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去年父が、今年は母があの世に逝ってしまいました。 幼い日の思い出や日々の出来事を、つら…

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去年父が、今年は母があの世に逝ってしまいました。 幼い日の思い出や日々の出来事を、つらつらと書いていきます。

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    本にまつわるエッセイをまとめてみました。

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紫陽花とカタツムリ

子どもの頃はよく走り回っていた。幅が微妙に違う石段や、傾斜15度の坂道をピョンピョンどれだけ早く走れるか。昨日の自分をいかに超えるか、みたいな。 今では、グルグルグルグルグルコサミンをいくら飲んでも膝の関節がもたない自信があるけれど。 雨上がり、例のごとく走り回っていたらパリッパリッと足元から音がする。ふと見て「 ギャー! 」悲鳴をあげてしまう。 地面には無残にも打ち砕かれたカタツムリの残骸があちこちに転がっていた。ごめん、ごめんよ。 災難を逃れた大小のカタツムリは、

    • 光る君へ 望みの先に

       今週の「光る君へ」も面白かったです!以下ネタバレあります。  藤原伊周(三浦翔平)と弟の隆家(竜星涼)が勘違いから前の天皇・花山院に矢を放ってしまい、帝から謹慎を命じられます。伊周の妹である中宮の定子(高畑充希)も帝から内裏を出るよう命じられ、ここから、故・藤原道隆(井浦新)の一族の怒涛の没落が始まるのですね。  三浦翔平さんの平身低頭し涙する姿が素晴らしかったです。昔は何をしても許されていた権力側の人間が、力を無くすとこうも変わるのですね。ただの無法者として検非違使に

      • 水出しコーヒーを飲む。雑味がなく、すっきりと喉が潤う。人間関係も一緒だ。情熱だけで一緒になるよりも、つかず離れず身近にいた人の方が、長い付き合いになっている。焦らず慌てず、ゆっくりと自分の道を歩いていこう。走りたければそれもまたその人の人生。私は私、人は人。私の幸せは私が決める。

        • 苺ジャムを作る休日

             今日、スーパーで二百九十八円の苺が山積みされていた。親指程もない大きさで、そろそろ終わりを迎える苺だろう。  昔、団地に住んでいた頃、鉢植えの苺をベランダに置いたことがあった。まだ、若い葉だけで頼りなさげだったが、単純に水をやるだけで苺は実をつけてくれた。小粒だが日に日に赤く色づいくる苺の実。  しかし、それを食べることはなかった。ベランダを自由に行き来していた鳩の羽や糞が苺を直撃していたから。なすすべもなく(ネットを張れば良かったのだろうが)観賞用として一生を終え

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        • 水出しコーヒーを飲む。雑味がなく、すっきりと喉が潤う。人間関係も一緒だ。情熱だけで一緒になるよりも、つかず離れず身近にいた人の方が、長い付き合いになっている。焦らず慌てず、ゆっくりと自分の道を歩いていこう。走りたければそれもまたその人の人生。私は私、人は人。私の幸せは私が決める。

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          小さなトゲ

           もっと自分の世界を広げたい、そんな思いに抗えず私はその扉を押した。手に持ったバッグが、書店の中に仕舞われた木製の看板に当たり、ガタガタと音をたてた。カウンターには見知らぬ男性が四、五人座っていて、薄暗いカウンターの奥にいた店主が、私に声をかけた。 「すいません、今日の営業はもう終わりました」    世界には色々な本屋がある。  例えばシェイクスピア&カンパニーは現在もパリにある書店である。今は亡き二代目の店主は、貧しい作家や詩人たちに食事とベッドを提供していて、いつも店に

          小さなトゲ

          岐路

           今夜は大河ドラマ「光る君へ」がありました!早速リアタイで観て、録画で好きな場面を繰りかえし観ています。  ざざっとふたりのこれまでを振り返ってみます。    まひろ(紫式部)と三郎(藤原道長)は幼いころ出会いました。まひろは読み書きができる賢い子で、三郎はどちらかというとボーっとした優しい少年でした。何度かことばを交わすうちにふたりは打ちとけあい、もう一度会う約束をします。しかし、約束の日、まひろは早く三郎に会いたいが為に、駆け足で道に飛び出してしまい、馬に乗った藤原道兼

          一歩も外へでない休日

           夜勤の疲れは齢を重ねるごとに身体に蓄積されやすくなり、休日の今日はずっと家でゴロゴロしていた。ようやくの晴れ日、ここぞとばかりにシーツ類を洗濯した後、今度読書会で紹介する本を読み終えた。  読書会は最近の私のルーティンのひとつで、もっぱらオンラインで参加している。もともと本やテレビが好きで、できれば職場でも話したいのだけど、なかなか読書好きの人はいない。人の噂を熱く話す人が多いのは、女性がメインの職場からだろうか。人の噂などは面白くもないし、巻き込まれるのはまっぴらごめん

          一歩も外へでない休日

          泳ぐ

           書くことを怠って、本を読んだり動画を見てばかりいた毎日。 たまには言葉を綴ってみようと思ったのは風待ちさんのnoteのおかげでした。 「私が求めているのは読者ではなく、同志だから」とのつぶやきは、同士とまではなれなくても(彼女のファンとして同士だなんて畏れ多い!)ここにいる、緩い感情が行き交う住人としての現在地を示そうと、重い腰を上げるのに充分すぎる言葉でした。 だから、ちょっとづつ思いを吐き出していこうと思いました。  最近ベランダの鉢植えを観て気づいた事は、植物は太

