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小さな会社を経営 政治・経済・経営・法律・行政・読書に興味あります。

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最近の記事

MMT(現代貨幣理論)はどこがまちがっているのか?

一 MMTとは  MMT(現代貨幣理論)とは、通貨発行権を持つ国では、自国通貨が自由に創出されるため、自国通貨建て政府債務の不履行(デフォルト)は生じないと説く理論である。したがって、この理論に基づけば、巨額の財政赤字を抱えている国でも、景気安定に必要ならば自国通貨建ての債務を更に増やし、インフラ投資などを行うべきということになる。    しかし、この理論には主流派経済学と言われる新古典派経済学者からの批判が強い。中央大学法学部の国枝教授が、公益財団法人日本証券経済研究所での

    • 生産性の向上についての考察

      巷間でいわれる、経済成長を遂げるためになぜ「技術」の向上が大事なのか、いまいちピンときてなかったが、本書を読んで納得できた。 GDPを拡大させる、すなわち経済を成長させるためには、「資本」と「労働力」と「技術」の三要素が重要で、「資本」と「労働力」があっても「技術」がなければ付加価値を向上させることはできないという。 資本には内国資本と外国資本があり、国内への投資を増やすためには魅力的な市場にならなければならない。 労働力は、少子高齢社会の日本では「高齢者」「女性」「外

      • 「税という社会の仕組み」諸富徹著 ちくまプリマ―新書

         世の中には、税と言えば、節税とか脱税とかいかに国家から税金を取られないようにする工夫を述べた本があふれており、そのニーズも高い。ふるさと納税に関する狂騒もいわば節税策だし、新NISAが話題になっているのも、無税だからだろう。  本書はそういう狂騒とは一線を画す。  本書で貫かれている姿勢は、納税を「義務」としてではなく「権利」として捉えなおそうとする点であり、このことを理解するために「税とは何か」、「税はどのようにして生まれ、発展してきたのか」という税制の歴史を明らかに

        • 読書感想文「実は、拙者は」白蔵盈太著 双葉文庫

           「松の廊下でつかまえて」の作品を読んで以来、押しの作家のひとりだ。  著者の真骨頂は、歴史上の人物を別の角度から見たときに、どのような心理状態で行動していたのか著者独自の心理描写で描く点にある。ある程度歴史に精通していると事実の流れは承知しているので、読者を飽きさせないためには作家特有の工夫がいる。著者は歴史上の人物の心理に焦点をあて、想像力を発揮させ、説得力をもって、こころの機微を克明に描くことで、共感を誘い読者を獲得しているように思う。  本作は、そんな著者が時代小

        MMT(現代貨幣理論)はどこがまちがっているのか?

          選択的夫婦別姓訴訟( 最高裁大法廷判決令和3年6月23日)における立法裁量論に対する批判

          https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/412/090412_hanrei.pdf 一 立法裁量論とは  いわゆる立法裁量論である。立法裁量論とは、憲法訴訟において裁判所が国会の立法行為を尊重し、自らが判断するのを控えて、当該行為を合憲とするべきである範囲が存在するという法理をいう。    三権分立の観点から立法権は国会に属するため、国会には立法裁量が存在する。もっとも法律は憲法に適合して作られなければならないから、憲法に

          選択的夫婦別姓訴訟( 最高裁大法廷判決令和3年6月23日)における立法裁量論に対する批判

          財務省の公債依存の問題点の指摘について考えてみる。

          一 問題の所在 財務省のHPを見てみると、公債負担の問題点が指摘されている。 整理すると以下の点にあるようだ。 https://www.mof.go.jp/policy/budget/fiscal_condition/related_data/202110_02.pdf ①我が国では、社会保障の受益と負担の均衡がとれていない。 ②現在の世代が自分たちのために財政支出を行えば、将来世代に重いツケを回す。 ③望ましくない再分配 ④財政の硬直化による政策の自由度の減少 ⑤国債や

          財務省の公債依存の問題点の指摘について考えてみる。

          独立開業で失敗する人、成功する人。

          一 はじめに 2009年に独立したので、独立開業してからはや15年。よくぞ続いたなと自分でも思うけど、とても気になる記事を見つけたので、書いてみたいと思いました。引用している記事にあるようなパターンだと高い確率で失敗しそうだなと思います。 二 開業前に気を付けておくこと、やってはいけない6つのこと 独立開業するときに気を付けないといけないことはたくさんあります。 以下の項目に該当しないように気を付けた方がいいです。ただでさえ不安定な分野に進出するのに、成功確率を高めない

          独立開業で失敗する人、成功する人。

          『「失敗」の経済政策史 川北隆雄著』 講談社現代新書

          一 はじめに  2014年6月18日初版なので、1990年代のバブル崩壊時、1997年の金融恐慌、2000年代の小泉改革の是非、2012年からのアベノミクス前半の金融緩和税策の是非について検討が加えられている。  1997年に消費税率を3%から5%に上げ、特別減税廃止と公的医療保険料の引上げも含めて9兆円の増税を実施した。その結果どうなったか。  景気が腰折れして金融不安が高まり、三洋証券、北海道拓殖銀行、山一證券など大型破綻が続出するようになった。  同じ轍を再び踏

