シャープのジャストサイズドラム(7kg/3.5kgクラス)

ドラム式洗濯機は各社から出ているが、シャープとパナソニックの7kg/3.5kgクラスがドラム式洗濯機の中で最も小型である。シャープの7kg/3.5kgクラスを使ってきて良い部分も悪い部分もわかってきて、対策も取れるようになった。

【長所】
1.60cmx60cmの標準的な防水パンの中に収まるサイズなので、比較的狭い場所にも確実に入れられる。

パナソニックからも同様の60cmx60cmの防水パンに収まる7kgx3.5kgクラスの製品が出ている。他の洗濯機も一応60cmx60cmの防水パンに収まるとしているが、本体は前方にはみ出したりする。防水パンからはみ出さないのは縦型か7kg/3.5kgクラスのドラム式のみ。

日立の風アイロンは全般的にサイズが大きく、一番小さくても11kg/6kgクラスである。東芝のドラム式洗濯機も12kg/7kgクラスしかない。家族で使うならそれくらいのサイズが必要だが、一人暮らしで使うには大きすぎる。

2.水道代、電気代が比較的安い

小型なのでその分使用する水の量も消費電力も少なめ。一人暮らしで毎日洗濯する人に向いている。ドラム式は洗濯物の量が少ないときには消費する水の量が少なくて済む。

2.音が静か

これも小型ゆえ。夜に帰宅して風呂に入ってからその日の洗濯物をすぐに洗濯する用途に向いている。

3.乾燥機使用時にも湿気が外に出ない

冷却水で湿気を結露させてそのまま排水口から流す水冷式のため。パナソニックの7kgx3.5kgクラスは除湿せずに湿った空気をそのまま外に排出する方式なので、洗濯機のある場所に湿気が出る。換気扇をつけるか窓を開けるかしないと湿気が籠もる。洗面所に湿気が貯まると困る環境なら湿気を外に出さないシャープしかない。

乾燥機の脱水にはいくつか方式があるが、もっとも広く採用されているのがヒートポンプ式。ヒーター側で加熱してエバポレーター側で除湿するので年間を通じて乾燥性能が安定している。安価な機種に採用されているのが水冷式で、これは乾燥性能が水温に依存する。夏の水温の高い時期には乾燥性能が低下する。パナソニックの安価な機種では水冷の代わりに乾燥機使用時に発生した湿気を帯びた空気をそのまま外に排出しているようである。

日立の風アイロンは、湿った空気をそのまま排水口に吹き飛ばしてしまうという割り切った設計で、外に洗濯物を干すのと同じ原理。ただしモーター駆動で強い風を発生させるので騒音が大きめ。洗濯機のモーター等で発生する際の熱を回収してヒーターの代わりにしている。

4,乾燥ダクトに水を流して埃を洗い流す機能がある

乾燥ダクトが埃で詰まると乾燥効率が下がるので、メーカーもいろいろ工夫しており、シャープは洗濯機での給水時に乾燥ダクトの埃を洗い流す方式。洗い流された埃は、洗濯槽を経て排水されるので、埃は最終的に排水フィルターで捕捉される。

洗濯槽にこびりついた埃を落とすには槽洗浄が有効なようだが、ドラム式洗濯機はもともと消費する水の量が少なく、洗濯槽が汚れにくいようで、槽洗浄用の洗剤を入れて洗濯槽を洗浄してもほとんど埃が出てこない。

東芝と日立の洗濯機にも同様の乾燥ダクト自動洗浄機能がある。

パナソニックは細長いブラシでほじほじするローテクな方式のようである。

5.プラズマクラスター除菌・消臭は意外と機能している

シャープの洗濯機なのでシャープ名物のプラズマクラスターがついており、除菌・消臭運転においては帯電させた水を噴霧して洗濯物にかけている。スーツにように頻繁に洗えないもので使ってみると、たしかに消臭効果がある。普段プラズマクラスターやマイナスイオンといったものを全く信用していなくても、少なくとも除菌・消臭では効果を認めざるを得ない。乾燥機使用時にもプラズマクラスター運転をしているようで、こちらは洗濯物から発生した水分を帯電させているようである。

パナソニックのドラム式洗濯機にもパナソニック名物のナノイーがついている。

【短所】
1.季節によって乾燥性能が変動する

前述の通り、水冷式なので夏の水温の高い時期には乾燥性能が低下する。また、加熱はヒーター式なので冬は気温が低い時期には空気が温まりにくく、その分乾燥に時間がかかる。ただし夏と冬にはそれぞれ対策がある。

2.U04というエラーメッセージが出やすい

U04というエラーメッセージは、メーカー説明書によると乾燥フィルターの目詰まりが原因とされているが、乾燥フィルターをこまめに掃除していてもこのエラーメッセージが出る。別に乾燥フィルターの風圧を計測しているわけではなく、重量センサーで洗濯物の重量を計って乾燥時間を推定し、所定の乾燥時間終了の20分前に湿度センサーで十分に乾燥しているかどうか計測しているようだが、湿度センサーで検知した湿度が想定よりも高めだとU04が出るようである。乾きにくいバスタオルこそ乾燥機でしっかり乾かしたいところだが、バスタオルは乾きにくいのでU04が出やすい。