          ドラマ 誰にもいえない

           TVerを観てると、昔のドラマ特集があり「誰にもいえない」が放送されていた。冬彦さんで一世を風靡した「ずっとあなたが好きだった」の続編っぽいドラマで、賀来千香子、佐野史郎、野際陽子が引き続き出演している。  二十年以上昔のドラマなので、不適切にもほどがある、があちこち散りばめられているのが面白い。まず、驚いたのは日帰りのキャンプでお昼から生モルツを飲み、夕方には飲酒運転して帰っていたことだ。おいおい、飲酒運転の概念はないのかな?また、仕事で外に出た彼女をつかまえて、強引にタ

          ドラマ 誰にもいえない

          バランス 生活の大半を占める職場がものすごく忙しいと、その渦の中に自分のすべてが沈み込んでしまいそうになる。そんな時、突然親戚のおじちゃんが母の仏壇に手を合わせに来てくれた。ちょっと面倒くさいと思いつつも、しばらく言葉を交わすうち、穏やかな気持ちになった。自分の座標が確認できた。

          バランス 生活の大半を占める職場がものすごく忙しいと、その渦の中に自分のすべてが沈み込んでしまいそうになる。そんな時、突然親戚のおじちゃんが母の仏壇に手を合わせに来てくれた。ちょっと面倒くさいと思いつつも、しばらく言葉を交わすうち、穏やかな気持ちになった。自分の座標が確認できた。

          黄昏れて

           今季の好きなドラマの第一位は「たそがれ優作」だ。令和のゆるい寅さんというか、印籠が出てくる時間が想像できる水戸黄門のようなというか、とにかくわかりやすく、ゆるい恋愛ドラマである。  北村有起哉さん演じる北見優作は、バツイチの名脇役俳優である。毎回いろんな女性と美味しいご飯を食べ、お酒を飲みに行く機会が訪れる。その度ほのかな恋心を抱くが、恋に発展することはない。傷心の優作は行きつけのバー「ともしび」に寄る。そして、坂井真紀さん演じるママの茜に愚痴るが、軽く叱咤されるのがおちで

          黄昏れて

          通り過ぎるもの

          寒暖差が激しいと、体調が悪くなる患者さんが多くなる。去年の秋も八十歳を超えた男性患者さんが立て続けにお亡くなりになった。私の父も去年の秋、九十歳を超えて天に昇った。きっと大往生。長く苦しむこともせず、入院三か月で逝ってしまったのだから。そうは思うのだけど…。  最近入院患者さんの発熱が多く、食事量や体調の変化に気をつけていた。  山田さん(仮名)は最近体調が悪く、昨日も夕食がなかなか入らなかった。そこで、食事介助をして栄養があるゼリーを食べてもらった。 「元気になるよう

          通り過ぎるもの

          温活

           職場で体調を崩すスタッフが後を絶たない。患者さんも咳や微熱が出てる人が多くいる。寒暖差が身体に及ぼす大きさを実感している。  オムツ交換や入浴介助で動いていると感じないが、家でじっとしていると寒くてたまらない。  昨日急遽しまむらに行って、あったかグッズを買い揃えた。裏起毛のスパッツ、厚手の靴下、膝下まである靴下、おヘソをすっぽり覆うパンツ、昔でいうところの毛糸のパンツ。  先週に比べて10度は寒い外気温。しかし、万全の準備で気持ちよく外出ができたことが嬉しい。こんなこ

          生き上手

           以前から気になっていたカフェに行ってきた。ベーグルサンドが美味しくて、海が見渡せる場所にある。家から車で二十分かからない。しかし、私は運転をしないので、バスに揺られて四十分。ちなみにそこへ行くバスは一時間に一本しか出ていない。そこそこ田舎の小高い山のほとりにカフェはある。  バス停から歩いて三分、白い平屋の建物が姿を現した。店に入ると、手作りのアクセサリーや絵葉書、色とりどりの麻で作られたエプロンなどお洒落な雑貨が並べられている。長い髪と前髪を後ろでまとめた三十代くらいの

          生き上手

          母の四十九日と両親の初盆を無事終えて、慌ただしい日常生活に戻った。時折浮かぶ思い出の数々が、宙に舞い踊っている。薄れゆく記憶をただひとりで見つめているだけ。きちんと寂しさを感じられるのは、今、何不自由なく過ごせているせいだろう。生きるのに精一杯だと振り返る事すらできないのだから。

          母の四十九日と両親の初盆を無事終えて、慌ただしい日常生活に戻った。時折浮かぶ思い出の数々が、宙に舞い踊っている。薄れゆく記憶をただひとりで見つめているだけ。きちんと寂しさを感じられるのは、今、何不自由なく過ごせているせいだろう。生きるのに精一杯だと振り返る事すらできないのだから。

          手のひらサイズの幸せ 

           夜勤明けの朝は、家に帰ってすぐシャワーを浴びる。そして、朝と昼をかねた食事をゆっくり食べ、夕方まで眠るのがその日のルーティンだ。  髪を乾かした後、バケットを二センチの厚さに切って、スライス玉ねぎとチーズを乗せてトースターで焼く。冷凍保存していたカボチャのスープを解凍して牛乳を入れて温める。微糖のヨーグルトに小さくちぎったバナナを入れ涼しげな器に盛る。コーヒー豆を挽いて沸きたてのお湯を注ぎ、牛乳と合わせてカフェオレにする。そして、食後デザートにチョコレートを食べる。  食

          手のひらサイズの幸せ