中編小説 笠地蔵異聞(4)
はじめに 笠地蔵異聞の第四話です。前の話はこちらからどうぞ。
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和宏は定年退職を機に移住したA町で、自治会費の集金に来た男から例大祭の行列に加わらないかと声をかけられた。提灯やらのぼりやらをもって、行列を作ればいいらしい。たった一度の打ち合わせでは、行列の構成について簡単な説明を受け、並び順を決め、ためしに公民館周りをぐるぐると歩いてみた。例大祭は夏日となり、スーツ姿で町を練り歩いた和宏は、散会ののち、商店の軒先で販売されていた缶ビールで喉を潤しながら周