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【野球】WBC2023お茶の間観戦記⑤決勝アメリカ戦

2週間に渡って開催されたWBC2023も、ついに今日が最終日。
決勝に進んだ日本の相手はベースボールの母国・アメリカです。

泣いても笑ってもこれが最後の総力戦。
果たしてどんなドラマが起きていたのかレポします。


完全復活の村神様

準決勝のメキシコ戦でサヨナラタイムリーを打った村上宗隆。
ついに目覚めた!と言いたいところですが、やはりホームランが出るまでは安心できないなと思っていました。

アメリカに1点を先制された直後の2回裏、先頭打者は村上。
これまではイマイチ感覚が掴めていなかったのか初球を見逃すことが多かったのですが、この日は違いました。

初球に来た甘いストレートを見事に捉え、今までの鬱憤を晴らすかのような特大ホームランをスタンドにぶち込んだのです。
打球速度は今大会最速の185km。

もしも大会中にホームランが出なければシーズンまで引きずってしまうのでは…と心配していただけに、待望の1発が出て本当に良かったです。
今シーズンも村神様として活躍してくれることを祈ります。



怒涛のマシンガン継投

野球の試合では先発投手が6回ぐらいまでを投げ、あとはリリーフ投手が1イニングずつ投げるのが一般的です。

しかしこの日は決勝戦。
ひとりの投手を無理に引っ張る必要はありません。
出し惜しみせずにどんどん投手をつぎ込んでいきます。

先発の今永を2イニングですぐに交代し、戸郷→高橋宏斗→伊藤大海→大勢と、バンバン交代してアメリカ打線に的を絞らせません。
メジャーで活躍する強打者たちを次々とアウトにしていきます。

やはり日本は投手のレベルが高いなと感じました。
この作戦が功を奏し、3回から7回まで無失点リレー

そして8回、ダルビッシュ有が登板し、恐れていた事態が起きるのです…。



劇場演出型投手、ダルビッシュ

イラン人の父と日本人の母の間に生まれたダルビッシュ有は、「日本ハムファイターズ」でエースとして活躍したのちにアメリカへと渡った現役メジャーリーガーです。

若い頃は「孤高のエース」といった風格で、あまり人を近付けさせない雰囲気を漂わせていました。
しかし今大会は最年長ということもあり、彼なりに思うところがあったのでしょう。

宮崎での合宿に早期から参加し、年若の選手たちと積極的にコミュニケーションを取っていました。
ダルビッシュのおかげでチームに一体感が生まれたのです。

精神的支柱として大きな役割を果たしていた彼ですが、投球の調子は中々上がってきませんでした。
そんな一抹の不安を抱えた中での登板。

嫌な予感は的中し、5番のシュワーバーにソロホームランを浴びてしまいます。
結果として打者5人に対して被安打2、失点1にとどめたのでなんとか1点のリードは死守しました。

しかしここで一部の人たちは気付いたはずです。
もしもダルビッシュが打者を3人で完璧に終わらせていたら、9回の大谷VSトラウトという対戦はおそらく見れなかった…。

ちなみに2009年のWBC決勝でもダルビッシュは失点して韓国に追いつかれましたが、そのおかげであのイチローの奇跡のセンター前ヒットが生まれたのです。

彼が演出家の星の下に生まれているのか、野球の神様がそうさせたのかは分かりませんが、9回に最高のドラマが待っていました。



大谷VSトラウト、実現

大谷翔平とマイク・トラウトは、共にメジャー球団「ロサンゼルス・エンゼルス」に所属しています。
エンゼルスにとってふたりは2枚看板であり、アメリカでは「ボロ屋に2台の高級車が置いてある」と揶揄されるほど突出した存在です(エンゼルスは弱いため)。

チームメイトなので、ふたりが同じ球団に居る以上対戦することはありません。
が、ついにその機会がやってきたのです。

メジャーでMVPを3回受賞しているマイク・トラウト。
二刀流としてベーブ・ルースの記録を超えた大谷翔平。

舞台はWBC決勝、日本はあとアウト1つ取れば優勝という場面で、トラウトが打席に立ちました。
勝つのは大谷か、トラウトか。

フルカウントになった後の、6球目でした。
大谷のスライダーにトラウトのバットは空を切り、空振り三振。
この瞬間、日本は14年ぶりの栄光を手にしたのです。

マウンド上で感情を爆発させ、グローブとキャップを投げ捨てる大谷。
その姿に、彼がこの大会にかけてきた想いの強さがヒシヒシと伝わってきて、涙が溢れました。

対照的にトラウトはベンチに座り込み、呆然として動けずにいます。
彼もまた、WBCに並々ならぬ情熱を注いでいたひとりなのです。



栗山監督お疲れ様でした

監督の仕事は作戦を練ったり選手起用法を考えたりすることがメインではありますが、それだけではありません。

栗山監督は事前に現地マイアミの日本食事情を調査し、「本物の日本食が食べられるレストラン」に選手たちへの食事提供を契約していました。
アスリートが海外遠征で食べ慣れない物を摂ったせいで体調を崩す、といった事例があるのを知っていたからです。

また、WBCが始まる前から積極的にTV出演や取材を受け、大会を盛り上げて選手たちを応援してもらおうと尽力していました。
これまでキャスターとしてメディアに関わってきた経験を活かした、人柄のなせるわざです。

栗山監督は情に厚い人として知られていますが、例えば調子の悪かった松井裕樹や緊急招集された山崎颯一郎を、決勝ラウンドに於いて温情で使うようなことはしませんでした。
絶不調だった村上宗隆も4番で使い続けることに固執せず、5番に降格しました。

選手を信じているけれども心中はしない。
こうした考えができる人を名将と呼ぶのだと思います。

「もうユニフォームを着ることはない」と退任を発表した栗山監督。
その手腕を求める声はきっと数多あるでしょう。

けれども、今は歓喜の余韻に浸り、ゆっくり心身を休めて下さい。
お疲れ様でした。
そして、日本を優勝へ導いてくれて、本当にありがとうございました。



まとめ

本当は日本戦全てをレポしたかったのですが、全5回となりました。
こんな一野球ファンの記事を読んで下さって、一緒に日本を応援してくれたみなさんに感謝を申し上げます。
ありがとうございました。

WBC主催者がインタビューで「次回は2026年」と明かしています。
大谷翔平もダルビッシュ有も、次回WBCへの参加意欲を満々にした発言をしていました。

野球に限らず、私はこれからもスポーツ記事を書いていきます。
その競技がどんなに面白くエキサイティングであるかを、ゼヒ多くの人に知ってもらいたいからです。

今回もお付き合い頂きありがとうございました。
それではみなさん、また2026年にお会いしましょう!


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