2024年に鳴り響いた「いつか見たかげろう」(The Street Sliders)
2年前の1月頃だったと思う。こんなプレイリストを作って聴いていた。
まだコロナ禍で、いつ収まるのかと不安な時期。この流れは結構気に入ってて、冬の寒さを凌ぎ春を待っていた。
特に最初の4曲。ザ・バンド〜ノラ・ジョーンズはスワンプ・ロックの香り。そこから、NHK『ドキュメント72時間』のエンディング・テーマでお馴染み、松崎ナオ「川べりの家」、そしてザ・ストリート・スライダーズ(以下スライダーズ)の「いつか見たかげろう」へとなだれ込む。レイドバックするスワンプ・フィーリングを「川べりの家」やスライダーズに感じていた。後半のヴァン・モリスンもこの感覚に近い。
スライダーズはストーンズの影響を受けているとデビュー時から言われていたが、ストーンズの「疲労感」を、日本語の持つ叙情的な歌詞とタメの効いたリズムで表現していると思う。そう、人生はとかく疲れるものなのだ。
ハリーの歌詞の主人公は、いつも疲れていて、遠くを見たり、膝を抱えて夜の街を彷徨いている。その世界観から「儚さ」を感じる。
「川べりの家」の最後の一行にも通じるし、だからこの2曲を繋げたのだろう。
とても儚いものだから 大切にして
一瞬しかない 一瞬しかない
まさか、2024年に生で「いつか見たかげろう」を聴くとは2年前には全く想像してなかった。2000年の解散武道館を観て、再結成はないんだろうな、と思ったから。あの日の、しとしとと降る雨は余りに切なかった。
なので、今回の40th Anniversaryはとても嬉しかった。新たな記憶が上書きされたから。2023年のツアー後にこんなことを書いた。
最新型のスライダーズ、つまりとてもポジティブなライヴだった。
そして今年の春のツアー。アンコールの一曲目で「いつか見たかげろう」が演奏されたのである。元々はシングル「Shinin' You」のカップリングで、このBOXセット他でも聴ける。
2年前にプレイリストに入れた時は物憂げなムードの曲たちに混ぜてた。しかし今回のステージでは、昨年同様ポジティブなグルーヴを聴かせてくれた。腰の座ったバック・ビートだった。40周年に相応しいチョイスだと思う。
僕たちファンは、今回の再結集でもう一度マジな涙流したし、忘れちまうことはないだろう。4人は僕らに優しく微笑んで、あの夜のままにいつまでも揺れているだろう。
オマケ(くすミュージックが発行していたフリーペーパー『KISS M』より)
my note #87
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