正直Sちゃんに虫を食べさせるのが面白くなりつつあります。

後で店員さんに伺ったのですが、タガメはカメムシの仲間なのでカメムシ同様匂いを出す機能があり、いただいたタガメはオスでフェロモンの香りが強いのだとか。タガメってそういえばカメムシ目なのですよね。タガメもサシガメもカメムシ。メスのタガメだとどんな味がするのか気になります。



「どうして今日は虫食べてみようと思ったんですか〜」と聞かれて店員さんと少しお話ししたのですが、「生き物が好きで昆虫も割と好きなので興味があったんです」と答えたところ「あー好きすぎて食べちゃいたいってやつっすか。大丈夫ですよ。いますよそういう人」と返されてちょっと困惑しました。そこまで愛を変な方向に拗らせてるわけじゃないと思うんですが…。

まあ、よく考えたら虫好きな人が標本作るのって「好きな子の命を奪って一番綺麗な状態に保存して飾りたい」っていうのと変わらないですもんね。書き出すとすごいヤバいやつっぽいので、さもありなんなのかもですね。

行った時には無かったのですが、旬の季節にはセミがオススメだとも伺いました。

あと、虫以外に自分はワニとウサギ、Sちゃんは鹿のハンバーグを注文したのですが、脊椎動物にはなにやら安心感がありますね。慣れ親しんだ食べ物だなっていう。いや、ウサギは初めて食べたんですが。

昆虫6種盛りだけだとあまり量はないので他の物も頼むのが良いかと思います。

まとめ

・文鳥好きな人間がスズメを食べると精神が鍛えられて強くなれる(気がする)。しかし何か大切なものを失った気もする。

・コオロギには旨みがある。割と美味しい。

・タガメはさわやかフルーティ。

・人間は周りの空気に流されると割と何でも食べられる。多分。

スズメのショックが大きくて虫を食べることに新鮮なショックが感じられなかったのがやや勿体なかったかもしれません。あれからかわいい文鳥の画像とか外の雀とかを見ると心が痛むので、本旨の昆虫食以上に尾を引いています。まあ雀を食べてしまったのだからもう何でも行けるわっていう気分になっているので、サバイバル力が上がった事でしょう。美味しかったし。最悪!!!

昆虫に対しては、甲殻類だしエビみたいな味なのかな?というイメージを持っていたのですが、今回食べた虫の中にはエビのような味のものもカニのような味のものもいなかったです。

昆虫の味は昆虫の味なので、やっぱり食べてみないと分からないかと思います!

なんか乗せられて食べさせられちゃった感のあったSちゃんですが、後日「今度はメニューにあったラクダ食べてみたい!あと旬のセミも気になる」とか言ってました。あれ?結構ハマってる…?






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