南禅寺豆腐屋

京都の豆腐屋です。本物の豆腐をご存知ですか? 大豆の香りと味のする「これが、豆腐だ!」…

南禅寺豆腐屋

京都の豆腐屋です。本物の豆腐をご存知ですか? 大豆の香りと味のする「これが、豆腐だ!」という感動を伝えたい。 そんな気持ちを豆腐屋のひとり言という形で発信していこうと思っています。 株式会社服部食品 www.nanzenjitofu.Jp

最近の記事

丹窓窯のこと

丹波立杭の丹窓窯。 民藝について学びだしてから一度訪れたいと思っていた窯元さん。 母がお茶を教えていたので焼き物には興味があって立杭にも何度か来ていた。 丹波の山あいに丹窓窯は静かに在る。 柳宗悦が訪れ、バーナードリーチが泊まったなどと民藝に興味が無い方にとっては関係のない話だろう。 飾り気のない店の中でご当主としばし語らった。 丹波の話、イギリスへ修行に行った話。 今風に飾る店も多い中、丹窓窯はただ器を並べ購入する側の視線を大事にしているように見えた。 用の

    • 河井寛次郎記念館のこと

      京都の五条坂から少し入ったところに河井寛次郎記念館はある。 京都を拠点に活動した陶芸家、河井寛次郎の旧宅、作業場を公開している。 寛次郎の作品、蒐集品から詩まで「土と炎の詩人」と呼ばれたその暮らしから思想までをうかがい知ることができる。 「暮らしが仕事 仕事が暮らし」 寛次郎が残したことばの一つだ。このことばに現代の日本人は何を思うのだろう? 仕事の中に暮らしがあり、仕事の中に楽しみがあれば働き方改革などということばも生まれまいものを。 仕事の中に楽しみを見いだす

      • 豆腐屋のひとり言 もし京都にお揚げが無かったら

        衣笠丼(きぬがさどん) お揚げと九条ねぎを卵でとじた丼物。京都人のソウルフードと呼ばれるとか。 京都の食堂に入るとかなりの確率で遭遇する。 菜っ葉とお揚げさんの炊いたん 京都の代表的なおばんざい(日常的に家庭で食べられているおかず) 菜っ葉は小松菜、畑菜、水菜と青菜なら何でも。 出汁に薄口醤油、みりん。各家庭それぞれの味があって懐かしい。 きつねカレーうどん(お揚げ入りカレーうどん) 「天才か?」の組み合わせ。 カレー味のお揚げは個人的に無敵と思う。 もし

        • お豆腐と素食とタラオノイエと

          『素食』をテーマに滋賀県多羅尾でイベントを開催しました。 『素食』は南禅寺豆腐屋が提唱し、多羅尾の家の松井さんにも賛同いただいた食の理念です。 食の素である米や肉、魚。味噌や醤油などの調味料。加工品の豆腐や乾物など。 これらを使う日本伝統の食が『素食』なのです。 多羅尾の家は滋賀県と三重県の境にある築百五十年の古民家を改修した一棟貸しの宿。 里山にたたずむ風情は、まさしく日本の原風景といえるものです。 そして私たち南禅寺豆腐屋は『素食』こそが食の原風景にあたると考

        丹窓窯のこと

          豆腐屋のひとり言 京都よ!何処へ行く?

          所用のついでに清水寺から八坂神社まで。 産寧坂から二年坂、ねねの道と歩いた。 聞きしに勝る観光客の波、どこにでもあるような店、店、店。 これで良いのか?観光客は何を観に来てるの? 三年坂じゃなくて残念坂だわ、これじゃ。 京都よ!何処へ行く?豆腐屋のひとり言

          豆腐屋のひとり言 京都よ!何処へ行く?

