障害者の自宅監禁

「我邦十何万ノ精神病者ハ実ニ此病ヲ受ケタルノ不幸ノ外ニ,此邦ニ生レタルノ不幸ヲ重ヌルモノト云フベシ。精神病者ノ救済・保護ハ実ニ人道問題ニシテ,我邦目下ノ急務ト謂ハザルベカラズ」
これは、日本の精神精神障害者が私宅監置されている状況をみて、精神科医の呉秀三が発した言葉とされています
精神障害者の私宅監置は、明治33年に施行された精神病者監護法により親族が精神障害者を監護(「看護」ではない)することが義務付けられました。その後1950年に精神衛生法が施行され、私宅監置は禁止されました。
どのように私宅監置が行われていたかということは、以下のページをご覧ください

私宅監置は法的には禁止されたのですが、法律が改正されたからと言って、全てがすぐになくなったわけではなかったようです

沖縄では1965年まで私宅監置はあったようですね
沖縄での私宅監置をあつかった映画がこちらです

残念ながらすでに公開は終了しているようです
DVDで販売されたり、配信があればみてみたいです

さらに、

近年でも精神障害者の私宅監置はニュースで何度か報道されています
2017年12月寝屋川監禁死事件

三田市監禁事件

川崎市監禁死事件

https://bunshun.jp/articles/-/51844

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220309/k10013519631000.html

記事を読むと、辛い気持ちになります
どこかで何かちょっとしたきっかけでもあれば、変わっていたのではないか
川崎市の事件について文春は「家族の病理」と表現していますが、どの事件もを責めるだけでは解決しない、障害者の支援体制の改善が必要でしょう

監禁とはなっていなくても、社会から孤立し、家族だけが抱えているような事例はいくつか見てきました
どこかで一度は障害福祉の支援につながっていたりしても、うまくいかず、家族で抱えるしかないとなっていたり、障害者がいることは恥であると言う思い込みが原因となっているようです
それで三田市の事件のように、家族が高齢化したり亡くなったりして、ようやく発覚するというものです
このような事件を繰り返さないためには、一度家族側から行政などの生涯相談の窓口に相談があったら、直接本人への支援につながらなかったとしても、途中で家族からの相談の訴えが途切れても、継続してアプローチしていく体制づくりや、このまま放っておいて大丈夫かどうかの支援者側のアセスメント力を養うことが必要なのではないでしょうか