逗子駅留置線問題を解決し千葉以遠直通を可能にするE235系編成案

東海道線や東北本線高崎線では小田原寄りに基本編成10両、宇都宮寄りに付属編成5両だが、横須賀線と総武線快速は他の路線と編成が異なり、久里浜寄りに付属編成4両、千葉寄りに基本編成11両がある。これは逗子駅で付属編成を増結する必要があるのと、逗子駅の留置線の有効長が8両(または12両)なので、付属編成を4の倍数にしないと収容本数が不足するためである。

逗子駅留置線問題の影響は房総各線に波及している。総武線快速の基本編成は11両だが、内房線巌根駅や外房線の永田、本納、新茂原、八積の各駅のホーム有効長が10両分しかないため、総武線快速の内房線外房線直通列車はこれらの駅に停車できない。日中は外房線直通を蘇我以遠各駅停車にするため、敢えて10両の京葉線直通快速にしている。快速の基本編成が11両では長すぎるので千葉以遠への直通が制限されており、千葉駅で双方向からの折り返しがある。

横須賀線でも、逗子久里浜間は11両編成までしか走れないので15両編成は逗子で付属編成を増解結する必要があるし、田浦駅ではホーム長が10両分よりも少し短いので、11両編成は田浦駅でドアカットしている。日中の逗子久里浜間は需要が少ないので付属編成4両でも運びきれるが、そうなるとグリーン車が連結されないので、敢えて1時間に1本だけ基本編成の久里浜行を運転している。

そこで、これらの問題を一気に解決する編成案を考えてみた。久里浜寄りにグリーン車付の基本編成7両、千葉寄りにモノクラスの付属編成8両とする案である。千葉逗子間は15両で走らせ、逗子久里浜間はグリーン車付基本編成7両を走らせる。7両なら田浦駅でのドアカットが不要だし、逗子久里浜間の輸送力を適正化できるし、グリーン車も連結される。付属編成は逗子駅の留置線に入れるが、留置線には8両まで入れる。逗子駅で付属編成を切り離す際には、基本編成はそのまま久里浜方面に出発し、その後で付属編成を留置線に入れる。付属編成を連結する際には、先に付属編成をホームに入れておいて、基本編成の本線営業列車がそこに徐行で進入して連結する。これなら増解結に要する時間を短縮することができる。

JRでは汽車時代からそのような連結をせず、一旦営業運転列車をホームに停車させてから増結する車両をホームに進入させて連結するが、小田急や京急といった私鉄では営業運転列車がそのまま駅に進入して増結車両と連結する運用を長らく続けており、それで事故が起きたことはない。たしかに客車で増結する場合には、先頭に本線用機関車がついているので、駅停車後に本線用機関車を一旦切り離して前方に増結してから改めて本線用機関車を連結し直すか、あるいは駅停車後に後ろ側に増結するかのいずれかでなければ物理的に増結できない。しかし客車の時代はとっくに終わっているのだから、電車ではもっと効率的に増解結すればよい。現に外房線誉田駅で上総一ノ宮始発の列車と成東始発の列車とを連結する際には、先に上総一ノ宮始発の列車を停車させ、その後で成東始発の列車をホームに進入させて連結している。

千葉以遠では快速として走らせる場合にはそのまま15両で走らせる。各駅停車として走らせる場合には、上総一ノ宮寄りの付属編成のみ8両で走らせる。折しも、内房線千葉君津間や外房線千葉上総一ノ宮間では8両編成が運用されているので、房総の209系の置き換えにE235系モノクラス8両を投入すれば、総武線快速の付属編成と内房線外房線とを共通運用できる。千葉以遠で8両の普通列車として走らせることができるなら、総武線快速の内房線外房線直通列車を増やすことができる。日中の外房線直通快速も京葉線経由から総武線経由に戻すことができる。

この編成案の弱点は、既存の編成の組み換えでは対処できず、クモハが必要なことである。久里浜側から順にクハーモハーモハーサローサローモハークモハが基本編成、付属編成はクハーモハーモハーサハーサハーモハーモハークハとなる。房総の209系の置き換えでE235系を新造するなら、それ用にクモハを大量に新造し、既存の編成に組み込んで編成替えすれば、グリーン車付基本編成7両とモノクラスの付属編成8両を組成することができるだろう。

もう一つ、逗子久里浜間に7両編成のみ走らせるとなるとラッシュ時には輸送力が不足するかもしれない。本数を増やすと逗子駅で増解結する列車本数も増える。スジの引き方にもよるが、一部列車を逗子久里浜間の区間運転にして増解結をなくす等必要になるかもしれない。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?