          豆腐屋のひとり言 神楽岡は坂の町

          吉田神楽岡は坂の町だ。 京都は盆地なので中心部は平坦なのだがお盆の縁(へり)のほうは畢竟坂が多くなる。 今出川通を東へ、大文字山が大きく見えだす頃右手にこんもりとした小山が現れる。 吉田山古くは神楽岡と呼ばれ節分で有名な吉田神社の神域でもある。 何事にも大層な歴史がくっつく京都の例に漏れず神々が神楽を催したとか足利尊氏が布陣して南朝と戦ったなどという話も残っている。 この吉田山の東麓は神楽岡と呼ばれる閑静な住宅街となっている。 車道から少し山手に入ると昭和初期にタ

          豆腐屋のひとり言 神楽岡は坂の町

          豆腐屋のひとり言 「手」

          「あぁっ!もう。猫の手も借りたいわっ!」 この場合の「手」は労働力を意味する。 猫に手伝って欲しいくらい忙しい状況な訳で… その猫はと言うと 「使うニャ?」って寝てるやん! 歌い手や担い手といった場合この手は人をさす。 「手」と言う言葉はさまざまな意味で使われる。 それだけ身近であり大切である「手」 この手は服部で三十数年豆腐を造り続けた職人の手。 皮は固くなり、指先はひび割れた造り手。 「これくらいの厚さで仕上げるんです。これだと厚すぎるので。」と指で示

          豆腐屋のひとり言 「手」

          豆腐屋のひとり言 ひつまぶしのこと

          うなぎは丼が一番と思っていた。そう、昨日までは… 名古屋まで家族でドライブ、お昼は末っ子の希望でひつまぶしを食べることに。 正直ひつまぶしって食べたこと無かったんだよね。 なんか面倒くさい感じがして。 一杯目はそのままで、二杯目は薬味と。締めに出汁をかけてだって。 美味いうなぎは普通に丼で良いじゃん! そう思っていた時が僕にもありました。 ひつまぶしを実食。 目から鱗が落ちた。脳が脱皮した。 もう「なんじゃ、こりゃあ!」ですよ。 味変どころの騒ぎではない。

          豆腐屋のひとり言 ひつまぶしのこと

          豆腐屋のひとり言 餃子の想ひで

          あれは、もう40年ほど昔になるか美味い餃子の店があった。 京都四条、高瀬川にかかる橋を渡った先。ピンクのネオン看板が並ぶ小便臭 い路地の奥、4〜5人も入ればいっぱいのカウンターだけの「餃子の王将西木 屋町店」 メニューは餃子とカッパと呼ばれる胡瓜の漬物そしてビールと酒。 材料は他の王将と同じと聞いたがその餃子は別ものだった。 高齢のご夫婦?が包み、焼く餃子は香ばしい焦げ色を纏い蠱惑的な油のベー ルが輝き湯気あがるプックリした姿に喉が鳴る。 焼き上がりにマヨネー

          豆腐屋のひとり言 餃子の想ひで

          豆腐屋のひとり言 煩悩さん、いらっしゃい!

          「葷酒山門に入るを許さず」 禅寺の門によく立ってる奴。 香りの強い野菜(ニラとかニンニク)と酒を寺に入れるなと。 修行の妨げになる煩悩を呼び起こすから。 煩悩:心身に纏いつき心をかき乱す、一切の妄念、欲望。 わかりやすく言うと「美味いものが食べたい」「良い車に乗りたい」etc… 高いこころざしを持つ修行僧ですら煩悩を断つために努力する。 いわんや、在野の凡愚たる自分になど煩悩はより集まって…あれ? 最近、煩悩さんの声を聞いてない?あれが欲しい、これがしたいって

          豆腐屋のひとり言 煩悩さん、いらっしゃい!

