映画は画(え)なの「映画大好きポンポさん」
アニメ映画
簡単にネタバレなしで粗筋紹介すると
映画の都ニャリウッドの映画プロデューサー、ポンポネット(通称ポンポ)は、アシスタントであるジーンに、ポンポ自身の映画「MARINE」の予告編制作を依頼。
ポンポはジーンのセンスを高く評価し、「MEISTER」という新作映画の監督をジーンに託す。
オーディションで「地味」という理由で落とした女性ナタリーに何か惹かれ、若手女優ミスティアの付き人として起用する。
そしてジーンが監督する映画のヒロインにナタリーを抜擢。
最初は不安だったジーンとナタリーは、周囲の助言を受け、映画に対する姿勢から学び成長しながらも懸命に映画制作に取り組む。そして、「MEISTER」は完成したかに思えたが……
お仕事映画であり成長映画でもあるんだけど、やっぱり主軸は映画。
映画好きが映画を作るお話し。
他の創作も同じだけど結局のところ正解なんて無いからね。
小説には小説の、漫画には漫画の表現方法があって、映画はやっぱり動く画(え)なんだよね。
当たり前だけどさぁ。
敏腕プロデューサーポンポさんの祖父ジョエル・ダヴィドヴィッチ・ペーターゼンは大ヒット作を何本も手掛けた元プロデューサー。
ジーンが彼に良い映画をとるには、という質問をする。その返答。
一瞬のきらめきを逃さぬよう画(え)に対する感覚を鋭く磨いておいた方がいいな
そうそう、結局のところ映画は画なんだ。
映画をお勧めして感想を聞いた時の
「面白かった」「泣いた」「感動した」
という言葉のがっかり感。
いや第一声がそれで、続けてどこにそう感じたのか語ってくれたのなら、いいんだ、それで。
大抵は物語の素晴らしさやキャラクターについて語られるのだけど、けど……映画は画(え)なんだよおおお、と叫びたくなる時がある。
物語を、人物の心情を伝えるための一瞬一瞬の動く画なんだよね、この場面の構図、景色、俳優の動き、カメラワークにぐっときたわーとか
そういうのあるだろ、なあ、あっただろ?
って聞きたくなっちゃう。
で、この映画はちゃんと画で状況説明できているし、心情伝わるようになってんの。
物語の面白さはあるよ、もちろんね。ご都合主義な展開もあるけど、そこにリアル求めても仕方ないでしょ。
とにかく画(え)を見てよ、だって映画のお話なんだから。
ほんの一例なんだけど女優のミスティアの付き人になったナタリーが初めてミスティアの住居を訪ねた場面。
アングルは上からの構図、ナタリーが思いっきり上っていうか、ほぼ空を見上げて驚いて目を見開いている。
次の瞬間、高層マンションの景色。
これだけで、2秒くらいなんだけど、ミスティアがどれだけ高級な高層マンションに住んでいるかさくっと説明できてる。
こんな風に画から理解できることだらけなんだよ、この映画は。
台詞で説明されてないことは全部ね、画(え)になってんの。
それを完璧にできるのは実写よりアニメなの。風景も天気も心象風景も全部書いてしまえるからね。
だから、これは実写ではきつかったなって思う。アニメという二次元でデフォルメOKの世界だからこそ表現できたこともある、ポンポさんが少女にしかみえない等身であることも含めて。
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