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打越さくら議員(立憲) 2024年4月16日参議院厚生労働委員会

打越さくら議員が、2024年4月16日、生活困窮者自立支援制度に関連し、DV被害者の住まいの困窮について質疑してくださったものを文字起こししました。
文字起こしにあたりまして、参議院 厚生労働委員会 2024年04月16日(火)|PolityLink さんを参考にさせていただきました。ありがとうございました。


打越議員
立憲民主社民の打越さくらです。4月4日に石橋みちひろ議員が行った質問について、本日改めて大臣にお伺いします。
(中略:機能性表示食品制度及び生活困窮者自立支援制度について)

4の質問の前に大臣に伺いたいのですが、コロナ禍の経済の不況というのがシーセッションと言われたこと、大臣もご存知でしょうか。
女性が不安定就労とか低賃金に苦しんで、DVとか虐待とか、コロナの時はステイホームとか言われましたけれども、そのホームが安心ではない、安全な場所ではないというところで、そういう女性たちにとって、その生きづらさというのは決して個人的なものではなくて、社会構造が生み出した困難であるということを、大臣にも共感していただきたいと思います。
そして私が忘れられないのは、2020年11月、渋谷のバス停で殺害された、当時64歳だった大林三佐子さんのことなんですね。
事前のレクのときに、レクにいらしていただいた職員の方たち、皆さん頷いてくださったので、厚生労働省の中でも、この事件の深刻さというものを受け止めていただいているということをほっとしたというか、少し安堵したんですけれども、本当にこの大林さんという方は、DVが原因で離婚なさって、一人で仕事を転々として一生懸命頑張っていた。スーパーの試食販売とかをしていて、それがコロナ禍で途切れてしまって、住まいを失ってしまって、そういう事態になっているのに彼女は生活保護を申請しなかったんですよね。
なぜ、しばらくネットカフェに寝泊まりをしていて、仕事を増やしていただきたいと派遣元会社に交渉していた様子をお知り合いの方が見ていたということなんですね。誰にも頼らずに、自分の力で生活を成り立たせようとしていたということで、もう私、すみません、いつも考えても、なぜ彼女が公助に頼らず、ホームを失うまでに至ったのかということは、本当に重いんだなと。
これは厚生労働省だけではなくて、政治に身を置く者として重く受け止めなければいけないと。彼女の死は、住まいさえあれば、いろんなことが重なっているんですけれども、重いところで住まいがあれば避けられたのではないかと思うんですね。居住の権利を保障する政治ということが求められていると思います。
4月11日、稲葉参考人が紹介されましたけれども、昨年9月22日、日本学術会議が発表した見解でも、コロナ禍で顕在化した危機、リスクと社会保障、社会福祉において、居住支援、居住保障の重要性というものが大切だということで、まず適切な住まいを確保することが生活の再建や貧困の予防を図り、危機を回避する前提条件ということを、本当にこれは真っ当な指摘だと思います。大臣にハウジングファースト、これへの重要性ということは、ご理解いただけるかどうかと。お願いします。

武見厚生労働大臣
ご指摘のとおり、生活困窮者が適切な住まいを確保することは、極めて重要だと考えております。
本法案では、生活困窮者支援の窓口等において、住まいに関する相談を包括的に受け止めること、それから入居後の見守りなどの支援や社会参加への支援を強化することなどの改正を盛り込んでおりまして、このほかシェルター事業についても、令和6年度から緊急時の支援を樹立するための加算を創設いたしました。こうした取組に加えて国土交通省とも連携をしつつ、今国会に提出された住宅セーフティネット法の改正法案の措置を合わせて講ずることで、生活に困窮する方が借りやすい住まいが市場に数多く供給される環境の整備を進めていくこととしております。以上です。