          豆腐屋のひとり言 冬の恵みを喰らう

          道の駅で見事な大根と出会う。 心が歓声をあげる。「煮物だ!」 帰って早速出汁をひく。昆布と鰹で丁寧に。 醤油、酒、みりん。まだ味が決まらない。かどがある。 ここでお揚げさん登場。一転味がまとまる。米油良い仕事するわぁ。 下ゆでした大根が味を含むようコトコト。 なんら値の張る材料を使うわけではない。自然の恵みをただいただく。 「贅沢な素食」 南禅寺豆腐屋服部が提唱する食の在り方。お金をかけるのが贅沢じゃないのよ。 季節を喰らう。豆腐屋のひとり言

          豆腐屋のひとり言 冬の恵みを喰らう

          豆腐屋のひとり言 直木賞を読む

          年頭の目標として「本を読む」を掲げた。 元々読書を好んだが、ここしばらく時間をかけて本を読むことから遠ざかっていたから。 さて、何を読もうか?書評の薦める本?売れてる本? そうだ、直木賞受賞作家を片っ端から読んでやろうと決めた。 直木賞にしたのに大した理由は無い。芥川賞だと絶対途中で挫折しそうだったから。 芸術性のある小説より大衆小説のほうが面白そうやん。 ということで読みはじめて6冊目にかかっている。近年の受賞作家から手をつけているがなかなか面白くて止まらない。

          豆腐屋のひとり言 直木賞を読む

          豆腐屋のひとり言 稲荷よ、お前もか

          初詣で伏見稲荷大社へ行った。 ここ数年、海外からも注目されて外国人観光客も増えた。 千本鳥居、ミステリアスなスポットとして人気らしい。 千本鳥居って、子どもの頃は昼でも薄暗く無気味な所というイメージしか無かったんだけど。 伏見稲荷を1年ぶりに訪れて感じたのは、昔からあった店が全然違う店に変わってしまっているってこと。 お茶屋さんはキャラクターグッズの店に、神具店は肉料理の店に。 まぁ、無責任な第三者が言えることでは無いんだけど、やっぱり言いたい。 「そこに、矜持は有

          豆腐屋のひとり言 稲荷よ、お前もか

          豆腐屋のひとり言 猫に学ぶ

          「ニャア!」カリカリ。 ドアを開けろと猫が呼ぶ。 朝、配達から帰って休んでいる時間に毎日。 「はい、はい」と入れてやるとひとしきり部屋を歩いて 気がすむと今度は出せと。 猫に忖度は無い。どこまでも自分中心。 午前中これを3〜4回繰り返す。 何か猫なりのルーティンか?午後は部屋に来ると寝る。 なんたる傍若無人、なんたる傲岸不遜。 と怒ってみても仕方がない。猫だから。 羨ましいほどのマイペース。 猫になりたい。 まわりを気にする、他人の言葉にブレる。 やめよう。 来年は

          豆腐屋のひとり言 猫に学ぶ

          豆腐屋のひとり言 大盛り考

          「蕎麦、大盛りでね!」「あいよっ!」 大盛り、心躍る響きである。 齢六十にせまっても、いまだに蕎麦屋へ行くと大盛りをたのむ。 大体が通常の一人前が少なすぎる。生来の麺食いとしては蕎麦はたっぷり食べたいのである。 初めて行く蕎麦屋で大盛りをたのむと「えっ、これで?」という量の時がある。 蕎麦の一人前は店によってまちまちで、これで大盛りですと出されたら客は黙って頂くしかない。 かと思えば、とんでもない大盛りが出てくることもある。 京都の一乗寺の蕎麦屋など大盛りを頼むと、かき氷か

          豆腐屋のひとり言 大盛り考

          豆腐屋のひとり言 お庭好きは急げ‼️

          行ってきました。東福寺塔頭「龍吟庵(りょうぎんあん)」秋の特別公開へ。 自分一推しの作庭家重森三玲氏の三つのお庭が拝見できる、しかも3年ぶりの公開。 もう行くしかないと秋の1日京都市東山区へ朝から向かいました。 重文の偃月橋を渡り龍吟庵へと、この偃月橋は1603年の建築とあるから徳川幕府成立の年。こういうところに京都の凄さがあるんだね。歴史を感じながら橋を渡っていく。 ラッキーなことに係の方の丁寧な説明付きで拝観することができました。 こちらの方丈は寝殿造と書院造が混在す

          豆腐屋のひとり言 お庭好きは急げ‼️