開示請求されるも、何事もなく請求棄却となった話。【852話氏との係争】
この記事は相手方のSNS上の投稿によって過度に不安を感じる必要はないという事例の紹介および、論評の域を超えた誹謗中傷の抑制を目的としています。当然ながら批判や感想に関しては一定の言論の自由が保障されるべきとも考えています。
ただし弁護士による確認の結果、言及は限定的となりました。多くの点で異なるケースではあるものの、令和3年の裁判において裁判記録を公開した発信者に対する訴訟で賠償命令の判決が出ているなどの背景からです。ご了承下さい。
・当時の心境や行動
開示請求に動いたという852話氏(相手方)の発言を聞き流していると、7月上旬に「意見照会書」が届きました。個人情報が開示されたわけではなく、契約プロバイダによる開示の可否を問うものでした。
改めて見ると浅慮な書き込みであった事に反省。その一方で「これで開示…?」と疑問が浮かぶ。「情報商材は実際に売っていたし、そもそも開示されるほどではない」と判断。意見照会書は拒否で回答。
直後、852話氏は畳みかけるように開示の成功を報告。「開示がなされました」という言い方はかなりの進展に思えますが、この時点における開示とは十中八九IPアドレスのことで、相手方が知る情報は契約プロバイダ会社についてのみ。「発信者相手に訴訟を起こす為に必要な個人情報の開示」を契約プロバイダに求める為の訴訟、を起こす前…というのが現段階。法改正後においても請求者にとって長い道のりですが、発信者が示談を選べばその限りではありません。
しかし3か月後に契約プロバイダから再度連絡。今度は申立事件となったとのこと。「裁判始めたって事は勝算があるのか…?」と不安になりようやく弁護士に相談。結果「今年見た中で一番問題なさそうです」とのお墨付きを頂く。安心したものの852話氏による訴訟への言及は止まらない。
5chにおけるIP開示はあっさり通るので報告するほどの事ではないと思うが…知らない人から見れば快進撃に見えるかも。
訴訟提起一件か…実際に訴訟されているので私のケースだろう。問題ないと思ってはいるが、こうも言及されると流石に落ち着かない。
・・・は?裁判?出頭しなかった?
何の話?
弁護士に選んでもらった上、確実にいけそうなものを選んだ!?
相談した弁護士さんに「今年見た中で一番問題ない」とまで言われたのにダメだったのか…?それとも何かイレギュラーが起きてる?書類や通知が届いてないとか…
(裁判終わってる上に判決出とる…)
そして契約プロバイダに連絡を取り、返事を待つこと数日後。「去年のうちに請求棄却となっております」との説明を頂くのだった。
・所感
IP開示は実際にされているし、訴訟提起されて申立事件になっているのも事実。その上で「弁護士に誹謗中傷に値するものを選んでもらい、かつ確実にいけそうなものを選んだ」という公言をまさか請求棄却後にしているとは思わず、更に訴訟提起1件と具体的な件数に触れていた故に勘違いしたものの…訴訟してからは一切触れてなかっただけでそもそも別件だったのでしょう。また、開示請求のきっかけとなった「甥のデマ」についても言及がありました。
私の書き込みは「甥のデマ」とは関係ないので、852話氏の発言とは矛盾しますがそれも例外ということなのでしょう。勝訴報告の件においても甥関係であるのか例外であるのか気になりましたが、具体的な書き込み内容はまだ書面で公開していないようです。
これほど頻繁に訴訟の進捗を報告する請求者も珍しいとは思いますが、「こんなに開示請求がうまくいっている様子なら示談に向けて対応を変えた方がいいのでは」などと考える必要はありませんでした。もちろん弁護士さんにまず問題ないと言っていただけた故の判断ではあります。相談と意見照会書の回答書を書いた以外は何もする事がなかったので、某漫画や開示請求にまつわる体験談のような壮絶な様子はありませんでした。一連の出費も相談料の5000円のみ。
以下、自作した回答書の内容も掲載します。ビビリなのでガチガチに気合入れて書きましたが、ここまでしなくても良かったのかもしれません。(甲号証については全て自前の資料で、アドレス、日付、URLつきのスクショなどです。)
相手方の主張は情報商材屋という表現を強く批難するもの等であった為、それらに対応したものを作成しました。
実際にどう扱われたのかは契約プロバイダの弁護士さん次第なのでわかりません。回答欄が狭かったので別紙として貼り付けました。名誉権の侵害(名誉棄損)と名誉感情侵害は別なので注意。
