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4周年を迎えて

4年前の今日を振り返れば、お客さんとも直接会えず、一緒に作品を作っている仲間たちともzoom越し。そこから少しずつ、お客さんがホテルに来て下さるようになって、マスクも外せるようになって。今年はみんなで叫んだり、グータッチしたり。やっぱりリアルな体験、とりわけダイレクトに人肌まで感じれちゃうイマーシブエンタメやっぱ好きだなぁって、改めてそう思えた一年でした。

もちろん日々新しい感染症が生まれ、何が起こっても変じゃない世界で生きてるわけですけど、それでも2024年は確かな日常を取り戻した区切りの年であったことは間違いありません。その一方でここ数年は社会情勢が“戦うべき敵”として目の前にいて、ソレが姿を消した今、じゃあ次はどうしよう?って自問自答の日々を過ごしていたのであります。

これは僕の厄介な性格ですが、ピンチの方が燃えると言いますか、日常も戻って有難いことに年二公演の制作〜上演も安定しはじめた今、自分の成すべき仕事はまだここに残っているのだろうかと、そんな邪念が顔を出していました。この仕事を続けていくためにも、成すべき仕事を自ら掘り起こしていく、そんな一年でもあったのです。

ではその答えは見つかったのかと言うと、ちゃんと見つかりました。5年10年かけて追い求めていきたいものから、すでに取り掛かっている個人レベルの小さな挑戦まで。いつかちゃんと形にして発表できる日を迎えられるよう、日々精進です。

その中の大きな目標の一つが、首都圏以外の場所、とりわけ先ずは関西圏において、持続可能なエンタメ拠点を築いていくことです。

有難いことに公演アンケートやSNSなどで「東京でも上演して欲しい」というお声を幾度となく頂きました。心から嬉しい気持ちでいっぱいなのですが、それと同時に仕事を続けるなかで、リアルエンターテイメント・舞台芸術業界における地域間格差を目の当たりにすることが多く、その頻度は年々加速しているように感じます。(関西ですら、です。)
民間への機会供給差は言うまでもありませんが、制作者や表現者の雇用、メディアリレーション、そして課題は地域だけにあるわけではなく、首都圏において文化が異様なスピードで消費され続けていく様も根源は同じように感じます。

エンターテイメントはこの世界で生きていくための活力剤です。仕事や学校、家庭で、理不尽な状況でも言葉をグッと飲み込み、SNSに溢れる誰かを陥れる言葉たちに心を病み、それでも前を向いて生きていくために必要不可欠なライフラインです。そしてストレスがあるのは一部の地域だけではありません。水道や電気、インターネット回線と同じように、エンターテイメントも住む場所に関係なく、須く供給されるべきです。

プロデューサーの仕事は、毎日数字と睨めっこです。自社だけではなく他事業者の集客推移から地域別のマーケット規模も大凡把握しています。事業として市場を捉えることは当然必要ですが、数字だけを頼りに誰もが行き先を決めるとどうなってしまうのか。
渋滞が起きて、文化として居残る前に消費されてしまい、結果目指していた未来を見失いかねません。それはやっぱり寂しい。自ブランドの成長だけでなく、業界全体がもっと豊かになって、面白いエンターテイメントが自分の暮らす街にもある。そんな未来の方が楽しそう。

泊まれる演劇は京都で生まれ、関西で育ってきました。もちろん首都圏を含むあらゆる場所の方々に支えられて今があることは言うまでもありません。いつか東京でも仕事をしたいし、今現在東京で活躍している人たちに強い憧れや尊敬の念もあります。でもまずは、自分たちの足元に流れるものを大切にしたい。今は強く、そう思っています。

今日から泊まれる演劇は5年目を迎えます。改めてどういうブランドでありたいかを考えた時に、スーパーの生鮮食品売り場で『わたしたちが作りました!』っておじさんが笑顔でピースしてるような、あんたら誰だよ〜!?ってツッコミながらも、でもすぐ近くで田んぼを耕してそうな、そんなチームでありたいなって思ってます。

また一年、たくさん遊んでくれたら嬉しいです。よろしくお願いします!

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