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この秋の勝負ボトムス、ベストの5本!パンツ・ボトムスのシルエットが良い、シルエットが綺麗とは何か?


 まだまだ暑いですが、秋冬アイテムは怒涛のリリースラッシュが続きます。

その中でもいわゆるドメスティックブランドではパンツ・ボトムス類は真っ先にリリースされることが多く、どれを買うか迷われている方も多いと思います。

パンツと言ってもデニム、スラックス、軍パンなどなど、ジャンルも多岐にわたるため、どういう区切り方で紹介するべきか私も迷うところなのですが、今回はもうズバリ、この秋冬の勝負パンツ・ボトムスとして今の所考えているベスト5をドドンと紹介してしまおうということで、やっていきたいと思います。

今回割合としてはドメスティックブランドから4アイテム、セレクトショップオリジナルアイテムから1アイテムという割合になります。

セレクトショップオリジナルアイテムやその他コスパに優れたアイテムもこれからどんどん紹介していきますので、そこはご安心ください。



その前に、私がパンツを選ぶ上で大切にしている「シルエットが綺麗」というワードについてちょっと解説してから、具体的なアイテムを紹介していきたいと思います。


体型をカバーしてくれる、パンツ・ボトムスの「シルエットが良い」、「シルエットが綺麗」とは何か?を復習


 何気なく言ってしまう、「パンツのシルエットが良い」「パンツのシルエットが綺麗」という言葉。

どんなパンツも、脚の長いモデルさんが着ればある程度シルエットは綺麗に見えるものなので、まずは


「着る人のスタイルに依存せず、洋服そのものがシルエットを綺麗に見せてくれる」


という意味、で良いのではないでしょうか。

もちろん着る人に全く左右されない服、というのは無いのですが、それでも洋服の設計図である「パターン」、そしてこれを支える生地によっては、これが自分?と見違えるようなシルエットを、服自身作ってくれるものです。




まずは洋服そのものの形、パターンの話をすると、パンツのシルエットが綺麗に出やすい、というのは、現在のトレンド下ではザックリと2つのタイプがあります。


まずは「テーパード」タイプ。


テーパードタイプ


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テーパードは、スソに向かってどんどん細くなっていく形のこと。

このテーパードをどれくらい掛けるかにもよりますが、脚を理想的なフォルムに見せてしまう手っ取り早い形です。


2000年台中盤から2010年台の後半に入るまで、長らくスキニーパンツがトレンドもトレンドでしたが、スキニーパンツはまず痩せ型でないと厳しい、そもそも脚が細く綺麗でないと似合わない、という難点がありました。

またスキニーパンツは、腰回りからふとももがピタッとしているとかなり不格好なんですよね…。

ふとももがピタッとしていると、それとリンクして顔まで大きく見えてしまうのです。



形をテーパードにすることで、最も印象に影響を与えるスソ幅は細くしたまま、腰回り~ふとももには余裕を持たせることが出来るんですね。


これまではこのテーパードタイプを指して「シルエットが綺麗」と評することが多かったと思います。

ファッション的なトレンドで行くと、現代的に再構築しつつも古着のテイストを残したままの「枯れた」洋服が今絶賛流行中です。

そういったトレンドの洋服と、シャープでシャキッとしたシルエットを作ってくれるテーパードパンツの相性は微妙なものとなってしまいましたが、まだまだ使いやすい、取り入れやすいのはこのテーパードタイプです。


テーパードタイプの弱点としては、生地の影響を受けやすいということ。

テーパードタイプはパターン、形がより重要となってくるので、この形を上手く再現してくれる生地が必要になってきます。

ハリ感があって、肌離れが良い生地が良い、シワが付きやすい生地はあまり向かない、など。


だから全く同じパターンのパンツなのに、生地によって全然見え方が違ってしまったりします。


テーパードタイプのもう一つの弱点は、スソが狭いため、丈を長くするともろにクッションが出来てしまい、全体のシルエットに影響を与えてしまうことですね。

これはくるぶしを見せる「アンクルカット」のトレンドが落ち着いて、むしろ長めに丈を残すトレンドになっている現在ではより顕在化してきてしまいました。

トレンドが変わっても、テーパードでスソが細めなのにクッションを大胆に付けてしまうと一気に野暮ったく見えるというのは変わりませんから、丈感には細心の注意を払いたいところです。


もう一つ、ある意味無理やりシルエットを綺麗に見せてしまうパンツの形、パターンがあって、それが股上が深くて、ハイウエストで穿くことによって生地をズドンと落とす「ハイウエスト・落ち感」タイプ。


ハイウエスト・落ち感タイプ


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テーパードタイプとは根本的に発想が異なり、ハイウエストから生地を落とすことで脚に生地が張り付かず、太ももがパンパンになってしまったり、お尻が生地に張り出したりといった、スタイルに悪影響を及ぼす要素をできる限り排除しようというものです。


