バシャーンの話

前回、音の三要素の話をしました。
ここですぐ歌の核心を衝く話ではなく、
理解を深めてもらうために別な話をしておきたいと思います。

シンバルをスティックで叩くと
「バシャーン」とか「ジャーン」とかいった音がします。
皆さんもこう表現しますよね?
なんで
「バー」とか「ジー」とかじゃないんでしょう?
そうなんです。
シンバルぶっ叩く。
すると音が出るわけですが、
最初に出た音とその直後の音、消えていく途中、消える間際の音は、
音量が違うだけじゃなくて、全部音色が違うんです。
だから「バ」な感じに聞こえた後「シャー」って伸びて「ン」って消えていく。
これ、音色の変化を口で表すとこういうことになるわけなんです。

ぶっ叩いた直後が一番派手な音。
それが地味な方向に変化しながら音量も減っていく。
最後は口を閉じた「ン」みたいに地味な音色になっている。
それを人間が耳で捉えて
「バシャーン」とか「ジャーン」とか表現しています。

これはギターでもピアノでも同じことが言えます。
ギターは弦をはじく、
ピアノは鍵盤を叩くイコールハンマーがピアノ線を叩く
弾いた瞬間と伸びている最中は音色が違うんです。

派手な音、地味な音、そんな書き方をしましたが、
これは「倍音」ってものの話へと続いていきます。

ピアノで一つ鍵盤を選んで、
そうですね、例えば中央C「ドー」って弾いたとします。
なかなかにわかには信じ難いかもしれないんですけれど、
その音の中には「ド」だけじゃなくて
「ソ」も「レ」も「ラ」も、
いやいやもっともっとたくさんの音が含まれているんですよ。
それを「倍音」と言います。
「え?和音に聴こえないよ。単音だよ。」
確かに。長くなるからその説明は今度。

でも
どんな楽器も
この「一つの音」に含まれている、
この「たくさんの音(倍音の構成)」のせいで
豊かな音色、その楽器特有の音、に聴こえていて、
それは演奏の仕方や、はじく強さ、などでも構成に違いが出る。
そして音量の減衰とともに緩やかに変化し続ける。
ピアニストが「タッチ」を大事にする理由、わかりますよね。

一般的な話で乱暴に書くと、
倍音が多く含まれる音ほど派手に聴こえます。
音量がでかいから派手なわけではなく、
それによって届きやすいわけじゃない。
もちろん派手ならいいってもんじゃありませんが、
モゴモゴした感じの音色では、もぐってしまって、聴こえてきづらい。

小さい音でも「心地よく届きやすい音」が存在するということに
なると思いませんか?

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