一見わかりづらい、だけど/だからこそ、本当に「Aぇ!」グループなんです (推しを通じて商品のあり方とプロモーションについて考えた)

研究開発をメインとしいろんな業務に携わるが、プロモーション関係の仕事が1番苦手だ。

"何かを真似したキャッチーな動画より、ちゃんと商品の良さを伝えたいです。noteとかでも…書きますよ?"
うーんそうですか、でも、と私の提案に微妙な顔したコンサルの方は告ぐ。
"わかりづらかったら意味ないです、
流れのない所にどれだけ良いものを置いても、それは存在しないのと同じですよ"


理解するけど。もちろん。
でもそもそもさ、世の中にない、自分たちにしか作れない価値を発信したくてやってるんだから、わかりづらくて当たり前じゃん…といつもやるせなくなる。


Aぇ! groupの良さも、結構わかりづらくね?
でもそれがいい…よね?
この人たちが、らしさを失わないままデビュープロモーション旋風をも走り抜けられたこと、いいなあ、いいよなあ。
その素敵さに目を凝らしてみると、やるせなさとの付き合い方が少しずつ見えてきた。

とにかく「Aぇ! 」groupなんです

↑動画については過去記事でも語っているが、わかりづらい彼らの特徴をそれでも一言で語るのならば、佐野晶哉お墨付きの"ええ!グループなんです!!"に尽きる。
とてもいいな。このフレーズが、これからグループを守る力強いシールドみたいに機能しそうだ。その中にある、彼ら自身のわかりづらい魅力が、簡単に消費されずに済む。

アイドルにとってグループ名は重要な差別化要素。Aぇ=Goodというミッションも世界観も与えないふわっとした形容詞が逆説的にキャッチーで、ユニークなコンセプトが飽和するアイドル戦国時代の流れを逆手に取っているみたいで笑える。

わかりやすさ、キャッチーさに本質なんていらないんだよな。それを理解しながら自らが外に出ていく事を請け負ってる最年少への愛しさと切なさと心強さとが溢れる。私はここまで割り切れているだろうか。



Borderless="負けない"の集まり

一言で言えない、を一言で言うとBorderlessになるんだろうなと思う。
まだ2話しか見ていなくてこんな事言うのも気が引けるけど、「勝つための筋書きが不在のグループ」にしか持ち得ない強みなのかもしれない。先ほどの差別化しかり初めから戦略があれば、それに基づく「選択と集中」、役割分担=Borderを作れたはずなのだ。

勝つための段取りがない彼らが実践したのは、とにかく「負けない」ための種々の行動だった。必要と思ったことはやる、続けていく…というそれぞれの経験値が形になり、絡み合い、結果的に見えたデビューへの道筋。

こうやってドキュメンタリーとして後から解釈される彼らの成功要因は、結局無数の「負けない」で構成されたひとつの"Borderless"でしかなかった、といえるのかもね。
わかりづらさを売りにしていいのは、結果を出してから、なのかな。



おっちゃんDエピソード

これが今日の主題。
デビュー日の全員ヤンタンで、彼らがYouTubeに並々ならぬ思いを持っている事を知る。AぇのJr.時代"最初で最後のワガママ"は、自分たちのパフォーマンスではなくそれを伝えてくれるスタッフさんを繋ぎ止める事だった。
人が良く真面目な彼らなら新しいスタッフさんとも上手くやれただろうし、否定したくもなかったはず。それでも厳しくベストな選択をしたことが驚きで。

ここに雷に打たれたような学びがあった。
「表現してくれる人がいないことには、自分たちは存在しないのと同じ」、
と彼らはそもそも心得ている。良い人間関係とか愛されてるとかより前に、ビジネスとしての根本的な心構えと覚悟が違い過ぎる。

だからこそ彼らにしかない、わかりづらい魅力はちゃんとこうして世の中に知られたんだろうな。グッズにこだわり抜きました、とは訳が違う困難を乗り越えている。メンバーだけでなく、自らの存在を預けるスタッフさんとの本質的な団結を見て取れ、彼らの大きさと強さを改めて知る。




ここで冒頭の仕事のくだりを回収。

私はずっと、"開発した商品は良いもの、伝わりさえすれば売れる"、とどこかで思い込んでいた。「伝える」はただの手段、自分以外の担当の人が頑張ること。その前提でいるから、わかりづらい、と言われると自信を失う。

わかりづらいことは悪いことではないし、わかりやすさだけが本質だと、作り手である私が思い込むのは本末転倒だ。一方で、コンサルの方がいうように伝わらなければ存在しないのと同じ。残念ながらこれは真実だ。

しかし別にそれは全部自分で頑張らないといけない事じゃなくて。表現してくれる人、ヤンタンやYouTubeスタッフのように「自分を存在させてくれる」ことを託し、預ければいいのだ。その代わり戸惑いも違和感も乗り越えヤイヤイ言って、一度出会えたのなら放さない意思を持つくらいの気持ちでいるべきだ。

自分がどう在るか、にこだわるなら、どう伝えるか/伝えてもらえるか、にも同等以上にこだわらないといけないんだな。大体プロモーションって、予算と納期と会社のガイドラインを守ることが第一になってうやむやになることが多い。だからそうなっているように見えない彼らの仕事術を本当は細かくもっと、知りたい(笑)

そういえば、私がnoteを始め続けようと決めたのも、わかりづらさを諦めず、言葉で伝える力を鍛えるためだったな。
……めちゃくちゃ真面目に自らを顧みてしまいました。いや仕事で悩む事が多くてさ。
Aぇ! groupって、大きな組織で鍛えられた有能職務遂行系エリートというより、スタートアップ的に知恵とコネを集めて動く泥臭いエリートって感じがして、そこがたまらなく好きだよ👍

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