3.ドラムが小さい分衣類がシワになりやすい

これは小さいのだから仕方ない。とはいえ、もともとシワになりやすい衣類にはタンブラー乾燥機を使わないのでさほど影響ないともいえる。

日立の風アイロンはドラムが大きい上に風を吹き付けるので、通常ならシワになりやすい衣類でもややシワになりにくい。また、洗濯槽内の温度が比較的低めなので、熱で縮む素材も乾燥機にかけやすい。乾燥機を積極的に使いたいなら日立の風アイロンは良いかもしれない。

4.夏には乾燥機使用時の洗濯槽内の温度が高くなる

水冷式なので水温が高い時期にはヒーターの温度も高くしないと除湿できない。そのため、特に夏に洗濯槽内の温度が高くなりやすい。熱で縮む素材は乾燥機にかけられない。もっとも夏は乾燥機にかけなくても乾きやすいし、日本では太平洋高気圧に覆われている際にはなかなか雨が降らないので、さほど影響ないともいえる。

5.乾燥機使用時の消費電力が大きい

これはヒーター式+水冷式のため。ヒートポンプ式なら加熱時の熱効率が良い。

6.洗濯・乾燥運転だと脱水時に洗濯槽にへばりついたタオルがなかなか乾かない

これは洗濯機全般にいえること。

できれば洗濯から乾燥までほったらかしにしたいところだが、脱水後に一旦タオルを取り出さないと乾燥機にかけても乾かない。どのみちシワになると困るものやヒーターで加熱すると縮むものにはタンブラー乾燥機を使えないので、洗濯が終わってから洗濯物を取り出して、乾燥機にかけるものとかけないものとを選り分けることになる。

7.シャープの洗濯機は乾燥ダクトが奥についているので分解清掃しにくい

乾燥ダクトに埃が貯まったときの最後の手段は分解清掃である。他社のドラム式洗濯機では乾燥ダクトが手前側についているので、まだ分解しやすいが、シャープの洗濯機で乾燥ダクトを掃除できるレベルまで分解するのはかなり大変で、とても素人の手に負えない。だからこそ乾燥ダクト自動洗浄機能がついていたりするのだが、それでも埃は貯まる。どうしようもならなくなったらハウスクリーニング業者に分解清掃を依頼するしかない。

【対策】
1.なるべく乾燥機を使わない

身も蓋もない話だが、夏は夜でも気温が高いので夜に洗濯物を干しても朝までには乾く。乾燥機に電力を使うくらいなら、その電気代を冷房に振り向けた方が快適に過ごせる。冬は室内で暖房をつけて乾かすことができる。乾燥機に電気代を使うくらいならその電気代をヒートポンプエアコンに振り向ければ部屋も暖かくなる。関東のように冬の湿度が極めて低い地域では加湿するくらいでちょうどよい。寒冷地でも暖房をつけると湿度が下がるので洗濯物を干すくらいでちょうどよい。

雨の日は乾燥機を使わないと洗濯物が乾かないが、たまにしか乾燥機を使わないなら電気代がかかってもさほど気にならない。

必要最低限の頻度でしか乾燥機を使わないなら安価な縦型でも十分ともいえるが、ドラム式は洗濯物の量が少なければ水の消費量が少ないので毎日洗濯できる。それに対して縦型はある程度洗濯物を貯めてから洗濯する必要がある。一人暮らしならだいたい1週間で洗濯機1回分になる。

乾燥機を使う頻度が低ければ、乾燥ダクトに埃が貯まるまでにかかる時間も長くなる。

2.乾燥機を使うときには朝までほったらかしにする

夜寝る前に乾燥機を始動して、朝に乾いた洗濯物を取り込むなら、乾燥に時間がかかっても気にならない。音が比較的静かなので夜通し動かしても気にならない。

3.洗濯完了時に一旦洗濯物を取り出す

洗濯・乾燥連続運転は結局使い物にならないので、洗濯終了後に乾燥機にかける必要のあるものだけ別途乾燥機にかけるというローテクな運用が最も確実。

洗濯が終わるまではほったらかしにできないが、洗濯物の量が少なければ時短コースによって時間と電気代と水道代を節約できる。風呂から上がってすぐに洗濯機を始動させれば25分くらいで終わるので、他の作業をしているうちに洗濯が完了する。

【シャープのジャストサイズドラムはこんな人に向いている】
1.少量の洗濯物を高頻度で洗濯する人

2.必要最低限でしか乾燥機を使わない人

3.洗濯機のある場所に湿気を出せない人

【シャープのジャストサイズドラムはこんな人には向いていない】
1.大量の洗濯物をまとめて洗濯する人

2.乾燥機をメインで使う人

3.乾燥を短時間で終わらせたい人

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