見出し画像

隠された花を見つけること。

あるがままがただ在る、と知ることが悟ることだと書いてきた。noteを書き始めてからずっとだ。

結局、苦しみの原因は今起こっていることを無理やり変えようとする試みに他ならない。簡単に言うと、「私には人生を変えることができる!」というエゴの思い込みだ。

人生はエゴ(思考)によって変えることはできない。人生は突然、あるいは少しずつ変わってゆく。だから、どんなことがあっても大丈夫だ。どんな状況もずっと同じ状態のままで、とどまることはない。

だから、今苦しんでいる方にはリラックスしてほしい、と思う。

多くのひとは身体に力が入っている。緊張している。猫を見てごらん。猫のゆだね方はすごい。猫は宇宙を完全に信頼して明け渡している。

ただ静かにしていることができる人はある意味すごい。そんな事は現代人にはできない。みんな何かしてしまう。

「そっか、なんにもしなくていいんだ」と腑に落ちた時、まるで湯舟に入って息を吐く時のあの感じが出てくると思う。その時、ハートの静けさがやってくる。

ハートの感覚と言うのは、悲しんだり、落ち込んだり、恋をした時のドキドキとはちがう。それは感情のハートだ。心、と言っても良い。

ほんとうのハートとは何か?

僕がハートと言う時、それは全人生を明け渡した時、「今ここに、あるがまま」で良いんだ、とリラックスした状態の時に立ち現れる、全宇宙的な安心感や至福のことだ。それは透明でピュアな感じがする。

ただ静かにしているなんて、つまらない、と思われるかもしれないけれど、リラックスをして未来のことを考えていない時のハートの至福と言うのは何にも代えがたいものがある。

何もしないことは=恐怖だ。

人間は生存することをプログラムされている。「結婚しなければ」、「子供をつくらなければ」、「お金を稼いで貯金しなければ」

それらの脅迫を相手にせず、リラックスしてごらん。勇気を出して。

でも、こんな声が聞こえてくる。

「そんなことしたら、人生を棒にふってしまうのではないですか?」

確かに、ひとはまず、人生を味わなければいけない。頑張って生きるのだ。そして、ある時期を境に──病気や事故、挫折などの苦しみをきっかけにして、「今まで、色々なことを体験したし、それなりに幸福なこともあった。でも、最近、何をやっても楽しくないし、上手くいかないな。ほんとうの幸福とは何だろう?」と探求を始める。

人生を棒に振ることができる勇気を持つ人は目覚めることができる。

ゴータマ・ブッタは歴史上、最も壮大に人生を棒に振った。彼にはあらゆるものがあった。お金も名誉も美女も……。でも、全部捨てた。彼ほど何もかもを手放した人間はいない。

目覚めたければ出家して、家族とお金を捨てなさいと言ってるわけではない。捨てなくても良い。むしろ大事にした方が良い。

もし、そのひとに結婚やお金を持つ運命があれば、わざわざ追いかけなくてもそれはやってくる。

ただし、目覚めるためには何もせずにただリラックスして静かにしていることが必要になる。静かにしているということは外側にあるものを追いかけないということだ。

外側にある何かを手に入れたり快楽を追い求めると内側にある隠された花を見出すことが難しくなってしまう。

内側にある隠された花──ハートの花は、何もせず、静かにしている時に見出される。

この前、こんなコメントをもらった。

私事ですが、先週の金曜日、階段で転んで右足首の骨にヒビが入ってしまいました。生活にかなり支障は出ているのですが、不思議と心が穏やかです。いつもNaokiさんがおっしゃっていることが、少しずつ自然とわかってきたような気がしています。

この方は内側にあるハートの花を見つけたのだ。

「怪我をして心穏やかです」などと言う人間がどこにいるだろうか?

結局、人間は「こんなにつらい人生は嫌だ!もっと楽しいこと、幸せな出来事が起これば」と考えて、願望実現、自己啓発に走るのだけれど、もし、その苦しみと一緒にいることができたら、ハートの恩寵と呼ばれる至福が立ち現れる。

魂はお金でも、理想のパートナーでも、成功でもなく、ただ安らぎを求めている。

そして、安らぎはどこで感じるだろうか?

そう、それはハートだ。

「何もせず、明け渡せば、人生が良くなりますよ」と言っているのではない。そうではなく、人生の状況が変わっていないのに、「あれ、何だか幸せだな。」ということこそが悟りであると言いたいのだ。上記のコメントをくれた女性のように。

「明け渡したのに人生が良くならないな」と思っているということは、まだ明け渡していないのと同じだ。人生が良くなることを期待しているからだ。そうした期待が一切なくなった時、自分の全存在をかけて、「今ここ」にいる時、大いなる気づきや悟りが訪れる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?