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エキサイティング・リベンジャー

 初号試写という映画が完成して初めてキャストやスタッフにお披露目する最初の試写があり、大泉学園にある東映のスタジオにきている。

 みんなに見せる初めての機会なので、監督はもちろんプロデューサーチームも少々緊張している。上映後にみんながどんな反応をするか気が気でない。自信を持って完成させたという思いはあるのだけど、この緊張は毎度のことだ。

 上映終了とともにワーっと拍手が鳴る。
 しかし、これは礼儀というか儀式的なものでもあり、拍手が起こらない試写というのはほとんどない。逆に、勝負はこのあと。試写室から出てきた人々の反応でおおよその感想がわかる。
 面白くなかったりすると、あんまり目を合わせようとはせず、声をかけても顔は笑顔なのだけど「いや、良かったですよ、それじゃ」とか言ってそそくさとその場を立ち去ろうとする人とかがいる。ちなみにそれは僕がやるパターンだ。あんまり面白くなかった場合、僕は気持ちが顔に出ちゃうので、長居すると気まずいことになるからなるべく会話せずにその場から去ることにしている。

 試写室の扉が開き、ゾロゾロと人が出てきた。
 そして、一気にみんながその場で会話を始め出す。監督を取り囲み、またあちらこちらに人の輪ができては、いや、面白かった! あのシーンがさあ、と観た直後の感想を言い合って盛り上がっている。
 映画の内容は大分類するとリベンジもの(復讐もの)にあたる。先が二転三転するエンターテイメントストーリー。その面白さがちゃんと伝わっていた。
 ひとまず成功したとホッとする。スタッフもキャストも当事者であり身内なので、もちろん本当の戦いはまだまだこれからなのだけど、身内であっても好感触なのは嬉しいものだ。
 今日一番の仕事は終わったなぁと一息つく。

 が、僕には、まだこの地でやらなければならないことがあるのだった。
 映画とは別の、僕個人のリベンジだ。

 以前記事にも書いたことがあるのだけど、大泉学園に来た時に二日酔いで食べられなかったラーメン屋があった。そう、だから今日はそのリベンジマッチを決意している。
 グルテン制限宣言をしたばかりでなんだけど、リベンジなのだから仕方ない。食うか食われるかなのだ。なので、今日は急遽チートデイとすることにした。

「エキトンの店 井の庄」
 エキトンってなに? と思ったら「エキサイティング・トンコツ」という造語の略らしい。いや、もっとよくわかんない。この店は「エキトン」だけじゃなく、ちょいちょいメニューなどに面白いネーミングをしている。そういうのは、うん、嫌いじゃない。

 券売機を見るとスタンダードな「エキトン」に対して、「あこがれのエキトン」というメニューがある。あこがれの=特製を意味するらしい。チャーシュー3枚と味玉付きのメニューがあこがれというわけだ。あとはシロベジやカラベジ、トマベジなど追加トッピングできるニンニクのせ野菜がある。二郎インスパイアなのか、野菜とニンニクを増したい用のトッピング。シロベジがスタンダード二郎。カラベジはその辛い版、トマベジはそれにトマトを足したようだけど、どういう感じになるのかはあんまり想像がつかなかった。
 せっかくだからベジも頼むことにした。味変も楽しめそうなので、カラベジにしてみる。

 エキトンに味玉とカラベジをトッピング。店員さんに「カタめ」と伝えつつ食券を渡すと、「ご飯つけますか?」と聞かれた。平日はランチサービスがあり、白飯ではなくなんとミニ豚ごはん(月・水・金)がつくという。ちなみに火・木はミニジロめし。食べ過ぎかもと思うが、せっかくなのでお願いする。

エキトン+味玉+カラベジ+ミニ豚ごはん エキトンの店 井の庄@大泉学園

エキトン+味玉+カラベジ+ミニ豚ごはん

 豚骨で細麺だから、出てくるのは早い。
 さっそく一口スープを飲んでみる。お、結構うまいぞ。3日間寸胴で豚骨を煮込んでいるというだけあって、濃厚な味。それでいて臭くないという僕が最も好きなタイプ。麺を啜れば豚骨スープがずるずるといい感じに口に入ってくる。リベンジした甲斐があるな。なかなかうまいぞ、ここ。
 ノーマルのトッピングがキクラゲ、メンマ、ネギ、のりの4つ。そういえば、キクラゲとメンマが一緒に入ってる豚骨って少ない気がする。さらに、このメンマが、お店の知恵なのかちょっと面白い。キクラゲくらいの細さに切ってあるのだ。おかげで麺やキクラゲと一緒に啜れる仕様になっている。メンマをこういう風にするのって、初めての感覚だし、新しい発見だと思う。すすれるメンマ。なかなか素晴らしいアイデアだと思う。

カラベジ

 さらにカラベジを入れてみる。ラーメンのメニューの一つにマッカッカなエキトンという辛いラーメンがある。カラベジはそこまでではないものの、辛味ダレが野菜にかけてあって、ラーメンにかけると一気に辛豚骨へ変貌する。さらに二郎的インスパイアだけにニンニクスライスがたっぷり入っていて、辛さとニンニクで、二郎というよりは中本方向へ舵を切った感じがする。二郎方向への味変ならシロベジ、中本方向への味変ならカラベジを選ぶべしという感じ。いや、とにかくどちらにしてもニンニクのパンチが一気に加わるので旨みが倍加・加速する。ニンニク好きにはたまらない。

ミニ豚ごはん

 そしてミニ豚ごはん。チャーシューの角切りがゴロゴロと乗っている。通常メニューだと、ミニではないけど、豚ごはんは450円で販売しているメニューだ。それをサービスしてしまう太っ腹さ。恐るべし。これが食へのエキサイティングということか?

 が、ちょっと量を間違えた。一応、麺とご飯は完食したものの、スープも思ったより飲めず、細かい野菜は残してしまった。リベンジへと向かっていって、返り討ちにあった気分。

 これはもう一度リベンジする必要がある。次はベジかご飯はどちらかだけにするか? いや、そんなひ弱なことを言わずに、あこがれのエキトンで再リベンジしてやる!

 僕のエキサイティングなリベンジはまだ始まったばかりだ。
 そしてグルテン制限生活も始まったばかりなのだ!


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