[短編小説]GTO物語 ターン編4
女は男の部屋のドアを飛び出した
男はマンションの3階に住んでいたので、そのまま足早に階段を降りてマンション出口まで向かった
エレベーターを待っている間に男に追って来られても困る
エントランスを出て、マンションの敷地から出た
『なんなのよ! なんなのよ!』
『胸が無いって、なに?!』
思い出せば思い出すほどイライラして来た。
パンプスのヒールが威勢よくカツカツと響いては、しくしくと降る雪にその刺々しさは無力化されて雪の白さに消失していった。
「あ!」
と、女が気付いた瞬間、視界の大部分が雪が遠く天から自分へ向かって降ってくる構図に変わった
怒りのあまりに、勢いよく歩いたのが良くなかった
当然路面は雪で滑りやすいのだ
「痛ったーぃ!」
仰向けに派手に転んだ。頭は強く打たなかったもののおしりと背中、とっさに出した右手の平が傷んだ
『わたしのお気に入りのコートもびちゃびちゃ!』
「あれ?あれ?おねーさん、大丈夫?笑」
と、少々人を馬鹿にした様な口調が聞こえて来た。しかも、聞き覚えのある声だ
つづく
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