打越議員
大臣が今おっしゃったことですね。でも、それではあまりにも小粒なんじゃないかという落胆の声が広がっているわけですね。
結局、ハウジングファーストの理念から、適切な住まいを確保して生活の再建、貧困を予防すると、危機を回避するということですと、住宅確保給付金を就労とか年齢要件と切り離した普遍的制度にすべきだと、個々人に寄り添う伴奏型の住宅支援が合わせて必要だということが問われていたのではないかと。
ですから、相談窓口設置したり、切れ目ない相談支援体制とかいろいろ用意されても、結局、住宅確保給付金を大幅に拡充すると、普遍的な家賃補助制度に改変すると、これが必要なんじゃないかと。その点いかがでしょうか。

武見厚生労働大臣
ご指摘の件は、例えば、家賃保証するというようなやり方になるんじゃないかと思うんですけれども、家賃保証みたいな形で支援事業を導入いたしますと、生活に困窮した方々に対して、個別の事情に応じて住まいの支援を行うことで、自立を促していくということが適切だろうと思います。
最低限度の生活を保証する制度として、生活保護制度が存在をしている中で、これとは別に、住宅費を保証する制度を創設することについては、最低限度の生活保証を超えた保証を行うことになり、公平性に問題が生じるということが懸念されているところから、非常に慎重な検討が必要であろうと考えております。

打越議員
それはあまりにも寂しい答弁で、本当にこれこそが必要だということは、当委員会でも参考人などから盛んに指摘されていたところなんですね。
この生活困窮者自立支援法3条3項、6条では、住居確保給付金の支給対象を「離職又はこれに準ずるものとして厚生労働省令で定める事由により経済的に困窮し、(中略)就職を容易にするため住居を確保する必要があると認められるもの」とした上で、施行規則10条で離職後2年以内、誠実かつ熱心な求職活動、離職等の前に主たる生計維持者であったこと等が要件とされています。
厚生労働省の中間まとめでも、離職廃業後2年以内という要件などについて、変更するかどうか検討するとなっていたので、非常に期待が寄せられていたんですが、この要件ぐらい外していただきたかったんですけれども、いかがでしょうか。

アサカワ社会援護局長
住宅確保給付金の離職廃業後2年以内という要件につきましては、できるだけ早期に就労支援を行うことが効果的であるため、離職や廃業の後、早期の就職活動を奨励し、かつ重点的に支援する観点から設けている要件でございます。
一方、今般の制度改正を検討いただいた社会保障審議会の中間まとめ、委員御指摘の中間まとめでございますが、それにおいて本要件の見直しを検討する必要があるとのご指摘をいただいたことを踏まえまして、令和5年4月より疾病や子育て等のやむを得ない事情により求職活動が困難であった場合には、その事情があった期間は離職廃業後2年以内の2年には含めず、離職や廃業の後、最長4年までは支給対象とすることといたしました。
この見直しも踏まえまして、今後も住居確保給付金を適切に運用してまいります。

