[3−11]最強のぼっち王女がグイグイ来る! オレは王城追放されたのに、なんで?
第11話 この方は?
「アルデ……帰ってきてたんだ……」
アルデたちが近づくと、シバを撫でていたミアが立ち上がった。
するとオレの背中が小突かれて、ティスリが言ってくる。
「アルデ。この方は?」
「え? あ、ああ……彼女はミア・ミズーリと言って、村長の娘さんだ」
オレが紹介すると、ミアはにこやかに会釈をした。
オレの隣に並んだティスリも会釈を返してから、オレを見上げてくる。どことなく、睨まれているような……?
「ずいぶん親しげなのですね?」
「親しげも何も……そりゃクラスメイトだったんだから当然だろ」
「へぇ……ということはこのミアさんが、ウルグさんの言っていた幼なじみの女性、というわけですか」
「よ、よく覚えているな……っていうか、クラスメイトはみんな幼なじみだからな?」
「ふぅん? ということは、他にも仲良しの女性がいるということなんですね」
「そ、そうは言ってないだろ……!?」
そんなオレたちのやりとりを、ミアは不思議そうに眺めていたので、オレは、ティスリとの話を打ち切ろうと試みる。
「ほ、ほら、お前の紹介もしなくちゃだから……」
「そうですね。ではそのあとに、アルデのクラスメイト全員を紹介してもらいましょうか」
「な、なんでだよ!?」
「従者の交友関係を把握しておくのも主の務めですし」
「んな主いねぇよ!」
「なら、せっかく故郷に来たのですし、この機会に同窓会でもすればいいでしょう? ついでにわたしも参加しますから」
「卒業してから一年半程度で同窓会するものか? ってか、どうしてそこに同窓じゃないお前が入ろうとしてんだよ……」
「なるほど。わたしは除け者、ということですか」
「除け者じゃなくて部外者だろ!?」
「あ、あの……」
会話の打ち切りに失敗したオレだったが、ミアが戸惑いながらも声を掛けてくれたので、ティスリとの言い合いはひとまず終了する。
や、やはり……オレの嫌な予感は的中しそうだ……して欲しくはないのだが……
オレは、内心に冷や汗を掻きながらも、ミアにティスリを紹介する。
「すまんすまん、こっちはティスリ・レイドと言って政商の娘さんだ。今のオレの雇用主でもある」
そうしてオレは、家族と同じ説明をミアにしようとしたところ、彼女のほうから言ってきた。
「そうだったんだ……ティスリさん、どうぞよろしくお願いします」
「ええ、こちらこそ」
「立ち話もなんですし、うちに来ませんか? 扇風機もあるから涼しいと思いますし」
オレとしては、出来れば立ち話で済ませてこの場を去りたいところなのだが……
しかしティスリは、オレが断る前に頷いてしまう。
「そうですね。ちょうど、村長さんにはご挨拶に伺おうと思っていたところでしたので」
「あ、そうでしたか。でも父はあいにく不在でして」
「なら娘さんのあなたでも構いません」
「分かりました。ではすぐそこですから、ご案内しますね」
そうして、オレの意志とは関係なく、ミアの家へと案内されてしまうのだった。
何事もなければいいのだが……ってか何事も起きるはずがないのだが……
オレはどうして、こんなに汗を掻いているのだろう……?
ああ……夏だからだな。
どうしてか、汗は冷たかったけれども。
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