好きだった仕事なのに人に勧められない理由

最近個人でキャリアコンサルティングを受けているが先日
「保険の仕事の話をするときはとてもいい顔をしますね」
と言われた。

コンサルタントさんのみならずそういわれることはよくある。
もちろん仕事は楽しかったので言われると嬉しいわけだが
保険の仕事をしようと思っている人から相談を受けるときは
背中を押せないことがほとんどである。


保険の外交員は基本的に個人プレーであるが
マネージャーという中間管理職は当然存在する。

マネージャーへの昇格として必須なのが採用である。
保険外交員は採用は全員の仕事であり、
採用ができなければマネージャーに上がることは絶対にできない。

私は当時社内では珍しくマネージャーになりたかったので
(厳密にはマネージャーになりたかったというより
なってみたかった、大好きなマネージャーたちが
マネージャーだけの旅行に行っていてそこに入りたかった)

まずは営業所見学だけでもとたくさんの人に声をかけたわけだが
とうとうマネージャーになることはできなかった。

それはなぜか。

心のどこかでこの仕事を心から人に勧めることができないからである。


世間一般のイメージもあるように
保険外交員は楽な仕事ではない。
(楽な仕事なんててないとは思うが)

仕事を自ら生み出す主体性がなければまず
数字は挙がらないし

報酬も安定しないのでストレスになることは
前提の職種だ。
個人向け無形商材かつコスパを感じにくいので
疎まれる存在である。


また運も味方につける必要があると思う。


私が結果的にそれなりに楽しく働くことができたのは
運も大きかった。
現在セキュリティの観点から職域のデスクに直接入れる環境は
ほとんどない。
だが入社して任された職域はどちらもデスクまで
入ることができたからだ。
(退職前には入れなくなってしまった)

毎日のように執筆していたまるちゃん通信も
デスクまで入れたからこそ効果があった。


要するに、成功への再現性が私からは提供できないからである。


また、どのような環境であっても
一定期間、お金にもならない時期がある。


先輩からは「3年目くらいから仕事がやりやすくなるよ」と
言われていたが私が全国入賞できたのも3年目。
その頃には同期は全員やめていた。
2年で8•9割やめてしまうような業界で、
私と一緒に頑張れば大丈夫なんて、
説得力があるだろうか、と考えてしまう。


また素晴らしい業績を挙げている人は大体
独身かDINKS、子育てが落ち着き
自分の時間がうまく使える人であった。

自分自身で仕事のコントロールをできる利点はあるが
それと営業、それも保険外交員ドリームが叶うかは
別の次元なのである。

そんなこんなで、自ら声をかけた人以外にも
仕事に興味を持ってくれた人もいたわけだが、
特に大学生から話を聞きたいと言われた時なんかは
心の中で
「新卒切符は大切に使ってほしい」と思っていた。

自分にも、またこの仕事をしたいかと問いかけた時、


正直やりたくない(笑)
やるとしてもかなりの覚悟が必要である。


あまりしんどい話をするのは好きではないが
めちゃくちゃストレスが溜まる。


顔が知られるとどこで人に見られているかわからない
感覚にもなる。
自分が商品になるため影でコソコソ面白おかしく噂もされるし
何かわからない攻撃的な気持ちになることもあった。
顔写真に靴の足跡がついていたこともある(笑)


昨日夫に、トップアスリートほど
「努力は必ず報われる」とか
「夢は諦めなければ叶う」とか
「だからみんなも頑張ろう」とか
そんな甘いこと、簡単に言わないのではないか
と話した。
金メダルの過程までがどんなに辛く苦しいものか
誰よりもわかっているだろう。


現在ビジネススクールの営業をしているが
「資格取ったら就職できますか」
「仕事の斡旋とかしてくれるんですか」
「合格させてください」
など、自分より年上の人から聞かれることもあるが

どんな職業にしても
覚悟や主体性がない人は道半ばに終わるだろう。


私の力不足も大いにあるが、これからも私は
保険外交員を簡単に人におすすめはしない。

一方で、またそのような気持ちになれるほど
夢中になれるものを探してもいる。

もしサポートいただけたら生保業界事情のご質問にお答えしますのでご記載をお願いします。