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奈良に住むという選択⑤奈良と遺跡

奈良博の館長さんに就任された方の専門が日本考古学、中でも青銅器の研究をされているそうで、お話を聞きにいったことがある。

奈良は縄文時代や弥生時代の話題が少ないけれど、奈良博にだって、考古のコレクションは沢山あり、ぜひ色々知ってほしい、というような内容だった。

奈良はつい、古代に特化してしまいがちで、でも「中世だって近世だってあるのに!」「戦国時代にもっと迫ってもええやろう!」という古代以外ファンから、詰められることがある(汗) 

実際のところ、遺跡の数はどんなものなのだろう?と調べてみると、奈良で文化財の発掘調査などされている、奈良文化財研究所(なぶんけん)さまのブログhttps://nabunken.go.jp/nabunkenblog/2022/06/20220601.html… にこんな記述がある。

奈良県の遺跡は13,238遺跡。
遺跡数の全国ランキングでは、13位。

ええっ 10位以内に入ってないの?という感じですけど、1㎢あたりで換算すると、3.59遺跡。全国平均(=1.2遺跡)の約3倍。都道府県ランキングでは6位だそうです。

1㎢あたり3.59遺跡ある奈良…なかなかのパワーワード!

 次に遺跡の種類・時代はどうなのかというと、全国で最も多い遺跡の種類は、集落跡。集落遺跡は人間の痕跡が残りやすいんだそうです。その数196,349遺跡。これを時代別に見ると、最も多く確認されている集落遺跡は縄文時代(91,637遺跡)次いで古代(60,667遺跡)、古墳時代(43,268遺跡)、弥生時代(35,946遺跡)と続く。

やはり縄文時代パネエ!縄文時代の遺跡数が全国で最も多いのか~というとそうではなかった!縄文時代の遺跡数は全種類あわせて95,103遺跡で第2位。第1位は、なんと遺跡数207,511遺跡!ぶっちぎりで古墳時代なのだそうです! 

さあ、これを奈良県にあてはめるとどうなるのか。

奈良で最も多い遺跡の種類は9,663遺跡もある古墳・横穴。なんと県内全遺跡数の7割以上を占めているそうです。
県内の集落遺跡は2,028遺跡もあり、その4割超は古墳時代の集落(874遺跡)だそうです。つまり奈良の遺跡といえば、イコール古墳!と言っていい。

これだけ古墳が多く、古墳にまみれ、古墳とともに暮らしているのが奈良県なのです。

昔東北の果てしなく続くかのような大地を車で走っていて、行けども行けども田園が続きその美しさに息を飲む一方、「ところで古墳はどこ?」と思ったものです。

緑の森があれば、古墳かと思い、丘を登れば「ここは古墳では?」と疑い、「あの山は…」と指差すひとに「いいえ、あれは山ではありません。古墳です」と訂正してきたのは、奈良県に与えられた特権のようなものであった。

顔を上げれば古墳という特殊で特別な環境という恩恵に、奈良県民は浴してきたのでした。

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