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顧客の欲しいものを売るな!の真意

販売員の仕事は商品の機能を売ることじゃない

あなたは商品を売るために存在しているわけではない。
商品の機能性を伝えて購入してもらうための存在であればネットショッピングで十分だ。
楽天の商品ページを見てスクロールすれば商品の機能はわかるし、安く購入できる。
アマゾンの購入ページを見れば充実した口コミを見て納得して購入することだってできる。
しかも最安値で・・・。

リアル店舗ビジネスは今岐路に立たされている。
その洋服の生地がどうとかこうとか、洗濯する上で注意しなければいけないこととか、そういうことを教えてもらいながら買うのが店頭ではない。

高いファッションセンスを持ち合わせた販売員の特殊なスキルから繰り出される提案で顧客のライフスタイルを激変させるために存在している。
他の誰でもなく、あなたでなくてはならない!そういう人になる必要がある。

他の例で話をしよう。
来店したお客様にこのテーブルの材質がどうこうとか、メンテナンスの有無などを伝え回るのがあなたの仕事ではない。
その程度の提案ではオンラインショッピングで全てが完結するし価格も相当安く購入することができる。

だから機能を売るんじゃないんだって!売るべきことは、お客様のリビングを激変させて家族のコミュニケーションが活発になり会話時間を増やす、さらには外食しがちな旦那が思わず家に帰りたくなり、家族団欒の場を作らなければいけない(まぁコロナでそもそもの会社付き合いも変わってきたけど)。そのインテリアコーディネートはあなたにしかできないはずだ。

リアル店舗ビジネスの商品の売り方はこれまでもずっと機能を売り続けてきた
エアコンコーナーに行けば各社「〇〇畳」「電力」「クリーナーの有無」「最新エアコン機能」を前面に売り出し販売員はカタログを手に取ってワーワー言っている。
しかも量販店によってはメーカー販売員がいて、情弱な顧客はそのメーカーの商品を無理やり買わされる状態。誰が本当の意味で幸せになっているのだろうか。
顧客のライフスタイルなんて誰も考えていない、売っているのはいつだって機能だからだ。

もううんざりだ、こんな販売手法いつまで続ける気だ?


そのエアコン一台が家庭における電力コスパ一番で自宅の形状的に最も適したパワーや機能である”根拠”を教えてくれ。
日中は家を空けること多い、基本夜だけ暑さから逃れられれば良い。なぜ、そういう顧客のライフスタイルを聞かない?

部屋の広さだけで判断するのが仕事じゃないはずだ。それこそペットがいたらどうなる?パワー重視だったら部屋中に毛が舞うだろう。
顧客のライフスタイルを知り、知り尽くした上でプロであるあなたのベストな商品を提案してくれよ、頼む。
価格や広さだけじゃないんだよぉぉぉぉ

自動車だってそうだ。
メインの車を家族と共に話し合いながら決めたら、ページを捲るかのようにオプションの話をするのはやめてくれ。ついでに言っちゃうと自動車を決めるのだって、二人ならベーシックカーでよかったのが、子供ができたからワゴンにしましょうか、ってありきたりな提案もやめてくれ。

話をオプションの話に戻そう。車を買う行為で頭は疲れているのに次から次へと「このオプションつけますか?つけませんか?必要ですか?必要じゃないですか?」って聞くな、疲れる。
あなたは何のためにそこに座っているんだ?自動車のプロだろ??プロならプロらしい提案をしてくれよ。

顧客のライフスタイルを知り尽くした上で車種+オプションを一発で提案しろ。顧客が納得して「じゃあそれでお願いします」って言いたくなる魅力的な提案をしろよ。

ヒアリングするのもせいぜい「走行距離」「家族構成」「誰が運転するか?」「仕事・プライベートの有無」くらいだろう。

もっと聞くことがある。これまでの走行距離の内訳は?下道?高速??山を越えてキャンプに行ったり、旅行にいったりする?週末の運転で行き帰りで渋滞にハマること多い?ブレーキを踏む回数が多いか少ないかだって車選びには重要なはずだ。高速で渋滞になった時の車内での悲劇をご存知か?子供がいれば「つまんない、早く帰りたい」の一言が発端で夫婦喧嘩にまで発展することがある。

お客様のライフスタイルを理解していれば「後席モニターはあったほうが良いな」とすぐに気づくだろう。ページめくって順に提案することじゃない、顧客のライフスタイルにはマストなわけ。となると車選びはどうだ?後席モニターを純正でつけられる車種になるはずだ。ある程度絞られてくる。決して顧客の選択肢に現時点でなくても全然構わない。
なぜならあなたが売っているのは自動車ではないからだ。

販売員が売るべきものは何だ?

そう、ここまで話せばわかると思うが、あなたが売っているものは機能ではない、「ライフスタイル」だ。

ライフスタイルを売ることで顧客は「こんな提案があったのか?」と一瞬であなたに惚れる。
想定外の提案で人の心は動く、そう感動するわけだ。
この感動はクチコミへと変わり「せっかく買うならあの人から買った方が良い」という声で溢れる。

こんなことを私は自慢じゃないが19歳の頃からやっている。
私の働いていたABCマートでは他の靴店でも同じ靴が買える。それこそ、大好きなアディダスのスタンスミスやカントリー、スーパースーターは他の店舗で買った方が30%くらい安い。それでもわざわざ片田舎の靴店にまで足を運んでリピート購入・家族の紹介・友人の紹介をしてくれる。
中には20名以上紹介してくれた人もいた。

作るのは顧客じゃない、ファンだ!

大変ありがたいことに「ファン」の存在が僕を支えてくれて結果的に日本で一番靴を売る人になれたのだ。
靴の機能を売っていたらどうだろう。また次来てくれるとは限らない。
それこそ既述のとおり、他店がさらに安く売っていればそこに流れていくだろう。あなたでなければいけない理由はどこにもないからだ。

じゃあなぜ、僕は常に200名以上のお客様に指名されながら常にトップセールスで居続けることができたのか?答えはこれだ。

顧客の欲しいものは売るな

だから、僕は10代の頃から「顧客の欲しい商品は売らない」を徹底していた。
えっ?と思うかもしれないけど、介在価値は商品が変わらない限り存在しない。これは紛れも無い事実だ。

靴やパソコンは成田に任せておけばOK。
これは機能を低価格で売っていたからじゃない。
ライフスタイルを高価格で売っていたからだ。

大事なことなのでもう一度言おう。
顧客の想像を超えるライフスタイルを高価格で売っていたからだ。

西野さんの「夢と金」を読んでインスパイアされて書いたnote。
ぜひあなたも西野さんの本を読んだ上でもう一度このnoteを読んで欲しい。


小売・サービス・飲食業専門コンサルティング会社を経営している成田直人です。元ABCマートアルバイト個人売上日本一/PCデポ個人売上7か月で1億円/東久邇宮文化褒章受章/ビジネス書作家/研修講師/コンサルタント