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展覧会レポ:AMATEUR「vol #1 Akira Kamo / Taro Maruyama / System of Culture」

【約4,100文字、写真約10枚】
2023/11/11、南青山のH BEAUTY&YOUTHに新設されたギャラリー「AMATEURアマチュア」に初めて行き、展覧会「vol #1 Akira Kamo / Taro Maruyama / System of Culture」を鑑賞しました。その感想を書きます(アローズについても調べました)。

結論から言うと、わざわざ「ギャラリー」目当てに足を運ぶ必要はないと思いました。1)展示数が約10点と少ないこと、2)展示場所が売り場付近の小さいスペースや廊下だったためです。なお、アパレル店舗とアートの関係性を感じる上では参考になりました。

展覧会名:vol #1 Akira Kamo / Taro Maruyama / System of Culture
場所:AMATEUR
おすすめ度:★★☆☆☆
会話できる度:★★★★☆
ベビーカー:ー
会期:2023/11/11(土)~2024/1/18(木)
休館日:無休
住所:東京都港区南青山 3-14-17 H BEAUTY&YOUTH B1F
アクセス:表参道駅から徒歩約5分
入場料(一般):無料
事前予約:不要
展覧所要時間:約10分
混み具合:ストレスなし
展覧撮影:撮影可能
URL:https://store.united-arrows.co.jp/brand/hby/news/2023/11/h-beautyyouth-parcelh-beautyyouthamateurh-beauty-youthb1f-h-beautyyouth-3-14-17.html 


▶︎訪問のきっかけ

H BEAUTY&YOUTHの入口

訪問のきっかけは、美術手帖などのSNSを通じて、南青山で(株)ユナイテッドアローズが運営するH BEAUTY&YOUTHに「AMATEURアマチュア」というギャラリーが新設されることを知ったためです。表参道付近は、ヴィトンやプラダなど、様々なギャラリーがあります。そこで、ユナイテッドアローズはどのような展示を行うのか興味がありました。

▶︎アクセス

AMATEURアマチュア」は、表参道駅から徒歩約5分。場所を探す際「AMATEUR」で検索するより「H BEAUTY&YOUTH」で検索した方が良いです。ギャラリーは地下1階にあります。

H BEAUTY&YOUTH」は、東京のハイエンドなスポーツ・カジュアルスタイルを魅せる「ビューティー&ユース ユナイテッドアローズ」のピークに位置するコンセプトストアだそうです。店舗は、アローズで最大規模の約1,300㎡で地下1階〜地上2階の3層フロア構成。オリジナルのウエアや国内でもレアなブランドの品ぞろえに加え、厳選された古着なども展開しています。

私がアローズに入るのは数年ぶり、「H BEAUTY&YOUTH」に入るのは初めてでした。私の洋服の買い方は、1)好きなブランドの春夏・秋冬のルックブックが出たらチェックして、その中から欲しいものを買う、2)SNSで見かけて気になったものを買っています。そのため、私はセレクトショップで買い物する習慣がありません。

「H BEAUTY&YOUTH」は、駅ビルに入っているような「BEAUTY&YOUTH」と違いました。ただ整然と商品を置いているだけではなく、見ていて楽しい、買い物欲を刺激されるような陳列が印象的でした。また、エッジが効いたブランドや、古着を扱っていることは特徴的でした。youtuberの買い物動画でも、ほぼ必ず立ち寄られている店舗です。

なお、店内でブランド表記がないため、見づらかったです。VMDが、商品軸ではなく、アイテム軸だからなのかもしれません。

住所:東京都港区南青山 3-14-17

▶︎「AMATEUR」とは

ギャラリーは地下1階

Hの店舗オープン当初より店内アートのディレクションを手掛ける、馬喰町のギャラリー「PARCEL」ディレクターの佐藤拓氏、監修によるギャラリー「AMATEUR」をH店舗内(B1F)にオープンします。個展開催(年5回予定)を通じて、表現方法に限定されることなく、双方の視点でキュレーションされた作家の作品展示・販売を行います。

リリースより

「H BEAUTY&YOUTH」の店内アートのディレクションを行うギャラリーの方が、「H BEAUTY&YOUTH」内に「ギャラリー」を作ったようです。オープンは2023/11/11。「AMATEURアマチュア」とは、常に挑戦する姿勢という意味が込められています。

▶︎「vol #1 Akira Kamo / Taro Maruyama / System of Culture」感想

地図(分かりづらい)、作品リスト、説明(赤いシールは売却済?

