見出し画像

震災から5年 熊本・益城町の「まちづくり」の今

暮らしをつなぎ続けるヒントを考えるポッドキャスト「ラジオネイティブ」を、テキスト版でお伝えします。今回は熊本県益城町の町職員で、まちづくりの仕事をされる桑原孝太さんの2回目です。

都市と自然に囲まれた暮らしやすい町

村上 熊本県益城町の益城町役場で職員をされている桑原孝太さんにご登場いただきます。益城町といえば、みなさんもニュースで聞いたことあると思いますけども、5年前に大きな地震があって被害があった町です。桑原さんは今、その益城町の都市計画課にいてまちづくりに携わっていますが、明日の町を作ってく過程には、当然5年前に記憶された経験もあるし、町のインフラとか人も、何かしら影響を受けています。そこを踏まえた上でまちづくりを最前線でやっているということで、どういったことを考え、どういった経験を今に生かしているのかをぜひ伺えいたいと思います。

今井 まずは益城町はどういう町なのか、その辺りから伺えますか。

桑原 益城町は熊本県の中央部にありまして、横には政令市の熊本市もあり、熊本市のベッドタウンとしても非常に住みやすい街として有名です。また熊本空港があり、高速道路も通っているなどインフラ関係も充実していて、非常に子育てがしやすい町として、多くの方に住んでいただいています。

村上 僕は何度か益城町に行かせていただきました。東側の方には阿蘇という旅行観光するような場所があって、西側の熊本市には熊本城とかがあって、その間に挟まれている場所です。ベッドタウンという話もありましたけど、農家さんやいろんな生産者さんもいて、ちょっと羨ましいなというか、益城町のエリアで仕事もできるし新鮮なものを手に入り、市場とかに行くと本当に色んなものがあるっていう印象があるんですけど、その辺りどうですか。

桑原 私もすごくそれは感じていまして、隣の熊本市に行くといろんな買い物するところがあって、ちょっと疲れたなと思うことがあれば阿蘇の素敵な自然を感じたり、パワースポットとかもたくさんありますし、とても両極端なところに囲まれた「ちょうどいい街」だなって、私自身も住んでいてすごく思います。

村上 益城町だけじゃなく熊本のそのエリア全部だと思うんですけど、すごく水がきれいで豊富じゃないですか。あれがすごい羨ましいなあと思うんです。

桑原 私は益城町に住んでる時間が長いんですが、ちょっとだけ他県に住んだこともあるんです。私は水道をひねればおいしい水が飲めるのが普通だと思っていたのですが、他県に出て、それが手に入らないんだなと気づいた時に、水が豊富でキレイだったことを改めて実感して、それも含めてすごく好きだなって思える町ですね。

村上 水がおいしいと、なんていってもお酒も美味しいじゃないですか。やっぱり、焼酎ですよね?

桑原  そうですね。益城もう「米益(こめます)」という焼酎を生産してまして、私も飲んだことあるんです。益城に限らず県南の方でもたくさん焼酎がありまして、それを益城の美味しい水で割って飲むと、すごく幸せな時間になります。

今井 都市計画課というところで「まちづくり」の仕事をされてるということなんですけれども、具体的にはいま、桑原さんどんなことを進めているんでしょうか。 

桑原 まちづくりという、だいぶぼやけたような形の仕事なんですが、例えば県道の4車線化事業や、町内の至るところに都市計画道路という大きな道路を通す計画があったり、中心部の木山地区では土地区画整理事業というのが行われておりまして、その辺り全般の土地利用についての検討をしています。また、それらに際して移転を余儀なくされる方も当然いらっしゃいます。さらに震災で家を失われた方もいますので、そうした方々の方受け皿となり得るような土地利用を検討しながら、都市計画という広い視点の中で、住民の方と合意形成を図りながら街全体を考えながら仕事をしています。

スピード感と、合意形成

村上 なるほど。あの実は僕の話で恐縮なんですけど、僕は大学の時に建築学科の都市計画を専門にしていたんです。現場でやられてる桑原さんと、大学で学んできた僕ではちょっと違うと思いますが、都市計画の課題っていうのは、広い視野で見て、何百分の一っていうようなサイズの地図の中で書かなきゃいけないんだけど、その中にはやっぱり1/1のスケールで暮らしている人がいて、そこのスケールのギャップがどうしても出てくると思うんです。ましてや、5年前に地震があって、いろんなものがガラッと変わっている。急遽なおさなきゃいけないものや、急遽通さなきゃいけない道もある中で、スピードもすごく要求されるわけですよね。そうなった時に、今まで考えてきたことをこのために生かすという都市計画というよりは、急に考えて準備することもあると思います。そうすると色々やっぱり課題もあるだろうし、大変なところもあるんじゃないかなって思うんですけど、どうでしょう。

桑原 やはり地震があったことが町の中ですごく大きなものです。その中で「スピード感」は町としてもすごく大切にしてるところなんですが、当然そのスピード感をもつためには、住んでる方々の一人一人に寄り添った形と言いますか、合意形成を図っていくことが必要です。対話して行くところですね。説明会もたくさん行っているところなんですが、そういうところで地元の方の意見をお聞きしながら、それを都市計画だったり、まちづくりに生かしていくというのが根本としてすごく大事なところなのかなと思っています。
その辺りは私自身も地震を経ていろんな経験をした中で学んだことが、すごく今に生かせているとすごく感じてます。 

村上 その中で住民の方であるとか、役場の中でいろんな議論をして、合う議論もあれば反発する意見も当然出てくるんだと思うんですよね。誰かのためにこれだって決める時に、大事にしてる部分はどういうところですか。

桑原 そうですね。やっぱり優先すべき事っていうのは、より多くの人のためになるというところが、やはり公務員として働く上でも当然すごくあります。ただ当然、反発される方だったりとか、なかなか合意を頂けない方もいらっしゃいます。まちづくりや、いろんな都市計画事業していく中で、それは当然ではあるんですが、そこを法的にこうやりますと押さえつけるんじゃなくて、少しでも対応しながら進めていくだったりとか、そういった方々も含めて、今後一人でも多くの人が町に住んでいただける、住みたいと思っていただけるような町を作っていきたいと、すごく自分の中で思っているとこですね。

村上 いろんな方がいると思うんですけどでも益城町全体で見ると、みなさんこういうのを大事にしてるんじゃないかなって桑原さんが感じることは、どんなとこですか。

桑原 これが答えになってるのかわからないんですけど、すごく益城町のいいところにもなるんですが、地域の人と人の繋がりを住民の方一人一人がすごく大事にされてるなと思います。 特に集落部にお住まいの方では、小さい頃からそばにいた人たちが大人になって、今おじちゃん達になって、ずっと同じコミュニティの中で生活されています。私も町職員になってからいろんな場面でいろんな住民の方と関わる機会があるんですが、「結束力」をすごく感じてます。そこは益城町のいいところだと感じてます。

(文・ネイティブ編集長今井尚、写真提供・桑原孝太)

次回のおしらせ

熊本地震で大きな被害を受けた益城町。町の都市計画課でまちづくりの現場に立つ桑原孝太さんに現場で考えることやその気づき、復興とはなにかについても、話を聞きます。お楽しみに!
The best is yet to be!

すぐに聞く

ラジオネイティブ#029「震災から5年 熊本・益城町の「まちづくり」の今」 は こちら から聞けます。

アップルポッドキャスト
https://apple.co/2PS3198
スポティファイ
https://spoti.fi/38CjWmL
グーグルポッドキャスト
https://bit.ly/3cXZ0rw
サウンドクラウド
https://bit.ly/2OwmlIT


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?