そのためある程度太さが必要となり、必然的にワイドパンツになりますが、生地が落ちることによって「縦長感」も生まれ、実際の太さよりもスッキリ見せることが出来ます。

モデルさんが着ているとワイドパンツもワイドに見えないことが多々ありますが、それは脚が長いが故に、縦長感が生まれるため。

その縦長感を、無理やり作り出すのがこの形なのです。



このスッキリ感故に、意外にもこの手のタイプはロングコートと合わせることも可能。


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スソも広めに取れるので、ある程度クッションが付いても大丈夫です。

むしろ丈を長めに取ったほうが、より下半身を大きく見せることが出来ます。

脚を単体で綺麗に見せると言うよりは、上下の面積のうち下を出来る限り大きく取って、下半身を大きく見せ、それによってスタイルを良く見せる、という発想です。



ある意味無理やり生地を落とすので、本来はシルエットを綺麗に見せるのが難しい生地でも、ある程度綺麗に見せてしまうことが可能なのもこのタイプのメリット。

例えばデニムなどですね。

デニムって例えばテーパードタイプで作っても、なかなか綺麗なシルエットに見せることが出来ません。

だから、股上が浅いデニムジーンズというのは着る人の体型にかなり依存してしまいます。

スタイルに自身の無い人がデニムを穿きたい!という場合はこのタイプを選んだほうが良いでしょう。


あとは「白パンツ」なんかもこのタイプが良いですね。


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デメリットとしては、股上が深いため、ハイウエストで穿かないとシルエットが一気に崩れてしまうこと。

ハイウエストで無いパンツと同じように、腰位置を低めに穿くと、とてもカッコ悪いのです。

このことを知らないと、なんだこのパンツは?シルエット悪いなあ…なんて思ってしまうかもしれません。


ウエストが余ったパンツをベルトでギュッと締め上げて穿く、というのは昔からある定番の着こなしで、スキニー一辺倒のトレンドが終了した現在はとても取り入れやすい状況下にありますが、それでもやっぱり腰位置を高くするのって慣れていないとシンドイです。

また時間が経つとズレ落ちてきてしまったり。


慣れの問題とは言え、着心地、穿き心地の面でマイナスがあるのは確かです。

そのため、より上級者的な形と言えるでしょう。


もちろんこの両者の中間的な存在も存在します。

ハイウエストではないけれど、生地自体に強い落ち感があるので、シルエットが綺麗に見える…などです。


中間的な存在も数多存在しますが、大まかに「シルエットが綺麗」となりやすい2パターンのパンツの形を紹介してきました。


これは以前も述べたのですが、今は一つのトレンドがそれ以前のトレンドをあっという間に駆逐して、正解が一つになってしまうような時代ではありません。

本当に皆が無理をしてスキニーを穿いていた頃とはちょっと様相が異なります。

未だに街を歩けばスキニーを穿いている人は多いし、それが「ダサい」というわけでもないですから。

ある程度多様性が確保されているので、各々が無理のない範囲で自分にはこれが合うな…というパンツを選択していける時代なのです。



ではここから、より具体的に、アイテムを紹介していきたいと思います。


 もう数年前から何度も何度も何度もしつこいくらいに紹介しているMARKAWARE(マーカウェア)の通称「ペグトップ」。


パンツに困っている、シルエットがしっくりこない、そしてある程度お金が出せるというなら…とりあえずこれの黒を買ってくれれば間違いないから…というような存在。


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【21AW】MARKAWARE / マーカウェア / ORGANIC WOOL SURVIVAL CLOTHS PLEATED FRONT PEGTOP / A21C-05PT01C


ブランドの柱となる存在だけに春夏、秋冬と様々な生地で作られますが、春夏はウールトロピカル、秋冬はウールフラノ、そして2年前から登場した「サバイバルクロス」という生地が定番となっています。


このサバイバルクロス、いわゆるウールギャバジン、綾(あや)織りの生地なのですが、高密度でザラッとしたドライな質感があり、非常にタフ。

手持ちの初年度のものなどを見ても、全然毛羽立たないんですよね。

起毛させる関係でどうしても毛羽立ちが気になってきてしまうウールフラノと比べると、日常的にガンガン穿ける素材ということで、一気にMARKAWAREの秋冬メイン生地になりました。


厚みはあるのに、その厚みに負けずハリ感も強いので、シルエットもシャープに出ます。


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うーん、やっぱり綺麗なシルエット。

このパンツを穿いたら、正面はもちろんなのですが、何より横から見て欲しいですね。


いわゆるワイドテーパード、ワタリと言ってふともも付け根の一番太いところに太さを取っている形なのですが、それでも変な膨らみが出ない。


ワイドテーパードだと、太いものを細くしていくので、どうしても生地の余りが垂れてきて変な膨らみが出来るのですが、ペグトップはそれが無いんですよね。


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通常のワイドテーパードパンツは、どうしても生地が余り膨らみが出来てしまう。


