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74:先進国の寄附はアフリカを苦しめている

 Bonjour!

 ベナン人は市場で布を購入し、服を仕立てるのが一般的です。

 アフリカ諸国の中でもベナンはアフリカ布で仕立てた服を着ている確率が高いと言われています。伝統を重んじているところはベナンの大好きな文化の1つです!

 一方で、都会に行くほど洋服を着ている率が高い気がします。地方都市でも身分の高い金持ちは綺麗な洋服を着ている人が多いので、「洋服=外国人への憧れ?」と思うこともあります。

いつもカラフルなベナン人

 しかし、私の住む街には新品の洋服・靴(正確にはスニーカー)(手作りのサンダル屋さんはいくつかある)・鞄屋さんがありません。

 洋服・靴・鞄は道端で売られていますが、これらは全て先進国からの寄付。黄ばんでいるものがほとんどで、お世辞にも綺麗とは言えません。

 どこの地方都市へ行っても同じような光景が広がっていますが、ベナンだけでなく、多くのアフリカ諸国が同じような現状です。

任地の古着屋
こんな暑いのにたまーにダウン着てる人に出会う
ここも厚着多め

どれも黄ばんでいる

ここは割と綺麗なものが多いがよく見ると…

 日本からは毎年24万tの古着が輸出されていると言われており、その多くはアフリカに行き着きます。

 「アフリカ=貧困」と考え、善意で寄付している日本人が多いと思いますが、古着が大量に輸入されることで以下のような問題が生まれます。

① 処理にお金がかかる

 難民キャンプ場など本当に古着を必要としている国や地域もあるでしょう。しかし、多くの国々では大量に古着が輸入されても売れ残ってしまい、ゴミとなってしまいます。

 (アフリカはゴミ処理施設が整っていません。私の住む街にはゴミ箱がなく、住民たちは道端にポイ捨てをするかゴミ捨て場に捨てて燃やしています。ちなみに私はナプキン等漁られるのが嫌+こまめに捨てにいくのが面倒なので上京した際にまとめてゴミ箱に捨てています。)

 ゴミとなった古着は埋め立てられます。ガーナでは輸入された4割の古着が埋立地にたどり着いているようです…。 

② 繊維産業の衰退

 古着が入ってくるということは、自国で生産された服が売れなくなることを意味しています。

 つまり「寄付」という私たちの善意が現地の仕立て人や繊維産業に従事する人々の生活を苦しめています。

家から数メートルのところにあるゴミ捨て場
生ごみはここに捨てている

 このような理由から先進国からの古着の輸入を禁止しようとした国もあるようですが、古着輸出大国であるアメリカが猛反対しました。

 大量に出る古着(=ゴミ)の処理に困るという理由に加えて、古着の輸送や仕分けをしている多くの人々が失業してしまうからです。

 結局、今も世界各国から出た大量の古着の多くがアフリカに流れ着いています。

経済首都の布屋さん

 話が少し変わりますが、学生の時にカンボジアの子どもたちに文房具を届けるため、複数の小学校に寄付を募ったことがあります。

 どの学校からも大量の文具が集まりましたが、そのほとんどが短い鉛筆や小さな消しゴム等、使い古されていた汚いものでした。

 「貧しい人だからボロボロのものを渡してもいい」という考え方がとてもショックで、数日かけて綺麗なものだけを選別し、カンボジアの小学校に自分の手で渡しました。

 ※今振り返るとモノを渡すのは間違っていたかなと感じています…。

 東日本大震災と西日本豪雨にボランティアに行った際も同じような話を聞きました。被災者は同じ日本人なのにも関わらず、「寄付されたものはボロボロの衣類が多い」とのこと。

 ベナンに行き着いた古着も破れていたりかなり黄ばんでいたりするものが多いです。

 「自分がもらう側だったらどう感じるか」という視点を大切にすること、そして何より「寄付=エゴになることもある」ということを少しでも多くの方に知ってもらいたいです。


 nao

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