「私は弁えてるから大丈夫」と思っていても、いざ実際に訴えられてしまった場合、訴えられた事実や申立書に記載された弁護士名、法律用語を目にして素人判断で問題ないと確信するのは難しいと思います。加えて相手方が開示の成功を繰り返し謳っている場合、示談へ向けた行動を選ぶ人も少なからずいるでしょう。「こんなので開示が通るわけがない」という思考と、「こんなので開示請求できるわけがない」という思考を混同しないようにしないと、当事者になった時のショックが大きくなり、適切な行動ができなくなるかもしれません。開示請求すること自体はお金があれば簡単だからです。なので、
「そもそも誹謗中傷をしない」
「ただの感想や批判でも開示請求されることがあるが、特に問題はない」
「相手方の言動で判断するよりも、とっとと弁護士の意見を伺うべき」
という前提を持っていれば、いざという時負担なく過ごせるかと思います。何も特別な事は言っていませんが、開示請求の当事者になること自体が普通ではないので、当たり前の行動をする事が普段より難しくなるかもしれません。そんな機会があればこの記事を思い出していただければ幸いです。
以下補足
・思ったよりずっと早かった
新設された「発信者情報開示命令」というものによって手続きは迅速になりました。加えて早い段階で裁判所の却下決定かつその後の訴えもなかった為、お手紙からものの半年程度で終わっていました。ネット上で散見される年単位云々の事例は改正前であることに加え、月1での裁判が何度も必要であったり、権利侵害の有無以外の理由で開示に時間をかけたり、開示成功かつ個人間の係争で時間をかけているケースなどだと思います。改正後であり、単純で、議論を重ねる必要なくすぐに却下決定がされるようなケースでは相当に早いようです。
また、開示請求(開示命令)において裁判が不要であるかのような情報や解釈の難しい説明を見かけたのですが、発信者情報開示命令において従来より手続きの回数が減ってこそいるものの、裁判所の判断は当然仰ぐようです。(裁判外手続きにおいても、契約プロバイダが任意の開示に応じる事はほぼない為です。)でなければ誰でも何でも開示が通り放題になるので当然ですね。
・投稿が今の時期になった理由など
自分にはメリットないし面倒だし、資料見せなきゃデマ扱いされるし、資料見せたらリスクありそうだしで、そもそも発信するつもりがありませんでした。意見照会書が届いた当時に某所に書き込んで嘘扱いされたのも忌避感となっていました。更に言えば852話氏個人の言動に対し思うところがあったのみであり、生成AIそのものに関しては干渉するつもりがなかったので、その方向での投稿理由もありませんでした。しかし最近身近でスラップ訴訟が起こり、この経験が謂れのない訴訟をされた人の為になればと思いたち、改めて弁護士と相談の上この投稿を行いました。また、実際に動いている人がいる事例を示す事で、意見感想の域を超えて誹謗中傷発言をしてしまっている人の抑制にもなればとも思います。批判するにしてもその言い方大丈夫?という方も多く見られますので…
かといって都合の悪い指摘へのデマ認定、誹謗中傷認定などは極端だとは思いますが。
・事件番号について
申立書に記載があったため把握しています。しかし発チ形式の非訟事件は一般には非公開のため、「公開の原則」は適用されず、判例サイトにも載らず、公開には法的リスクを伴います。更には裁判記録閲覧申請の際に個人情報の提出が必要で、該当の裁判記録を閲覧した人の情報が後から見れるようになる事などから、当事者であっても閲覧にリスクがあります。こうしてみると「開示請求が却下決定となったケースで、法的リスクなく匿名の人間がそれを証明する事」は難しいと感じます。ほとんどの資料を公開できない以上、相手方は「具体的に言及せず『デマがある』と語る」「DMCA申請が通っただけなのに、『デマを削除した』と語る」…など、それらしく説明することはいくらでもできるのですから。
追記:852話氏による当記事への言及について
852話氏により当記事が「『訴訟自体に失敗しているのに852話は嘘をついている』かのような書き方をしている」との指摘を受けておりますが、最初期より「そもそも別件だったのでしょう」との一文を明記しております。更には、主観的な感想及び「過度な不安を受ける必要はない」という概要のひとつに沿った説明をする為の時系列ごとの心境を述べたものとして、「当時の心境や行動」との見出しも明記しております。よって、指摘内容は誤りとなります。
また、3つ目のポスト「開示請求の順序~」において、開示請求後の示談が決裂した場合にようやく訴訟が始まるかのような印象を与える説明となっておりますが、プロバイダへの開示要求の時点でも拒否されれば訴訟へと発展します。更には「開示請求がなされなかった人物のものです」という記載も、申し立て自体が行われていないと解釈されかねない文面です。誤解を招きかねない発言にお気をつけください。