とことんスッキリスマートに見せられるのがペグトップの良いところですね。


今年のサバイバルクロスは昨年より少し細い糸を使用し、その細い糸を3本撚り合わせて作る三子撚りからできた生地になったことで、より落ち感が出たようですね。

確かに穿く前のハンガーに掛かったレベルで比べると、柔らかさが違います。

昨年までの物は固くてコシがありますから。


ただ正直、ペグトップは太さがそんなに無いため、生地が変わったことによる影響は感じづらいですね。

その落ち感やドレープ感はもっと太さのあるシルエットのほうがより感じられると思います。


さらに昨年と比べて、丈が長くなっています。


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昨年はサイズ1を買ったのですが、今年はサイズ2を買ったこともあって、丈が5cmほど長くなり、ほとんど靴下が見えない、ギリギリの長さになっていますね。

これは身長、サイズによると思うんですけどね。


いわゆるアンクルカット「くるぶしを出して、行きましょう。」とユニクロがCMし出した頃からトレンド的には頭打ちになり、パンツの丈はどんどん長くなっています。


ペグトップもその流れに呼応して年々丈を長くしているんですね。



スタイルの良いMARKAWAREの本店店長さんとかが穿くと相変わらずアンクルカットに見えますが、他のお店の着用画像などを見るとかなり変わってきたなというのが分かるかと思います。


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このスッキリ感は、冬のロングコートなどにも合わせやすいのですが、丈が長めになったことで、よりバランスが取りやすくなったなあと思いますね。

アンクルカットは、脚が短く見えやすいので。


ただし既に説明したとおりテーパードタイプの弱点として、スソが狭いため、丈を長くするともろにクッションが出来てしまい、全体のシルエットに影響を与えてしまいがち。

そろそろペグトップがトレンドに合わせて丈を長くしていくのも限界ではないかな?と思っています。


あとは仕方のないことなのですが、原材料の高騰もあって年々値段が上がってきており、かなり高額なアイテムとなってしまいました。


ペグトップの代用品となるワイドテーパードスラックスとして紹介しているSteven Alan(スティーブンアラン)の「SUPER BAGGY」タイプなどでも、現在は21AWのアイテムとしてはまだ発売していませんが、おそらく良品がまた出てくると思います。


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ペグトップよりは太くなってしまうのですが、この春はこの形の決定版と言えるようなウール100%のものが登場してきたので、秋冬でも期待大です。

また細身・テーパードタイプは、出してくれるブランドがかなり少なくはなったものの、STUDIOUSのCITYというラインでもこの春良い感じのテーパードスラックス出してくれていたので。


スキニータイプとなると、もうかなり限られてしまうと思いますが、やや細身くらいのテーパードタイプならまだまだ今後も色々なブランドから出てくると思います。


ペグトップが登場したときは、まだまだスキニー全盛期が終わりに向かうか、くらいの時だったので、かなり太く感じましたが、今やかなり細く感じるので。

トレンドの移り変わりによる、感じ方の違いというのはやっぱりあります。



ペグトップの丈が長くなって、ちょうど良くなった!という声も結構聞くのですが、まだまだ丈が足りない、


あるいはトレンドの感じ方で、ペグトップでも丈が足りなくなってきた…というのであれば、そこそこスタイルが良いはずなので、その場合は「FLAT FRONT TROUSERS」もオススメします。


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【21AW】MARKAWARE / マーカウェア / ORGANIC WOOL SURVIVAL CLOTHS FLAT FRONT TROUSERS / A21C-05PT01C


こちらはこの春からの新型で、ノープリーツ(ウエストにタックが入っていないということ、ペグトップはワンタック)のストレートタイプ。


※こちらは春夏タイプ

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上の写真は春夏のトロピカルウールのフラットフロント(サイズ1着用)ですが、形は全く同じ。

膝下からはほぼまっすぐのストレートになっており、テーパードはほとんど掛かっていません。

かと言ってハイウエストで高い腰位置からズドンと生地を落とすというわけでもなく、今回紹介した2つのタイプからは外れます。

ある程度、着る人の体型に依存してしまう形ではあります。



ただそれでも、生地がカバーしてしまう…。

もともとシャープなシルエットを再現してくれるサバイバルクロスですが、そこにさらに落ち感が加わり、ある程度太さのあるフラットフロントのシルエットがさらに綺麗に見えるようになりました。



ペグトップもそうだし、このフラットフロントも生地によってパターンが崩れてしまって、シルエットが全然綺麗に見えない…ということもあるのですが、春夏のトロピカルウールと秋冬のサバイバルクロスなら、その心配は無用なんですよね。


もちろん細さは感じさせませんが、もう細さは要らない…というのであれば、フラットフロント、及びこの後紹介するAURALEEのスラックスの方が今はオススメですね。

春夏の生地だと、ちょっとスーツとか制服のイメージが出てしまうのですが、秋冬の生地ならそういった心配もありません。


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