          『「失敗」の経済政策史 川北隆雄著』 講談社現代新書

          対GDP比政府債務残高258%の日本ではなく106%の英国政府で財政の信認が問われたのか~トラス政権経済政策の教訓

          1 はじめに  英国のリズ・トラスが2022年9月の就任からわずか1か月半で、辞意表明に追い込まれたのは記憶に新しい。経済失策をきっかけに市場、与党、国民の信頼を失い、求心力低下に歯止めがかからなかった。  トラス首相が採用した経済政策とは、大型減税策だった。しかし大型減税による国債増発が嫌気され、金融市場では英国の通貨・債券・株が大幅に売られたのである。  でも、おかしくない?  日本の政府債務残高は対GDP比で228%もあり、額にして1200兆円の債務を抱えていて、

          対GDP比政府債務残高258%の日本ではなく106%の英国政府で財政の信認が問われたのか~トラス政権経済政策の教訓

          読後感想「財務省と政治」清水真人著

          初版が2015年9月25日だから、55年体制が崩壊し自民党が下野して1993年に細川政権が誕生した前後から第二次安倍政権が発足して3年目ぐらいの2015年までの財務省と政治との関りあいを描いている。  コロナ対策のために巨額の国債を発行しても、国債の消化に困ることもなく極端なインフレも発生しなかった現在の地点から眺めてみると、なぜあれほど財務省が財源にこだわっているのかはいまだに理解できない。  しかし、当時は財政の持続可能性が本気で心配され、欧米の格付け会社による日本の

          読後感想「財務省と政治」清水真人著

          仕事のコツ part3~学力と仕事の相関関係

          大量の仕事をこなすには・・・。 仕事をため込まないためには  学力と仕事の出来不出来の相関関係があるのかというテーマは時折話題になる。仕事の内容にもよると思うが、私は相関関係があるように思う。  確かに、営業など、コミュニケーション能力などが必要とされる仕事はあまり学力と関係がないのかもしれないが、事務処理能力を問われるような仕事内容に関しては、学力が高い人たちは事務処理能力も高いように思われる。  なぜか。  学力の高い生徒たちの様子をよく観察してみると、共通の特徴

          仕事のコツ part3~学力と仕事の相関関係

          仕事のコツ part2

           目の前にある大量にある仕事をいかに処理するかは、仕事の性質を分類して優先順位をたて、緊急性のある仕事は溜めこまず、すぐやる癖をつけることが大事ということを書いた。  それでも仕事がすぐに溜まってしまうという人はいると思う。この人たちに共通して言えるのは、先読みができていないということだ。  対象となる仕事とリアルタイムで並行しながら仕事をしていると、仕事が溜まりやすい。生じたトラブルを後追いしているならなおさら仕事は増えていくばかりで到底追いつかないだろう。  仕事を

          仕事のコツ part2

          仕事のコツ

           新人や転職して間もない人たちは、右も左もわからない状態なのだから、職場の環境に慣れるまでは、とにかく与えられた仕事を愚直にこなすことが重要である。へたに仕事の効率性を追求すると失敗するのがおちなので、とりあえず目の前の仕事をこなしていくのが無難だと思う。    問題は職場に慣れた人たちである。上司や同僚に頼られる存在になれば、仕事の量は幾何級数的に増えていく。幾何級数的に増えた仕事をいかにうまく処理していくか、ここにできる人とできない人の差が出て道を分かつことになる。

          仕事のコツ

          書評「高校生のための経済学入門【新版】」ちくま新書

           普段は高校生に数学や英語を教えており、政治経済を教えることはないのだが、小論文を指導することもあり、高校生のなまの知識に触れることがある。  高校生にも千差万別あり、本書を手に取るような高校生はほんとうに経済に興味がある生徒だろう。多くは経済学とは何かをよくわからないまま、経済学部や経営学部、商学部に進学しているように思う。  著者の小塩隆士氏は立命館大学、東京学芸大学、神戸大学、一橋大学で教鞭をとっておられるから、学生とじかに接してみて、学生がそれほど経済に興味をもって

          書評「高校生のための経済学入門【新版】」ちくま新書

          国債の償還について

           2024年3月28日に令和6年度の予算案が参議院本会議で可決成立した。  一般会計の総額が112兆円で歳入に占める国債の割合は特例公債、建設公債あわせて31.2%、額にして約35兆円である。  一方歳出に占める国債費の割合は24.1%で額にすると約27兆円になる。 歳出のほぼ4分の1が国の借金の返済に充てられ、2024年度予算の一般会計では、社会保障費と地方交付税交付金、国債費の3つの経費が歳出全体の73.6%を占めている。 高齢化や国債の発行残高の増加に伴って、ほかの

          国債の償還について

          同性婚の是非~札幌高裁令和6年3月14日判決を素材にして

          一はじめに 同性婚の是非については、以前にも書いたことがある。どちらかというと民法739条や戸籍法74条の規定を憲法24条違反とするのは先鋭的な意見で地裁レベルでは一切認められていないし、比較的リベラルな人たちが多い憲法学者の中でもおそらく少数意見だと思われる。    ところが、札幌高裁は真正面から24条と向き合い、文理解釈によらず合目的的に文言を解釈して、「両性」を当事者と解釈しなおして民法・戸籍法の違憲判断を下している。  札幌地裁・高裁は昔からリベラルな判決を下すこ

          同性婚の是非~札幌高裁令和6年3月14日判決を素材にして