打越議員
遅々たる歩みという感じですね。
今国会で法務委員会ですけれども、いわゆる共同親権を認めるといわれる民法改正案が審議されているところですけれども、私は弁護士としてDV被害者の代理人を務めてまいりまして、彼女たちが暴力を受けて、これはもう大変危険だということですぐ家を出て暮らすということは本当に容易ではないんですね。
衆議院の法務委員会で「離婚できなくなる社会が健全」というある議員の発言があったんですけれども、それは本当にですね、私、過去自分が担当してきた依頼者達を思い浮かべてですね、離婚しない方が望ましいということはですね、彼女たちの頭にも実はあるんですね。
そうすることですとか、耐え続けることでむしろ、そのご自身だけではなくて子どもたちにも非常に影響があって、深刻な心身に非常に悪影響があったということで、またそういう発言がですね、国会の中でもあるというのは本当にあの深刻なことだなと思います
子どもを真ん中とか、チルドレンファーストということであったらですね、子どもや女性とか個人がありのままに尊重される社会に、そういった社会こそ健全であるというふうに、国会議員としては発言していきたいと思っております
そして、石川くにこ参考人がですね、補足資料を提出していただいた際に、住まいで困っている中には女性のDV被害者もいらっしゃるということの記述がございました。
私も、住まいの貧困と聞いたとき、真っ先に思い浮かべたのは、私の元依頼者たちですね。DVに怯えながらも、住まいがないということでここで耐え続けるしかないなと。子ども連れて避難するのはとても困難なことだということで、諦めていた彼女たちのことを思ったんですけれども、今回の改正案が希望になるかというとですね、どうなのかなと。
避難する前はまだ生計維持者ではないと。子どもの世話をしなければいけないので、誠実かつ熱心な求職活動も難しいわけですね。今後の生活でこの給付金を利用したいということで、もし相談に窓口に行ったとすると、あなた支給対象者から外れてますよと言われて、ああそっかと。なかなか利用できないんだということで、避難を諦めてしまいかねないんじゃないかと。
そういうことだと、「健康で文化的な最低限度の生活」を保証できてないということになると思うんですが、いかがでしょうか。

アサカワ社会援護局長
自治体向けの事務マニュアルにおきまして、申請時点における主たる生計維持者であれば、住居確保給付金ですけれども、支給の対象となることや、育児等のやむを得ない事情がある場合には、離職廃業から最長4年までは支給を認めることをお示ししているところです。
自治体では適宜、これらの考え方を受給希望者にご案内しつつ、収入等の要件を満たしていれば、住居確保給付金を支給しているものと承知しています。
加えまして、DVの被害者が新たな住居に入居する場合であって、DV等により住民票を新住所に移すことが難しい場合には、その居住実態の確認にあたりまして、新住所に住んでいることを証明できる書類の提出で差し支えないこととしております。
引き続き、こうした取扱いについて自治体に周知を行うとともに、DV被害者への支援に際しては、個々の状況に応じて、自立相談支援機関が配偶者暴力相談支援センター等の関係機関とも連携しながら、必要な支援が行われるよう取り組んでまいります。

打越議員
私が伺ったのは避難した後ではなくて、避難する前、利用し得るよということを窓口で説明していただきたい、相談に行ったときにですね。
そこが重要なんですよ。避難する前に、私は暮らしていけるかどうかと子どもを連れて、住居が確保できるかどうかということが大切なので、その点をもう一度お願いします。

アサカワ社会援護局長
ただいま申し上げましたような取扱いにつきましては、DVの被害を受けている最中の方で、実際に避難する前に相談に来られたような場合にもしっかりと周知できるように、自治体に対して申し上げていきたいと思います。

打越議員
ぜひ周知をお願いします。誤解ないようにお願いします。
私が先の国会で取り上げて、そして今国会でもこの委員会で取り上げられている、桐生市の問題、今回も取り上げたいんですが、非常に一自治体のひどい事例だということだけではなくて、構造上の問題がある。
水際作戦を許す、そういったことが根本的に問題なんじゃないかと思われます。
大臣、桐生市生活保護違法事件全国調査団の要望書、これですね、この前参考人質疑のときに、稲葉参考人がお示ししていただいたんですけれども、大臣はお読みになったでしょうか。

武見厚生労働大臣
要旨について報告を受けただけでございます。

打越議員
要旨についてであってもですね、非常にこの深刻な問題があると、これは何とかしなければいけないと、そのご認識があるということでよろしいですね。念のためお願いします。

武見厚生労働大臣
特にご指摘のですね、警察OBの活用等が、実際に生活保護を受けようとする人達に対して、威圧的な雰囲気、環境を作り出してしまって、生活保護申請がしづらいようになってしまうというようなことは、決してあってはいけないことだと理解しております。

