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拉麺ポテチ都知事25「DリーグにみるポストEDM」

危ない危ない、当欄に復帰していきなり週一更新を逃すところだった。すっかりコロナの新規感染者が減って渋谷はいい感じに人が出ている。人の波を横目に自転車を転がしながら、コロナワクチンの非接種者は我が国においてマイノリティだということに思いを馳せた。立憲民主党は私を守ってくれるのだろうか。

最近は色々な記事を書いて心地よい疲れが残っている。コルトレーンの伝記映画のレビューは特に楽しかった。あの映画自体は音楽的に見れば中途半端で、一生を語り切った後のエンディングを「ブルートレイン」にするのは商業的すぎて笑ってしまうが、様々な写真や藤岡靖洋氏の肉声が聞けるという点では楽しめる。

とにかく面白いのはDリーグだ。すでにセカンドシーズンが開幕して2節までが終わったが、こんなに心が踊る国産コンテンツは滅多に出会えないだろう。各チームのディレクターへのインタビューもReal Soundでやっているので興味のある人はぜひ見てみてほしい。

前にも書いたのだが、前節で私が推していたのはavex ROYAL BRATSだった。とにかくディレクターのRIEHATA氏が光っていて、個人的にAwich風に言うところの「もっとイケる」アーティストのひとりだ。そのaRBが今季、全員が脱退してディレクターもメンバーが総入れ替えになったのである。その結果として依然とは別物のチームとなった。新チームの今後は見守っていきたいのだが、やはりRIEHATAのカリスマ性はすごかったと思い知らされる。

恐らく今年一番聴いた音楽はaRB「QUEEN」だと思う。ビートも歌も良いのだが、やはりコレオグラフとパフォーマンスが素晴らしいことによって、曲が引き立つのがすごい。この曲はざっくり示すと<A-A-B-A-C-D>という構成になっている。完全にポップスの構造ではないし、ヒップホップやR&B、EDMとも違う。しかし、心が動いてしまうのはやはりダンスの印象ファーストだからだ。

EDMがもたらした一番大きな変革は構成だった。Jポップでいうサビ、ヒップホップでいうフックに重心を置くのではなく、その次に来る間奏を「ドロップ」と名付けて聴かせどころにした点に真価がある。あまり指摘されないが、これがなければEDMはただのテクノやエレクトロなのである。

腕の見せ所がドロップになると演奏やビートが主役になる。となると必然的に間奏が見せ所だったダンサーたちにも光が当たりやすくなったとも言えるだろう。その構成をダンスが変革するというのは面白いかもしれない。これはまだ憶測でフォーマットもよくわからないが、ダンスに音楽が追従するという未来がやってくる気がする(TikTokなどで既にそうなっていたら思い違いだが)。

そんなところにも注目してDリーグは観てほしい。そして優秀なビートメイカーや音楽家はどこかのチームと契約して、どんどんコラボするといい。ビジネスとしても創作としても申し分ないはずだ。私に連絡をくれれば、どのチームがいいか提案することもできるのでぜひ。

今期のおすすめショウケースについてはまた追って書ければと思っている。それにしても、この年になってワクワクできるのは幸せだ。たとえ私が不遇の音楽家に終わったとしても、これがあれば楽しく一生を過ごせるだろう。

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