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ソウル競馬場ガイド(施設概要編)

当記事は筆者が2022年11月12−13日にソウル競馬場を訪問した時のことを基準にしていますが、年度代わりや再訪により一部編集・情報更新しています。

初稿 2022年11月23日
更新 2023年5月21日(競馬新聞価格を更新)
   2023年6月21日(ナイター/薄暮開催時刻を更新)
   2023年9月11日(再訪による内容点検・記載整備)
   2023年12月15日(場外馬券売場について追記)
   2024年2月20日(開催日時を2024年のものに更新)


開催日時

ソウル競馬場では年末年始、旧正月、夏季、中秋のそれぞれ1週間ずつを除いた年48週において土曜日と日曜日に開催しており、金曜日は釜山慶南競馬と済州競馬の場外発売所として開場しています。

2024年度の開催休止日およびカレンダーは以下の通りです。

① 2024年2月9日(金)~2月11日(日):旧正月
② 2024年7月26日(金)/7月28日(日):酷暑期休止(釜山慶南)
③ 2024年8月2日(金)~8月3日(土) :酷暑期休止(済州)
④ 2024年8月10日(土)~8月11日(日):酷暑期休止(ソウル)
⑤ 2024年9月20日(金)~9月22日(日):中秋

通常は9:30開場、10:35第1レース発走、18:00最終レース発走というスケジュールですが(時期によって多少変動します)、今年は春と夏に4週ずつのナイター開催があり、詳細な発走時刻は以下の通りです。

<昼間開催>
金曜日:1R 11:00 / 最終R 18:00(釜山慶南・済州)
土曜日:1R 10:35 / 最終R 18:00(ソウル・済州)
日曜日:1R 10:35 / 最終R 18:00(ソウル・釜山慶南)

<春季ナイター開催:2024年3月29日(金)~4月21日(日)>
金曜日:1R 14:00 / 最終R 21:00(釜山慶南・済州)
土曜日:1R 13:30 / 最終R 21:00(ソウル・済州)
日曜日:1R 10:35 / 最終R 18:00(ソウル・釜山慶南)

<夏季ナイター開催:2024年8月23日(金)~9月15日(日)>
金曜日:1R 14:00 / 最終R 21:00(釜山慶南・済州)
土曜日:1R 13:30 / 最終R 21:00(ソウル・済州)
日曜日:1R 10:35 / 最終R 18:00(ソウル・釜山慶南)

レース数は基本的に土曜日が10レース、日曜日が11レースですが、これも時期によって土曜日が11~12レースになったり日曜日が10レースになったりします。

ナイター開催は昨年の夏季6週間から春季4週間+夏季4週間へと増加しますが当該期間中の日曜日は昼間開催という変則になりますので、9月8日(日)のコリアカップ・コリアスプリントは昼間開催であることにご注意ください。

アクセス

ソウル地下鉄4号線「競馬公園」(駅番号436)下車、徒歩すぐ
(所要時間:ソウル駅から24分、明洞から28分、東大門から33分)

終点・烏耳島(오이도/オイド)行きと途中止まり(競馬公園の3駅手前)の舎堂(사당/サダン)行きがほぼ交互に来ます。後者の場合は舎堂駅を降りたホームでそのまま後続の烏耳島行きに乗り換えて下さい(所要時間+10分)。

地下鉄路線図や乗車案内は下記リンク先参照。

競馬公園駅
上り線(ソウル駅方面行き)ホーム
入場門へと続くアーケード

予想紙・競馬新聞

競馬公園駅の改札を出るとすぐに予想紙(競馬新聞)の売店が数軒並んでいます。(入場門前や競馬場内でも購入可能です)

韓国の予想紙は全て冊子型ですが、値段は種類により1000〜4000ウォンと幅があり、筆者が見た限り명승부(”名勝負”、4000ウォン)と에이스경마(”エース競馬”、2000ウォン)が人気のようでした。

・2023年5月13〜14日に訪問した時、”名勝負”は4000ウォンから5000ウォンに値上げされていました。
・2023年9月10日に再訪しましたが”名勝負”は5000ウォン、”エース競馬”は2000ウォンで値段変わらずでした。

”名勝負”の売店(左端)
”エース競馬”の売店

購入時にマークカード記入用の黒サインペンを無料で貰えます(ボールペンや赤サインペンでの記入はエラーになりやすいのでご注意下さい)。

なんの変哲もないサインペンですが。
左が”名勝負”、右が”エース競馬”
日本の競馬新聞とのサイズ比較
縦横の持ち方が逆になりますが
広げると日本の競馬新聞1面とほぼ同じ大きさです

この予想紙の読み方についてはいつか別記事にて取り上げることができればと思っていますが、以前の記事で少しだけ触れていますのでご参照ください。

入場料

ソウル競馬場の入場料は2000ウォンで、中央競馬とほぼ同額です。(不定期で無料の日もあります)

