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小説

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主に短編ですが、ひとまずのところ、書いたものをまとめています。
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記事一覧

大変なこと

 いつも大変なところに送られてしまう。  そんな言葉を聞いたとき、あぁ、私はきっとこの人…

ふみ
3日前
73

 相変わらず、不気味に思える。  いつ見ても、どう見ても、変わらない。  ため息も、もうこ…

ふみ
2週間前
66

走り続けて

 息を吸うと、肺が焼けそうになる。  息を吐くと、臓腑が出そうになる。  どこへ どこま…

ふみ
3週間前
41

部屋に ひとり

 春を通り越して夏のような日差しに辟易しながら、無理やり遠出した買いものが終わる。汗だく…

ふみ
1か月前
50

おかしいのは――

 部屋の扉をノックすると、どうぞ、と小さく聞こえる。私は聞こえないように深呼吸をすると、…

ふみ
1か月前
38

たとえ ひとり でも

 ふと、気がついた。  それは何か、前触れがあったわけではない。    けれど、もしかした…

ふみ
2か月前
54

横顔

 それは、浮遊感、とでも呼べばよいのであろうか。  いや、浮遊しているわけではない……どちらかといえば、乖離、であろうか。  名づけることにたいして意味を見出すこともできないけれど、人に伝える、そういう意味ではとても重要なことのようにも思う。自分の感覚を、そのままの状態で伝えることなんて、できないのだから。おおむね共通している、言葉、に変換し、なるべく近しいものを選んでいく。近しいもの? それさえ、だんだんと薄らいで、わからなくなりそうにもなる。本当にそれが私の伝えたいこ

どう見える

 彼の左目の端が、きらきらしていた。  あ と思う間に、彼は 「なんだろう、とっても目の…

ふみ
4か月前
107

絵画

 昨日は、一日雨だった。正確には、お昼前に一度止んで、日差しも差しこんできたというのに、…

ふみ
5か月前
111

日常の差異

 あなたの中で、日常とはどんな日々のことでしょう。  それは普通? それは異端? それは…

ふみ
5か月前
73

一夜のための苦悩

 最悪だ……いや、すべて自分の行いのせいだ。  頭を抱えながら、それでもまだ、という気持…

ふみ
5か月前
57

 空を見上げながら歩いていると、何も感じなくてもいいような、そんな気持ちになれる。ものご…

ふみ
5か月前
90

私は どうしたい

 こんなにも、必要とされていない、と感じていることはない。  私はいらない人間で、いても…

ふみ
7か月前
122

まやかし、なのか

 それは、一瞬の出来事だった。  いつもの帰宅道、自転車を転がしている。  この時期、仕事後ともなるとあたりはすっかり真っ暗で、街灯と月明かりだけが頼りの薄暗さが何ともいえない。  高架下を抜けて、まっすぐの山にさしかかるような坂のほうではなく、右に折れて細長い道路へ進路を変える。以前はその坂道を自転車で駆け抜けていたが、今はそんな体力などない。その細い道路を走り、少ししたら歩道に乗って、すぐの坂道を自転車を押して歩けば、すぐに家だ。  そうしていつものように道路を走