AMATEURの1回目の展示として絵画の加茂昂、彫刻家の丸山太郎、写真家のSystem of Cultureの3名による展覧会を開催します。3組の作家に共通するのは、それぞれが「日常」というものに向き合い、それを再解釈、再構築の上、作品として発表している点です。日常を改めて考え直すヒントを得られる展示になっています。

公式サイトより

全体を見た主な感想は以下です。
■プレスリリースするほどの代物ではない。
■売り場とほぼ融合していて「ギャラリー感」がない。
■アートに興味がある人が、わざわざ寄るほどではない。

まず、展示数が11点と少なく、展示場所は、売り場の端の小さなスペースや廊下の壁です。ギャラリーと聞くと、てっきり独立した部屋があることを想定していました(Galleryには、回廊・廊下という意味もありますが…)。

これくらいの展示ボリュームであれば、普段の業務の一環として、アートを展示しているショップもあると思います。PR TIMESにリリース掲載までしているため、私は期待値を上げ過ぎてしまいました。

売り場近くにアートを展示することで、店内が知的な雰囲気が満ちるのは良いと思いました。店内がスタイリッシュで、まるで海外の高感度ショップのようだとも感じました。

アート作品から何かを感じるというより、アートが店全体や服を引き立てているくらいの印象でした。それを悪いとは思いません。しかし「ギャラリー」と言われると若干の違和感を感じます。「ギャラリー」と名乗るくらいなら「ATELIER MUJI」くらいの規模で実施してほしいと思いました。

馬喰町のギャラリー「PARCEL」ディレクターの佐藤拓氏にとっては、アートを展示・販売できる。「H BEAUTY&YOUTH」にとっては、売り場の感度が上がる。ビジネスとして、お互いにwin-winな結果が、ギャラリー「AMATEUR」になったと思いました。

なお、店舗同様にギャラリーの運営も20時までであること助かりました。

▶︎まとめ

入口サイン

いかがだったでしょうか?リリースまでしているため、期待し過ぎてしましました。ギャラリーのために「H BEAUTY&YOUTH」に行くのではなく、「H BEAUTY&YOUTH」に行ったらギャラリーもあったんだ、くらいの感覚がちょうどいいと思います。なお、アパレルショップとアートの関係について、気付きが得られた点は良かったです。

▶︎ユナイテッドアローズについて(おまけ)

セレクトショップについて、少し調べました。私にとって、セレクトショップといえば、主に以下が思いつきました(売上順)
ユナイテッドアローズ:1,301億円(2023年3月期)
・ビームス:831億円(2023年2月期)
・アーバンリサーチ:494億円(2022年1月期)
・シップス:241億(2023年2月期)

これらの中で東証に上場している企業はアローズ(証券コード:7606)のみ。セレクトショップ界隈では、アローズの売上がダントツの一位です。店舗数は298。アローズ内に事業会社が連結で何十社もあると想像していましたが、アローズ、コーエン、アローズ台湾の3社と非常にシンプルでした。

クロムハーツは、2024 年12 月末日で持分の保有が終了します。それに伴い、株主優待(15%オフ)が使える期限は、2024年6月末までとなりました。残念😨

2023年3月期の上期(連結)では、売上高1,301億円、営業利益率が4.9%です。アローズ単体の売上は1,184億円のため、連結業績を理解するためには、アローズ単体を見ておけばほぼ問題なさそうです。

アローズは2032年度の長期目標を開示しています。2032年度には、売上高が2,500億円(2023年度の約2倍)、営業利益率は10%を目標としています。営業利益率の改善はトップラインの拡大を掲げています。現在と比べた売上増加幅の約1,200億円のうち、4割を新業態3割を既存のアローズで伸ばす計画です。新業態が何なのか、今後のアローズのニュースに注目です。

アローズが2023年8月期に初めて発行した統合報告書も見ました。デザインが洗練されており、トンマナからアローズらしさをバシッと感じます。文章と写真のバランス、定性的・定量的な内容のバランスも良く、インタビューの分量や掲載場所も適切だと感じました。ステキなポートレート写真も多いです。個別には、1)オリジナル商品割合が57.8%と高いこと(10%くらいと思っていました)、2)年齢軸の課題として、顧客の年齢層別の分布、顧客単価の開示(ブランドの老朽化が課題)が印象に残りました。

アローズはサステナビリティにも注力しており、SBT認定を取得しています。温室効果ガスの排出削減目標を出す企業が多い中、実はSBT認定されている企業はわずかしかありません。また、ヒトへの投資の定性・定量的な開示も充実しており、人材を重要視している姿勢が伝わってきました。

なお、アパレル企業では珍しくnoteのアカウントがあります。更新頻度は月に多くて5回程度。月次売上高のnoteでは「投資家からいただいた主なご質問」を掲載するなど、IR NEWSとは別の切り口で更新しているようです。メールマガジン、SNSなど様々な情報媒体がある中、noteを選んだ上で、何を発信していくのか?担当者も試行錯誤の最中だと推測します。

Thank you for your support!