コネスト(KONEST)の記事に交通系ICカードT-moneyを使って入場できるとありますが筆者が今回試した限りでは不可で、今後は専用アプリ(韓国居住者限定)か現金かのどちらかにするようです。よって、旅行者の場合は現金窓口で紙の入場券をご購入ください(但し紙の入場券の場合、スタンド内では立席限定になります)。

入場門
左側(テント側)が現金、右側が専用アプリ入場

メインスタンド

入場門をくぐると目の前に大きなメインスタンドが2棟そびえ立っており、右手(手前側)が旧館ハッピーヴィル(Happy Ville)、左手(奥側)が新館ラッキーヴィル(Lucky Ville)です。

旧館ハッピーヴィルは床面積39,600㎡、3万5千人収容、新館ラッキーヴィルは床面積70,950㎡、4万2千人収容という非常に立派なスタンドです。両スタンド間は連絡通路で繋がっており行き来自由です。

屋内座席が多く設置されていますが全席指定で、スマートシートのように専用アプリで事前予約する必要がありますので紙の入場券を買った場合は立席のみ可能となります。

新館ラッキーヴィルの屋内座席
旅行中の外国人は立席以外選択肢が無いのが厳しい…
屋外座席は立席でも利用可能です
本馬場手前にも座席が多く設置されています。モノを置いて占拠する人の姿は僅少でしたので入れ替わり立ち替わりで座ることが可能です。コリアカップの日でも全く余裕で座れました。

なお、ネット検索で「外国人専用席」の情報も出てきますが、少なくとも3年以上前には廃止されています。その代わり・・・でもないのですが、20〜40代限定の若者向けラウンジ”NOL LOUNGE"が設置されていますので、条件の合う方は是非チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

利用案内(韓国語)は下記リンクご参照ください

最後に、詳細な館内案内図(韓国語のみ)は下記リンク先の通りです。
(上段が旧館ハッピーヴィル、下段が新館ラッキーヴィル)

パドック

入場門から入ってすぐのところ、旧館ハッピーヴィル手前にパドックがあります。立って観る人も多いので割と座席を確保しやすいです。

なお、韓国ではあまりカメラを構えている人がおらず、ときどき女性騎手に対してスマホを向ける人がいるぐらいです。よってカメラを向けるとやや浮いた感じにはなりますが旅の恥は掻き捨てでいきましょう。(コリアカップの日はさすがに地元の方でも写真撮りまくりでした)

旧館ハッピーヴィル2階からも眺めることが可能

本馬場

ダート左回り・1周1800m(ゴール前直線400m)、東京競馬場ダートコースを非スパイラル(対称型)カーブにしたような形状です。高低差は±4mあり、最終直線は2mの上りです。

正面スタートの場合(1700〜2000m)は内回りコースからのスタートとなります。

1700m発走地点(内回りコース)

なお、砂厚は8cmであり、朝鮮半島西側で採取した海砂を使用。砂質は日本よりややサラサラしているものの総じて大差無いようです。

KRA Web公開資料を筆者が一部改変(和訳化)
https://race.kra.co.kr/chulmainfo/RacingcourseStructure.do?Act=02&Sub=11&meet=1
KRA Web公開資料を筆者が一部改変(和訳化及び付記)https://race.kra.co.kr/chulmainfo/RacingcourseStructure.do?Act=02&Sub=11&meet=1

内馬場には”VISION 127”と命名された大型映像装置が設置されていますが、これは文字通り幅127mと、川崎競馬場ドリームビジョン(幅72m)、東京競馬場西側ターフビジョン(幅66.4m)よりも遥かに大きい、世界最大級のものです。

一度に多くの情報や映像の投影が可能
レース中継の全画面表示はド迫力の映像
ゴール横の後検量室は”見せる(魅せる)”構造
レース後上がってきた馬を間近で観ることができます

馬券購入

単勝・複勝・ワイド・馬連・馬単・三連複の6種類に対して100ウォン単位で発売されますが、法により一人1レースの購入上限は10万ウォンです。発売窓口をハシゴすることにより上限以上の購入を行う人もいますが、これは違法行為ですのでくれぐれもご注意ください。(場内オッズ情報には三連単も出てきますが、これは専用アプリ限定発売です)

有人窓口は現金券(バウチャー)販売と払戻専用であり、バウチャーとマークカードを使って場内に数多く設置されている自動発売機にて馬券を購入します(一部現金が使える発売機があります)。

的中馬券の払戻期限は1年後ですが、そのままバウチャーとして次の購入に使うこともできます(バウチャー又は的中馬券→マークカードの順に機械へ投入します)

複数種類の機械がありますが、基本構造・機能は同一
表示言語は韓国語がデフォルトで、日本語・英語・中国語が選択可能
外国語を選択した時は馬券が英語化(左)

