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Adobe Illustrator CS6が使えなくなる

この連絡が入って、えって思ってから半年ぐらいが過ぎた。
2023年1月31日にAdobeのサイトに
「 Creative Suite 6および Creative Cloud サブスクリプションの最初のバージョン(10年以上前のソフトウェア)をご利用のお客様へ:ログインサポート終了のお知らせ」について
ログインサポート終了期限を延期いたします。日程については追ってこちらのフォーラムおよびメールにてご連絡いたします。
とあり、これでまだしばらくAdobe Illustrator CS6は使えるのだろう。

ニュースはIT Mediaさんの下記の記事で知った。

印刷に関する業務が多い仕事をしていたので、MacでIllustrator CS6はすごい使っていた。AdobeCC導入後はCCへの移行を進めていたけれど、それでもCS6を使い続ける部署は多かった。直接の理由はCCが使いづらい、CCが重い、印刷所が対応していない。
CCが使いづらいのはインターフェースが変わってるわけで、古参にはそう思えるだけで新卒で入った子たちは逆に困惑している感じ。
CCが重いのは、リンク先がローカル以外だと貼った画像の描画が異常に遅い。この現象は確かに2015年ぐらいにAdobeCC本格導入したときにあった。当時折込チラシ片面にEPS画像200枚ぐらい貼ってると描画が遅い。この現象は貼る画像が少なければ低減するので、イメージの少ないデザインなどでは気にならない。Macのスペックが2018年頃から上がり、画像ファイルもEPSからPSDを使う人が増えると、Illustratorの描画が遅いと感じる現象はだんだん減っていった。
印刷所が対応していない問題も、時間が進むにつれなくなっていった。業界が斜陽であっても、新しいバージョンに対応できなければ仕事がなくなるためだ。それでも対応されない業者はあり、正直入稿する側はそんな会社は選びたくない状況にあるが、印刷所への同情と変わりたくない気持ちがずっとCS6の入稿を続けさせた。すでに大日本印刷の入稿標準もIllustratorバージョン2020以降が推奨されている。

最初の発表は2022年10月1日に終了だった。それが2023年1月31日になり、今回再度延期になった。4か月の延期の後、再度延期なので、同じ4か月後は2023年6月1日ぐらいか。
Illustrator CS6をあきらめる場合は、現状インストールできるIllustrator 2023 (ver27) か、2022 (ver26) を選ぶしかない。
そうするとインストールするMacやPCのスペックが足りない問題が出てくる。遅いから新しいIllustratorのバージョンを使いたくないなら、新しいパソコンを買うしかない。MacならMシリーズのCPU入ってるもの、PCならWindows11になる。AdobeCCのインターフェースがどうこう言ってる場合でなく、OSが違いすぎて電源を入れた画面そのものが違くてとまどう。

設備投資がかかる。AdobeCCのサブスクの料金も値上がりしている。
でも1990年代の終わりを思い出すと、高額なMacProの本体を拡張して、高額なDTPパッケージを購入し、高額なフォントパッケージを購入し、高額なカラーマネージメントのできるブラウン管モニターを購入していた。アナログ製版からDTPに未来があり、オンデマンド印刷など印刷機の新技術が盛り上がり、投資をする意味があった。
ICT、DX、デジタル化、コロナによるテレワークなど、印刷されていたものは電子化されWebサービスになり需要がなくなり、投資をする意味がなくなった。
グラフィックデザインをする仕事の採算性を考える必要がある。
でもそれで技術が失われていくのも悲しい。

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