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鉄道オタクは鉄道会社に就職できない?→関係ないです!

少し前ですが、Xでこんなポストが話題になりました。

「電車マニア、うちに来られても困るもんな。はっきり言うて」

インタビューを受けている川西康之さんはモビリティデザイナーなので、鉄道関係の仕事を請け負ってはいますが、鉄道業界に属する企業の人ではありません。

これがいつの間にか曲解されて、「鉄オタは鉄道関係の仕事に就けない」みたいなポストが散見されました。

ではこれを鉄道会社に入社すると考えたときはどうなのか、実際に現役の鉄道運転士をしている私の意見を書いていきます。


【⚠️注意⚠️】
この記事の内容はあくまで個人的な見解であり、鉄道業界、各社局等の公式の人事情報について示すものではありません。


【結論】鉄道オタクでも鉄道会社には入社できる

記事タイトルにも書いた通り、鉄道会社の採用試験に鉄道オタクかどうかは関係ありません。

趣味で資質の有無は測れない

これは鉄道に限りませんが、結局のところ仕事としての専門性を持てるか、その人に資質があるかどうかが大事です。

プライベートの時間はすべて撮り鉄に費やしているような人でも、一定のコミュニケーション能力と安全に対する意識があれば全く問題ありません。

逆に鉄道オタクでなくても、シンプルに能力不足だったり、法令遵守意識が低い人は入れません。

現に同僚には撮り鉄・乗り鉄はたくさんいますし、鉄道模型に凝っている人もいます。
仕事で運転したあと、宿泊勤務明けに「電車でGO!」をプレイしている人もいます。

違いは仕事中は仕事として割り切れるかどうかと、コミュニケーション能力が一定以上あるかどうかです。

最近ニュースやSNSで悪い話題が目立つ鉄道オタクですが、害悪なオタクは少数派です。会話がまともにできない、身なりがだらしないといった絵に描いたようなオタク像の人たちばかりでもなく、仕事では優秀で、鉄道以外の話も面白い人だってたくさんいます。

趣味では絶対にやらないことと向き合えるか

鉄道はかなり複雑なシステムの上に成り立っているため、自分の業務外だったり他社局のことはわからないまま仕事をしている人が正直多いです。

鉄道の総合知識が豊富な人は、もともと鉄道が好きな人が多いです。好きなので勉強することが苦にならないんですね。法律や規則はオタクも含めて大体の人が苦手ですが、ここすら得意ならもう最強です。

繰り返し業務なので、成長しなくても日々の業務は普通にできてしまうため、電車が好きでなく昇進にも興味がない人はある程度のところで胡座をかいて、超保守型な人材になってしまうことが多いです。
鉄道員になったあとも自分の好きを貫けるなら、他の勉強が苦手だったとしても無双できる可能性があります。

ただ「何系がかっこいい」とか「日本全国の駅名全部言えます」のレベルで止まってしまったらダメです。
鉄道オタクの中での自分のジャンル(撮り鉄とか音鉄とか)以外にも、他部署の業務や経営に関する知識にも開放性を高くいることが大切です。

採用側もオタク側も、ステレオタイプの罠から抜け出せるか

「鉄道好きな人は異常者」みたいな認識が日に日に強まっていると感じます。

一部の迷惑な人のせいで風評被害が出るのは他の集団も含めて日常茶飯事なので、私はもう諦めています。

ただファン自身が「私は電車オタクだからコミュ障だし、世間から嫌われている集団の一人だ」と思ってしまったり、採用側が「鉄道オタクはお客様意識に欠ける人だろうから、なるべく採らないようにしよう」となってしまってはよくないです。

ある意味、バイアスのようなものに囚われている状態です。

こういったことが話題になるたび、鉄道会社がどんどん優秀になれる可能性がある人材を取り逃がすことになるのではと、私は危惧しています。

もしあなたが鉄道ファンでかつ鉄道会社に就職したいと思っているのなら、ぜひ挑戦してください。

挑戦するべきときに挑戦しなかった後悔は一生引き摺ります。もし全部の鉄道会社に不採用にされても、挑戦をしたのだからあなたは潔く諦めることができます。

少なくとも、SNSに踊らされて挑戦をやめてしまわないでください。現役運転士からのお願いでした。


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