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いらっしゃいませ神奈川・秦野の春と桜

ぼくの出身県の神奈川県は、県境をなぞるとぼんやり動物のような形をしていまして、右(東)向きのラクダみたいな、そんな変わった形をしています。

そのままラクダに例えるなら、顔部分は横浜、川崎エリアで東京湾に接し、前足部分は三浦半島、南側のお腹部分は相模湾に面しています。
ラクダのコブにあたる県北部は丹沢たんざわ山地の国定公園になってまして、最も西側の後ろ足部分が箱根の山です。

北部の丹沢エリアを除けば、お正月の"箱根駅伝"のコースが、ほぼまるまる重なります。

その丹沢山地の南側の麓に、県内唯一の盆地となる秦野盆地がありまして、ぼくはこの秦野で育ちました。読み方はハタノじゃなくて、ハダノ。HADANO です。
きれいでおいしい湧水が多く、環境庁による「名水100選」にも選ばれた土地です。
市内の多くのところから、晴れた日には富士山も良く見えます。

ぼくの通っていた東小学校近くからの富士山。

盆地なので、四方をぐるりと山に囲まれた秦野。
そんなどちらを向いても山が目に入る環境で育ったぼくは、山の見えないところでは少し落ち着かないかもしれない。

とか言いつつ、実はすっかりビルばかりの都会の景色に慣れ、いまでは正月と夏に帰るくらいの頻度なのですが、変わらずそこにある癒やしの山々を求めて、"帰る"のではなくて敢えて"旅する"感覚で、地元・秦野の春をぶらぶらしてみることにしてみました。

春といえば"桜"。
秦野にも見応えのある桜スポットがいくつかありますが、そのひとつが"はだの桜みち"という愛称の付いた桜並木。その全長は約6kmあまりで、県内最長だそうです。

美しい桜のトンネルを抜けるのを楽しみたくて、みんなゆっくり車を走らせるもので、満開時期は渋滞になるそうです。これは丸山・父による情報。

約6km続く桜のトンネル。

東名高速「秦野中井IC」を下りて、北へ走ってすぐの"西大竹"という交差点を西に曲がると、トンネルの始まり。
ちなみに終点の"新橋"という交差点からは、新東名の「秦野丹沢スマートIC」が近いです。

"桜みち"の途中で「震生湖」に寄るのもおすすめです。
大正12年の関東大震災で出来た湖で、河川と繋がってるわけではなく地下水脈を経由して水がたまっています。

震生湖公園になっていて、駐車場もあります。
ちょっとした階段を降りて、湖の畔へ。
きれい。

めちゃくちゃ余談ですが、ぼくは高校生のときに50ccバイクでこの「震生湖」に遊びに来て、雨上がりのマンホールにタイヤを取られて転倒したことがあります。怖かったなぁ。
くねくね道なので運転注意です!

"桜みち"の終点ちかくは"戸川"と呼ばれるエリアで、県立の「秦野戸川公園」があります。
秦野市内を貫く「水無川みずなしがわ」の上流に近く、対岸を渡す"風の吊り橋"が架かる公園です。
ちなみに水無川には、水あります。

かっこいい、風の吊り橋。
可愛らしいチューリップと桜。

1997年に一部開園、からスタートしたこの戸川公園は、広くてきれいでぼくも大好きなスポットですが、電車での最寄り駅が無い(遠い)ので、ちょっと不便かもしれないですね。バスは出てます。

秦野盆地の北端に位置する戸川公園。つぎは東へ向かってみようと思います。
丹沢の山々の麓や中腹伝いにゆるやかなアップダウンを繰り返しながら、うねうねと進みます。
目に入る景色は田んぼと木々と、カントリークラブの看板くらいでほぼ"何もない"感じですが、ぼく個人にとっては"エモい"道々です。

しばらく東へ走っていくと、地元民からはざっくり"ひがし"と呼ばれている地域に出まして、ここにはぼくの通った東幼稚園、東小学校、東中学校、が並んでいます。
公立校のネーミングセンス抜群ですね!

1クラスがだいたい35人くらいの時代で、1学年に4クラスありました。
幼稚園〜中学校まで11年くらいをほぼ同じメンバーで過ごしたことになりますね。エモい。

この"東シリーズ"の学校たちの脇を通り抜けて、北へ方向転換。ここからは本格的な山道になっていきますが、登山愛好家や走り屋に人気の"ヤビツ峠"を目指して、峠道をすすみます。
道中に"菜の花台"という秦野市街を一望できるスポットがありますので、すかさず寄り道を。

菜の花台展望台と桜。

菜の花台で景色を楽しんだら、実はそのまま引き返すのが正解なんです。
この先のヤビツ峠からは丹沢山系の最高峰、大山おおやまへ登る登山口が出てますが、それ以外は何もありません。
道路はどんどん狭くなり、通行者に優しくない難所と化しますが、こんかいは敢えて峠越えに挑みます。

ちなみに50ccバイクだと、ここまではひたすら上りなので、パワーが足りなすぎて20km/hくらいで進むことになってたのも良い思い出。エモ。
ヤビツを越えてからは、ほとんど下りなので今度はスピード出過ぎに注意です。
あと落ちてる木の枝とか、落石とか、鹿や猿に注意!

すれ違いも難しいような狭道で相当な集中力を発揮すること、1時間弱。対向車が続いたり、ときには泣きそうになりながらも頑張って通り抜けた先には、"ダム湖100選"にも選ばれた「宮ヶ瀬湖」という大きなダム湖が広がります。

宮ヶ瀬湖畔園地とねこちゃん。

「宮ヶ瀬ダム」は関東屈指の大ダムで、湖畔には遊び甲斐のある広大な「宮ヶ瀬湖畔園地」が整備されています。
冬にはモミの木が大きなクリスマスツリーとして飾られるイルミネーションも人気があります。

ちなみに。
今回はただ"エモさ"を求めてわざわざヤビツ峠を越えるルートを通りましたが、もっと広くて走りやすい東側からのルートがありますので、そちらをおすすめします。

あとガソリンスタンドが無いので、しっかり給油してある状態じゃないと、焦ります。とても。
50ccだと特にタンク容量少ないですから。
エモいな〜。

最後は、秦野市とお隣の平塚市にある「花菜ガーデン」へ。2010年にオープンの植物園です。
正式名称は「神奈川県立花と緑のふれあいセンター花菜ガーデン」。長い。

ここはですね、比較的最近できた施設なので、50ccバイクの想い出はありません。
ですが、ぼくが通っていた「伊志田高校」から近いんです。エモーい!

花菜ガーデン入り口と桜。
園内は広くて開放的です。
ハナモモとナシ。
好き。
謎の小屋とチューリップ畑。

山々は紅葉の時期を過ぎると色が無くなるので、秦野盆地に暮らしていると冬は視界が暗めになります。
春を迎え、新緑や花々で色付いてくると、つられて心も明るくウキウキと浮かれさせてくれます。

ぼくはこの時はウキウキを通り越して"エモofエモ"な心情だったので、自然豊かな春の秦野を、たくさんのひとが知ってくれたらなぁと、しんみり思ったのでした。

丸山直己

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