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妄想百人一首(30)

『隙間 (その後)』


 電柱とブロック塀の隙間を通ると異次元に行ける。
 あれから一年が経ちました。今だって信じています。「入口」を見る度に通りたい気持ちでいっぱいになります。夕焼けを見る度に会いたい気持ちでいっぱいになります。
 あれから一度も「入口」を通っていません。もちろん今だって信じています。あの日のことを忘れたことはありません。彼の言葉を疑ったことはありません。
 それでも、「入口」を通ろうとは思いません。
 あの言葉は永遠に真実だから。


今回の一首

逢ひ見てののちの心に比ぶれば昔は物を思はざりけり

この歌について

 琵琶の名手であって権中納言敦忠が詠んだ歌で、
「あなたにお逢いして契りを結んだ後の想いと比べれば、それ以前は何の物思いもしなかったのと同じようなものです」
という意味。
 同じく百人一首「忘らるる~」の右近への想いを詠んだ歌らしい。

あとがき

 異次元の体力と語彙と知識と想像力と構成力と筆力が欲しい。

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