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【エッセイ】 空模様

「それって意味あるの?」
不意に聞かれた問いに対して、私は言葉を詰まらせる。
「え、意味なんて考えてないよ」
だって本当に考えてないから。
意味があるから、やっているなんてそんな、そんなこと考えたこともなかった。みんな意味を考えて行動するものなのだろうか。知らなかった。
「ハルちゃんがいいならいいけどさ、なんか、意味ないなら辞めちゃいなよ」
そう言うと、フユはどこかへ行ってしまった。
私はというと、ただポツンと取り残されて、まるで漫画の一ページかのように私以外何もなかった。意味もない何もない私に、何が残されているのだろう。
呆然と空を見上げては雲の流れを目で追っていく。時折通り過ぎる野鳥が普通の速度で通り過ぎていく。
意味、というか、信念というか。
何にもないんだな、私。と、自覚してしまうと怖くなる。
「人間じゃないみたい」
昔言われた一言がフラッシュバックして脳裏から離れない。
「やりたいこと、ないの?」
見つからないよ。
「生きていたらいいことあるよ」
あるのかな、ある希望が持てないのに?
自問自答しては繰り返し、あっちへふらふら、こっちへふらつく。
季節が移り変わろうとしていて、風がびゅうびゅう吹きつける。
私の前髪はバサバサと揺れて、すごい埃でくしゃみをしてしまった。
冬と春のせめぎ合いと同じくらい、私の中の声もすごい勢いで捲し立ててくる。あれがいいだの、これがいいだの、それにしようだの変えてしまおうだの。。

荒れ狂う私の心と空模様
気持ちは晴れかはたまた曇りか

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