見出し画像

今、どのステージにいるのかを意識することの大切さ

個ではなくチームとしての位置

今井 今回で67回目になりました。普段はゲストをお呼びしてお話を伺っていますが、時々ゲストとの話を振り返る回をはさんでいます。前回の振り返り以降、5人の方にお越しいただきました。この間で僕らにとって初めての試みだったのは、2人のゲストに同時にお聞きしたり、2シリーズ連続で同じ会社の方に出ていただくことでした。
1人は愛媛県今治市のしまなみ野外学校で野外教育活動をされている木名瀬裕さん、がってんさんとお呼びしていました。それと北海道の天塩川でカヌーガイドをされている辻亮多さんにお話を伺いました。この2人、実は木名瀬さんが師匠で、辻亮多さんが元々は弟子だったという、師弟関係でした。
その後にお越しいただいたのが九州・熊本でふりかけを作っていらっしゃるフタバという会社の安部直也さん、取締役社長の方にお越しいただきました。フタバは、熊本では絶大な人気を誇る「御飯の友」というふりかけを長く作り続けている会社です。
その次に、日本トーカンパッケージから、2人の方に連続してお越しいただきました。包装開発センターといってダンボールの包装パッケージを開発している部署から最初にセンター長の佐藤康博さんに。30年以上にわたりって包装について考え続けてこられた方です。それから、前回まで放送させていただいた一丸さんですね。ダンボールの技術者として、今責任ある立場でパッケージについて考えておられました。
本当にいろんな方に来ていただいたなと思うんですけれども、村上さん、印象に残ってるエピソードありますか。

村上 そうですね。いきなり外れちゃう話ですが、実はフタバの安部さんとは、収録をさせていただいた後に僕が熊本に行く機会があって、お会いして工場見学をさせてもらいました。その後に、極地で食べるようなふりかけをいっしょに開発しましょうという話で盛り上がり、今、その打ち合わせをオンラインでさせていただいているんです。
今、プロジェクトをすすめるにあたって、開発の方とか営業の方、何名かと一緒に話をさせていただいているんですけど、改めてそのお話と、あのときのポッドキャストで収録させていただいたときの話を振り返ると、安部さんが言っていた言葉の一つひとつが、別の方から、同じことを別の視点で繰り返し伺うような感じがするんです。

それと同時に、やっぱりチームでやられてるんだなって思いました。
どちらかというと前回の振り返りまでのゲストの皆さんは、自分と対峙している環境との間でどう向き合っていき、付き合っていくかみたいな話が比較的多かったかなって思うんですよ。

がってんさんも、辻さんもですけど、個々で出ていただいたときはそういう話があったんですけど、一緒に出ていただくと、何か2人でチームを組んでガイドをしていたときの思い出話が出てきたんですよね。
何かそういう、同じ場所の話でも人同士みたいなところの話です。トーカンパッケージの2人も同じ職場で、別の視点で働かれてるという意味では、チームなんだと思うんですけど、そんな話が偶然にも、繋がって聞こえてくるのは、不思議な感じもするなというのが印象に残ってるところです。

今井 なるほど。がってんさんも自分がずっとやり続けることは難しいので、がってんさんも次のステージにステップアップしていく、そのポジションに次の世代の人が入っていく。そしてまたがってんさんは新たな挑戦をして、背中を見せ続けていく。そういう繰り返しがあったと思います。

またフタバの安部さんは、ふりかけの元祖で100年以上続いてきた会社をまかされているわけですが、安部さん自身も、昔からその会社にいらっしゃったわけではなくて、途中から入社され、最初は受け継ぐ立場でした。でもある一定期間を経て、今度はリードしていく立場にあります。またふりかけ自体も、親から子へと受け継いでいくっていう話の中にも、人から人へバトンを繋いでいくような話が多かったなと感じました。

自分のステージから次のステージへ

村上 今井さんはどうですか。振り返ってみて、印象に残った部分ありますか?