打越議員
はい、今大臣がおっしゃったようにですね、桐生市では水際作戦によって制度に寄せ付けないと、制度に一生懸命つながったという人に対しても、暴言とかハラスメントとか、日常生活へ過度に介入して辞退届を強要することとか、そういった驚くべき手法を駆使して短期間で辞退させてきた。もう本当に排除と管理のシステムとしか言いようがないものを築き上げてきたわけですね。
桐生市は2011年から10年間で生活保護受給世帯が半減している。特に母子世帯は2011年26世帯だったのが、2022年2世帯と急減しているんですね。あまりに不自然であり、検証が必要です。
本当にこのDV被害者の方たちが子どもを連れて避難して、でも仕事探しも難しくて、そこで生活保護を受ける必要があったということを思い出すわけです。
もちろん桐生市の生活保護をやめられた母子世帯の方たちが、みながみなDVなどの事情があったわけではないかもしれないんですけれども、でも仮にDVを受けてもつらい思いをして避難して生活を受けてみたら、何故か家庭訪問にも厳しい眼差しを警察官OBの方たちから向けられるとしたら、どういうふうに苦しくても何とかしなきゃいけないんだなと、慣れてしまって生活保護を辞退しようと、諦めるしかないんじゃないかと、そのように仕向けられるんじゃないかというふうに思います。
これは厚生労働省が2012年不正受給対策として警察官OBを福祉事務所内に積極的に配置することを促した。その結果何が起こったのかということを、桐生市に限らず検証する必要があるのではないでしょうか。
この2012年3月当時すでに生活保護問題対策全国会議は当時の大臣に、この元警察官が市民と直接やり取りする現業に社会福祉主事の資格もなく従事すると、警察目的が福祉目的に先行する。結果的に市民の生存権を阻害する危険があると警告していた。警告どおりのことが、そういった事態になっているんじゃないでしょうか。
厚生労働省はこの事態に反省していただきたいところを、唖然とすることに、令和6年度予算において生活保護適正運営対策強化事業として、さらに警察官OBの配置を進めるとしているんですね。
こういうのを進めるよりも、まず各自治体における警察OBの活用状況を検証すべきではないでしょうか。

アサカワ社会援護局長
まず警察官OBの配置についての補助事業につきましては、令和6年度予算は基本的に令和5年度予算と同様の内容のものとして計上をさせていただいております。
この警察OBの配置につきましては、ケースワーカーに暴力を振るうなど、暴力への対応との観点から進めてきたものでございますので、その趣旨に則って、自治体においても取り組んでいただくことが重要と考えております。

打越議員
時には暴力への対応とかそういったことが必要かもしれない。私も児童相談所の嘱託弁護士なども勤めてきて、さまざまに現場で働く方たちが困惑するという事態も目にしてきたので、そういった時に対応が必要だということは理解するんですけれども、必要な時に限定して警察と連携すればいいのではないかと、そのように考えます。
だから警察OBの方たちに、別に就労支援などに秀でているわけでも何でもないと思うんですね。そういった方たちを面接相談とか家庭相談とか就労相談に同席させるということは全く不合理だと思うんですが、同席させるべきではないということを周知徹底させると、そのように明言していただけないでしょうか。

アサカワ社会援護局長
生活保護の不正受給の防止は制度に対する国民の信頼を確保する上で重要でありますので、国としても自治体の取組に対する補助を行っております。
ご指摘の警察OBの活用に関する事業の趣旨は、福祉事務所における不当要求への対応強化を図ることでございまして、警察OBの配置を暴力団への対応等に限定しているわけではございませんが、各自治体においてこの事業を活用する際には、事業の趣旨に沿って人員配置を行っていただく必要があると考えております。厚生労働省としては、桐生市の件については群馬県を通じてご指摘の内容に関する情報収集を行い、不適切な取扱いが認められた場合は適切に対応するよう指導してまいります。


桐生市の質疑は続きますが、DV被害者の住まいの貧困についての書き起こしは以上となります。
誤字脱字がありましたらすみません。

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