新館ラッキーヴィル1Fには外国人向け案内所があり、日本語の流暢な方が色々とご案内してくれますし、ここで外国語対応のマークカードを貰うことができます。

撮影角度が悪いですが、左側が"Foreigner Infomation"となっています
言語選択は自動発売機用で、馬券は英語で出てきます

なお、さらなる詳細や課税ルールについては下記記事にて取り上げておりますので、そちらもご覧いただければ幸いです。

グルメ

フードコート的なものはありませんが、旧館・新館の各フロアに食堂が数多くあります(全部で20軒ほど)。

旧館ハッピーヴィルにロッテリアと中華がある他はほとんどが韓国料理のお店ですが、どこで食べても最低7000ウォンはしますので、場内に無数にあるコンビニでパンやカップラーメンを買う人や、5000ウォン程度の弁当を食べている人も多い模様でした。

そのような中では食堂20軒で十分なキャパシティがありますので、大行列で食いっぱぐれるということはないでしょう。

新館ラッキーヴィル1Fの食堂にて
牛骨白菜スープ定食(사골우거지탕/サゴルウゴジタン)7500ウォン
揚げカマボコにゅうめん(어묵유부국수/オムクユブククス)6500ウォン
こちらは新館ラッキーヴィル3Fの食堂
カタクチイワシ出汁にゅうめん(잔치국수/チャンチククス)定食 9,000ウォン

なお、アルコール販売は行なれておりませんし、持ち込みも禁止ですのでくれぐれもご注意ください。

博物館・展示

新館ラッキーヴィルの近くに「馬博物館」が、そして旧館ハッピーヴィル1Fに展示コーナー規模ですが「韓国競馬100年記念館」があります。

馬博物館

馬博物館は古代から近世に至るまでの馬具や美術品、民俗品など馬文化に関連した資料の展示が行われており、入場無料です。

韓国競馬100年記念館

一方、韓国競馬100年記念館は、2022年に韓国競馬が施行100周年を迎えたことを記念して設けられたものであり、1922年から現在に至るまでの競馬に関する各種展示が行われています。

コリアカップ(国際G3/韓国G1)のトロフィー
左はコリアスプリント(国際G3/韓国G1)、右は大統領杯(韓国G1)
韓国調教馬ではありませんがKRAが馬主であるニックスゴーの
2020年BCダートマイル優勝記念像
韓国のクラシック三冠馬
J. S. Hold(左)とPower Blade(右)
1989年まで存在していた先代・ソウル競馬場(トゥクソム競馬場)

その他場内施設

無料Wi-Fi

"LetsRun-Free"というSSIDの無料Wi-Fiが使用可能です。速度は下り20Mbps程度でしたが、例えばJRA公式サイトのレース映像を観る分には十分で、且つスタンド内外どこでも殆ど途切れずに使用可能でした。

コインロッカー

500ウォン硬貨2枚使用のコインロッカーがあります。数はさほど多くありませんがあまり使っている人もいませんのでいざ使いたい際は大丈夫かと思います。

万が一空きが無い場合は入場門近くに有人の手荷物保管所がありますが、本当に稼働しているか分からない雰囲気も少々ありました。もし当日閉まっていたら、外国人案内所に泣きつけば何とかなると思います(海外での鉄則「ダメもとで泣きつく」)。

2023年5月に再訪した時は完全に閉まっていました…

喫煙所

来客層がおじさん中心ですので喫煙率も高く、スタンド内外あちこちに喫煙所があります。ただしスタンド内の喫煙室はすごい人口密度で空気が真っ白でしたので、スタンド外をオススメします。

余談ですが「タバコは喫煙所で」というプラカードを持った職員があちこちに配置されており、パドック近くでタバコを吸っているオッサンが注意されている姿を何度も見かけました。

スタンド外の喫煙所
文字は読めなくとも喫煙者は雰囲気ですぐに分かると思います

土産物屋

入場門脇に「그랑프리(グランプリ)」という名の土産物屋がありますが、売っているものは木彫りの馬やカラフルで不気味なぬいぐるみ(全然かわいくない)、あとは馬具みたいなものばかりで、ターフィーショップ的なものを期待するとガッカリします。

土産物屋「グランプリ」

場外馬券売場

以前はKRAプラザなどと呼ばれていましたが現在は「レッツラン文化共感センター」「Let’s Run CCC (Culture×Convenience×Center)」と呼ばれている場外馬券売場が全国27か所に設けられており、JRAのエクセルのように全席有料指定です。

指定席料金はフロア毎にグレードが異なっており「パブリック」が5,000ウォン、「スペシャル」が8,000ウォン、「プレミアム」が11,000ウォンとなっていますが、売場の中にはパブリックとスペシャルだけのところもあります。

最大規模を誇る永登浦場外(ソウル市)は13階建てで6,366席を備えていますが、その外観と1F指定席券売場だけ覗いてきましたのでその写真をご紹介します。

13階建てのLet's Run CCC永登浦
奥に改札機が見えますが、そこを通らなければ馬券売場には行けません
一見馬券売場と間違えそうですが、1Fの指定席券売場です

以上がソウル競馬場のご紹介でした。

他に何か知りたいことがあれば分かる範囲でお答えしますのでコメントにてお寄せください。ここまでお付き合い頂きありがとうございました。

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