井戸を掘る

じぶんの井戸を 掘るんだよ

うんと深く、うんと時間をかけて


きみが井戸を掘っているあいだ、

周りのひとたちは心配するかもしれない

あいつはどこ行った?なんて噂されるかもしれない


だけど じぶんの足元をただしっかりと見つめて

ときには孤独と友達になって

どんどん掘ってゆくんだよ


一息ついて休んだっていい

もうここまで!と思ったら 一度戻っておいで

しばらく地上で暮らすうちに

また ふと井戸を掘りたくなる日がくるだろう


そうしてまた 何度でも

中へ中へと 降りていくんだよ


それは あまりに非生産的で

無駄なしごとに思えるかもしれない

独りよがりな自己満足に感じるかもしれない


でもそれは きみにしか出来ないしごとなんだ

この上なく うつくしいしごとなんだ


ある日きみは 井戸の底を つきやぶるだろう


溢れ出る 水!水!水!

なんて豊かな それは地下水脈のような

そして 大きな気づきが きみを包む

「みんな つながっている」


さあ もうこれで こわいものはないよ

きみには愛があふれている

もう二度と じぶんをすり減らすことなく

出会うひとに たくさんたくさん渡すことができる

だって あの場所はあんなに豊かだもの


もう だいじょうぶ

きみは じぶんの井戸を掘ったのだもの

こんこんと 湧き出るその愛を 惜しみなく世界へ注ごう


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