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東山魁夷記念館(千葉県市川市・京成中山駅)

東山魁夷といえば山々や幽谷を描く画家として日本を代表する作家の一人に数えられている。湖畔の水面に映る白馬の絵『緑響く』などは教科書にも載っていたりするのでみたことがある人は多いかもしれない。東山魁夷のミュージアムというと長野県にあるのが有名だけれど全国にいくつか点在しており、都内からアクセスも近い千葉県にも東山魁夷記念館があるということを知り訪問することに。

東山魁夷は戦争の復員後から死去するまで千葉県市川市に住んでおり、市川市の名誉市民にもなっている。東山魁夷記念館は魁夷が晩年を過ごした邸宅に隣接して建てられたミュージアムで、住宅街の中に突如として現れるヨーロッパ調の建物が印象的。彼が試作に耽ったという庭も再現されている。なお生前に住んでいた邸宅は同級生の吉村順三が設計したものだそうで、一般公開はされていないものの、巨匠たちの交友が垣間見えるところ。

美術館の入口 風見鶏が素敵ね

展示室は1階と2階にある。1階は企画展として劇場などの緞帳に使われた魁夷の絵を実際の緞帳と共に紹介している。日本画の繊細な色彩を再現するにあたり、下書きには細かい色彩の指定が残されており、その指定通りに一色ずつ表現するための細かい工程がある。緞帳を手がけたのは川島織物セルコンという会社で、江戸時代からの長い歴史を持つ技術の一端がここでわかる。

1階のカフェから庭へ行ける

2階は日本画とスケッチが中心となった展示室になっている。山雲、煙雨、潮騒、濤声…教会のような荘厳な造りをした幽玄なタッチの絵が揃っておりゆっくりと時が過ぎて行く。全体的に建物の外観だけでなく内装も西洋風の造りをしており、海外にいるかのような心持ちになる。来館者が感想を書き込むためのノートが何冊も続いており、根強いファンがいるミュージアムなのかもしれない。トイレはウォシュレット式。

休憩室の天井 八角形の枠が鮮やかね

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