今井 そうですね。トーカンパッケージさんの段ボール箱を作るという話を2シリーズに渡って話を伺う中で、考えさせられたのが、ふつうの商品開発の話であれば、いわゆるその主役というか、消費者の方が使う欲しがる物そのものをを開発してるんですけれども、段ボールの箱ってそうではないですよね。では段ボール箱とは、誰のものなのかなっていうところが気になったんです。商品そのものではないし、お客さんのものなのか、それとも送る側のものなのか、あるいは輸送する人のものなのか。しかも最後には捨ててしまうものでもあるわけです。

お話の中では、包装資材はコストだという話があり、コストと言われてしまう仕事なのかなとちょっとネガティブにも捉えたところもあったんですけれども、結局、私にはものを作っているようで、サービスに近いのかなって考えました。ものに対しても優しく、送る人にも優しく、使う人にも優しく、そして最後は捨てやすい。主役を支えるわき役ですが、全てがスムーズに繋がるためのものなのかなと感じました。

画像1

村上 なるほど。今のトーカンパッケージの皆さんの話もそうですが、がってんさんと辻さんのときに、がってんさんから「ガイドは演出家であり、表現者だ」という話があったと思うんですけど、この話が、何か今の今井さんのお話の部分と重なるような感じがしてるんです。チームで仕事をするっていうところにフォーカスをすると、今まで現場で考えたときにはフィールドがステージだったと思います。でもチームで仕事をする場合は、チームの中でも裏方であるとか、ステージという前面に立つとか、引っ張っていくとか、陰で支えるとかいろいろな役割分担があり、環境っていうフィールドのステージとは別のところに、またほかのステージがあるような気がしていています。

段ボールの箱でいえば、お客さんの手に何かが届いて、それを開くときというのが一つのステージだとすると、段ボールはそこに立った途端に必要なくなるわけですが、流通っていうところをステージとすると、そのステージには段ボールは主役として出てくるわけです。いろんな方にお話を聞くと、そういったそれぞれのステージをどう意識するかが、結構ポイントな気がするんですよ。

今井 難しいですね、ステージは変われば変わるほど、そこに求められる役割はもうガラリと変わってくるわけじゃないですか。変わっていく中で、どう対応していくのかっていうのはすごく難しい仕事です。村上さんにそういう話をしてもらうまで、まさかガイドとダンボール箱が繋がるなんて全然思わなかったです。ガイドの人たちも、お客さんのスキルに応じたガイドがあるでしょうし、初心者にするようなガイドはエキスパートにはいらない。そう言った部分もうまくフィットしていかないといけない。

村上 がってんさんと辻さんの話ですけど、ステージというものがもしあるんだとしたら、オンステージとステージの手前について、僕、質問させていただいたと思うんですよね。そのときにがってんさんは「いや、あんまり区別してないな」って言いながら、後から思えば「これが裏方かもとか、裏方は確かに見せてないな」みたいな話がポロポロ出てきたと思うんです。
トーカンパッケージの皆さんもそうなんですけど、一丸さんだったら自分はこの設計をするっていうところのステージであったりとか、佐藤さんだったら同じ段ボールでも、出てきたものを評価していく、実際にその製品にしていくっていうところを評価するステージであったりとか、安部さんもふりかけ工場でありながら技術者ではなくて、代表取締役として全体を見てるとこと、そのステージに開発者の人が何かを出してきたときなど、それぞれそこは意識していると思います。

なぜ意識してるかというと、自分のためだけじゃなくて、これはこの人のステージだっていうところに干渉しすぎないというか、相手をリスペクトする気持ちというか、何かそういう意味もある気がするんです。
ガイドの2人の話に戻ってきますけど、ガイドは表現者だって言ったのと同様に、やっぱりそれぞれのステージで表現者であるということなのかなあと思います。

今井 ふりかけもいい例かと思います。商品の名前が「御飯の友」であって、主役はあくまでご飯なんですね。主役に寄り添ってる友が自分なんだっていうことです。名脇役っていう言葉も何度か出てきたと思うんですけど、主役を引き立てるためのポジションをわきまえ、決してメインには出ていかない。どうしても主役に目が行きがちだし、そこに注目して考えがちだけど、その脇にいるというか、そこを取り囲んでいる、支えている人たち、そういうところにもう少し注目したら面白いんだろうなと感じました。

(文 ネイティブ編集長・今井尚、写真提供 辻亮多さん、日本トーカンパッケージ)

次回のおしらせ

次回も引き続き、フィールドアシスタントの村上祐資と、ネイティブ編集長の今井尚がこれまでの放送を総括します。一見つながりの見えなかった話に通じるネイティブのエッセンスについて考えます。

The best is yet to be!

すぐに聞く

アップルポッドキャスト
https://apple.co/2PS3198
スポティファイ
https://spoti.fi/38CjWmL
グーグルポッドキャスト
https://bit.ly/3cXZ0rw
サウンドクラウド
https://bit.ly/2OwmlIT


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?