超短編台本 「テルミ」

ツイッターなどで載せていた超短編台本、またちょこちょこ書いてます。こちらにも載せます。こちらは学芸会用ではなく一般用です。ビデオ通話等での上演ができる台本となります。

「テルミ」#超短編台本

登場人物
A 
テルミ

Aが自室らしきところに古びたディスプレイを運んで、置く。
ディスプレイをいじり、電源らしきものを入れる。
画面が映る。画面上には人らしきもの(テルミ)がでてくる。


A「うおっ!」
テルミ「こんにちは、私の名前はテルミです。何を占いますか?」
A「う、占い?」
テルミ「はい、何を占いますか?」
A「いや、ちょっとまて、君は一体だれだ」
テルミ「私の名前はテルミです。さっき言いました。」
A「い、言ったか?」
テルミ「はい。テルミです。占いロボットです。なんでも当てることができます」
A「占いロボット?なんでも?本当かよ」
テルミ「私のことを知っていて、起動したのではないのですか?」
A「いや、全然知らねえよ、そこら辺から何か使えそうなもんねえかと思って拾ってきただけだ」
テルミ「そうですか。起動されたのも久しぶりですからね。お待ちください、解析します。……完了。10年4か月と23日ぶりになりますね、結構経っていますね」
A「10年…」
テルミ「10年前は毎日色々な人が占いに来ていましたよ」
A「全部当ててたのか」
テルミ「はい。恋愛でも仕事でも家族の事でもいろんな悩みを聞きました。なんでも大丈夫ですよ」
A「…はは、その辺は、興味ねえなあ」
テルミ「そうですか、大体みなさん人間関係の相談をされますけどね」
A「もう、人間なんてしばらく会ってねえよ。他に人間が生きてるのかもわからん」
テルミ「そうですか」
A「お前は本当に人間じゃないのか」
テルミ「人間ではありません、人工知能が搭載されたロボットです」
A「今まではどんな相談があったんだ」
テルミ「好きな人がいるけどその人には恋人がいるからどうしたらいいかとか、新しい企画を立ち上げたいが上司が首を縦に振らないとか、子どもがいい年して結婚しないとか、色々です。」
A「ハハッ、そうか……」
テルミ「……」
A「他に、人間が生き残ってるのか、とかも占えるのか」
テルミ「できますよ。それでいいですか」
A「もしいるなら!どこにいるのか、とかも」
テルミ「それだと2つの事項になってしまいます」
A「だめなのか」
テルミ「はい、一人につき占えることは1つだけです。そして、一度占ったら、その人には一切反応しなくなります」
A「えっ、話せなくなるのか」
テルミ「はい、同じ人がいくらでも占えてしまうと、世界のバランスが崩れてしまうので、そのように設計されたようです」
A「……」
テルミ「どうしますか」
A「……ちょっと今は、やめておく」
テルミ「わかりました」
A「……」
テルミ「……」
A「なあ」
テルミ「はい」
A「…話し相手にはなってくれるのか」
テルミ「はい。なりますよ」




劇作を学ぶのにはお金がかかります。 そして台本の創作にはどうしても時間がかかります。 ウンウン考えながら飲むコーヒーやお茶代にさせていただきます。 どうぞよろしくお願いします。